第21話 仲間

 リフクエに入った俺は、とりあえず街のギルドで一人でできそうなクエストを探す。レベルも上がってはいるがギルドランクはF。

 早いとこクラスEに上がって拠点となる場所がほしい。

 自分一人でも余裕な討伐系クエストと同時に採取クエストもいくつか受ける。

 その場で達成できるものもあったので納品も済ませておく。


「次の目標を定めるために、武具屋へいこう」


 新しい街へついたらまずは武具をチェックだ。

 

「おお、品揃えが多い!」


 流石街だね、村とは品揃えが段違いだ。

 値段的に言うと、自分の片手剣だと次は破石の剣、その上がミスリルソードだ。


「ミスリルソード……やっぱ、ミスリルってのはロマンだよなぁ……

 しかし、8万……これは遠い、破石の方も4万するからなぁ……」


 そして、想像通り、防具も品揃えは多いが、高い。


「これは、金策ガッツリやらないと……」


 現実世界でもそう簡単にはお金は稼げない。

 変なところで現実っぽい作りになっているなこのゲーム。

 愚痴を言っていてもお金にならないので、早速クエストをこなそうとする。


 ポーン


 と、メッセージが来る。ラックさんだ。


『今入ったんじゃが、リュウヤ君は熱心じゃな』


『俺もさっき入ったばかりですよ。武器防具の値段見て金策しなきゃと絶望してたとこです』


『そうかそうか、ワシも同じことになりそうじゃの。

 もしクエストやるなら一緒にやらんか?

 経験値的にもそのほうが美味しいじゃろ』


『いいですね、是非是非。わかりやすいギルドの中で待ってますね』


『うむ。すぐに向かう』


 こうしてラックさんと一緒にクエストをこなすことになった。

 殲滅力が上がるし、パーティ内で敵カウントは共有されるのでWin&Winだ。

 



「ラックさんお疲れ様です」


「な、なんか仕事みたいで嫌じゃなその挨拶。もっとファンタジーな感じで冒険者同士の会話っぽくせんか?」


「ははは、そうですね。最近クエストの調子はどうだい? みたいな感じですかね」


「そうじゃそうじゃ、あと、敬語はいらん。仲間じゃないか」


「わかり、わかったよラック」


 うんうんと頷くラック。ロールプレイを思いっきり楽しんでる感じでとても好感が持てる。

 

「今日は彼女さんはおらんのか?」


「か、彼女じゃないですけど、ミーナは結構この時間居るんですけど、今日はいないみたいだね……」


 まだ、言葉遣いが変になってしまう……

 とりあえず、ラックも俺と同じクエストを受けてくる。

 これでパーティを結成すれば敵カウントは共有だ。


 立ち回りはミーナと一緒にいる時と同じだ。

 俺が敵のターゲットになって、その隙きにラックが魔法で撃破していく。

 スキルだよりのタゲ取りを位置取りや攻撃頻度で調整する練習なんかもしながら敵を倒してクエストをクリアしていく。

 採取もその間に済ましておく。

 効率よくクエストをクリアして、終わったら報告。

 後はこの繰り返しだ。

 俺もラックもこういう単純作業の繰り返しが苦にならないので、ちょっとずつ溜まっていくクラスポイントやお金を見てニヤニヤ出来る人種だ。


 何周か回した頃にコールが来る。


『リュウヤー、何してるー?』


『今ラックさんとクエスト回してるよーくるー?』


『いくいくー』


「ラック、ミーナがinして合流したいって言うから街に戻ってもいいかな?」


「おお、ええぞええぞ」


『ギルド中で待っててー戻るよ。武具屋の値段を見ておくとやる気出るからオススメ』


『おk』


 



「凄い値段だねー! でも、ミスリルの弓綺麗だったー。防具も凄い可愛いのがあってー」


 やっぱり女性は見るところが違うんだなと、変なところに感心してしまった。


「このメンツなら少し手強そうなクエストもできそうじゃな……」


「回復剤考えると、金銭的に美味しくないのがなぁ……」


「ヒーラーさんいればいいのにねー……」


「あてならあるぞい、声をかけてみるかい?」


「ヒーラーのご友人が?」


「あいつはさみしがりやだからな、喜ぶぞちょっとまっとれ」


 ラックが連絡を取ってくれるようだ。


「そういえば今日はいつから入ってたのー?」


「えーっと9時位にはいったかなー」


「2時間くらいずれてるのかー。今日急に朝に入ったからなー。

 午後どうしようかな~、リュウヤは夜は何時くらいに入るの?」


「えっと、だいたい1時に上がってお昼食べて、夜飯も終えてからのほうがゆっくり出来るから7時くらいかなー」


「そうだよねー、このままだと夜もずれちゃうからなー。

 私も早く一緒に上がって夜も一緒に行きたいなー」


 ゲームのことだとわかっているけど、少し、なんというか照れる……


「また夜に待ち合わせて入る?」


「そうしよーかなー! リュウヤと居るほうが安心だしね」


 だめだ、中身は男かもしれないという意識は捨て去ってはいけない。

 それでも、それでも! 嬉しいもんだ……男とはそういう生き物なんだなぁ……


「あいつまだ村にいるみたいじゃ」


 通話を終えたラックが説明してくれた。

 どうやらご友人はまだ村だそうで、そろそろ街へ行こうかと思っていたらしく、街道を抜けて街へ来るとして、合流は次のプレイタイムになりそうだ。


「ワシもそうしたら7時に入ろうかのぉ、せっかくじゃからな」


「残り時間はみんなでクエストまわそう!」


「「おー」」


 ゲーム内時間で7時間ほどじっくりたっぷりとクエストをこなし続けた。

 それぞれいろいろと考えながら試しながらプレイを楽しむ。

 由緒正しいMMORPGの楽しみ方を満喫する。

 同じことの繰り返しではあるけど、それがとても楽しかった。

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