禁書に記述された物理法則の一部を抜粋

以下はこの世界における物理法則をとある一冊の禁書から抜粋した一文である。


本編とは直接関係は無いので好きな人だけ読んで頂ければ幸いです。




 この世界では量子の中の内、力を与える役割を果たしているグルーオン、ウィークボソン、電子、質量を与えるヒッグス場は粒子や波の性質を持ち合わせてはいない。電子の振る舞いとしては場に薄く満ちている電子が原子核の+の電荷にひっぱられ原子核の周りをひっぱられた分だけ一様に満ちているだけで点としての位置情報を持ち合わせてはおらず、その濃度は原子核の+電荷の強さに依存している。それ以外の上記の量子においても場を満たしているものに過ぎず、重力波においては音と同じように距離の三乗に反比例して伝わる事からこの世界は生命体が存在して光によって見ることの出来る縦横高さの三次元空間+音と重力が干渉できるもう一次元のあわせて四次元空間であることが確定している。レプトンやクオークを生み出しているのは四次元空間に満ちているエネルギーに「ムラ」(波のような性質をもつもの)を与えることの出来る「音」とされている。


 この世界におけるエネルギーの数式E = mc2は成立しておるが、それとはべつに質量を生む数式として音の発生させるムラの幅×エネルギーにより質量をもつ物質を生み出すことも出来る、しかしその音を発生させされるのはヒト科の中でも限られた存在だけ。どのような進化により四次元目の空間に干渉を持たせるような進化を遂げたのかは不明な上に現代におけるこの世界では人体実験がどんな罪よりも重いとされているため医療や人体学は不明瞭な点がおおくその声帯の謎も解明されていない。


 四次元空間の概念としては三次元空間までは縦横高さという概念なのだが、残りの一次元、つまり四次元目に相当する空間は三次元空間と表裏一体に存在しておるが光で観測することは出来ない、その空間に満ちている薄いエネルギーに「ムラ」が存在することにより世界の理の全ては形成されている。


 世界における「音」とは空間にみちたエネルギーを媒介として伝わるもので四次元目の空間にあるはずのエネルギーは残りの三次元空間にも漏れ出ているため(というより四次元目にあるエネルギーにより全ての物質、物理現象は構成されている為)に四次元すべての空間に音として伝わっている。この「音」により薄く存在するエネルギーに「ムラ」が生じ、その「ムラ」の濃くなった濃度差によりクオーク、レプトン、電子、グルーオン、ウィークボソンが作られる、つまりもとをたどれば物質も現象もエネルギーが見せる表情にすぎないといえる。


 この世界では重力というものはただ質量を持った物質のまわりの空間がくぼみ、引っ張られる事により力が伝わり発生する。


 上記で記したとおり四つの力、電磁力、強い力、弱い力、重力はすべてもとは空間に満ちているエネルギーからなるものなのだがその濃度の違いにより四種類の力となっている。重力のみ物質による力の交互作用ではなく空間を歪めて生じる力なので厳密にはエネルギーの濃淡により発生している訳ではなくどちらかというと音と同じ空間に作用する現象である、よって音と重力は四次元目の空間にも干渉し四次元空間を認識する事が可能となっている。


 反物質の存在も確認されており、ムラにより物質が生成された場合対になって三次元とは反対方向に生成される、つまりは大半の反物質は四次元に取り残される。しかし三次元空間においてとてつもなく大きなエネルギー反応が生じると三次元空間と四次元目の空間の境が曖昧になり三次元空間に出現する場合もある。詠唱により物質生成と全く逆の波長を生み出すことにより三次元空間に反物質を生成する事も出来るのだがその声帯を持つもの事態希な上に相当な文明を築いた人類種ぐらいしか扱えないだろう。存在自体は示唆された時代もあったが実現まで至った文明もまた希である。古代書などに記述も有る場合があるが基本禁忌とされている。


 この世界で物質(レプトン、クオークやグルーオン)が生成される時に副産物としてダークマター(生成される物質より小さく他の物質と一切交互作用しないが重力のみを発生させる物質)と第三の粒子(ダークマターよりさらに小さく四次元と三次元の壁を越えることが出来る)の二種類が生成される。ダークマターに関しては観測がほぼ不可能という性質をもつものだがこの第三の粒子というのがこの世界において実に不思議な性質をもっていて特殊な振る舞いをする事が知られている。四次元のエネルギーから素粒子等を直接生成する以外でも原子から分子、物質を構築する際にも四次元のエネルギーがふるわされるために第三の粒子は発生し漏れ出してくる、よってその時にも副産物として第三の粒子を生成する事が可能となっている。


 物質が生成される時にかならずこの上記の二つの物質も生成されるのだが、ダークマターにおいては生成されたまま三次元の世界に取り残され星や銀河や銀河団からなるグレートウォールを構築するのに必要な存在となっている。一方第三の粒子においては三次元と四次元の壁を越えてしまうため一緒に生成されて四次元方面に放出された反第三物質と交互作用をしてしまいエネルギーを放出し一瞬で対消滅してしまう。分かりやすくたとえるとするならば第三の粒子はM理論でいう所の閉じたヒモとなっており次元にしばられず行き来する事ができるとされている。(あくまでイメージし易い例えであって実際にヒモとして存在しているわけではない)


 そしてこの第三の粒子の一番の特徴は強いエネルギーが加わるとどんな物質や力、はたまた現象すらとも交互作用を果たし結合し結晶化するという実にユニークな特質をもっている。


(禁書「現代言語物理学」から抜粋)

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