本屋に天使がやってきた

第30話 6/30（木）

死にたい……

春野さんは遅番で、でも俺と目が合ってもホントいつも通りで

昨日のことなんか何もなかったみたいに

帰り際、ちあきちゃんに呼び止められた

話したいことがあるんだけど、お金持ってる？　って

何？　恐喝？　美人局？

ほとんど問答無用で居酒屋に連れて行かれた

ビールとサワーをたのんで、開口一番

「あのブログ、公開状態になってたの気づいてなかった？」

乾杯する前でよかった

飲み始めてたら、絶対吹いた

「今どきアクセスカウンターなんてつけててさ、カウンターは毎日１個ずつしか回ってないから、私以外の人は見てないみたいだから大丈夫。

　ヤバいと思ったら教えようと思ってたんだけど、さすがに春野さんの個人情報まで書いちゃったから、ね」

って、読まれてたのか！？　ずっと、アレ

「当然、今日はキミのおごりだよね？」

って、ちあきちゃんは昔のカルピスのマークみたいに目を三日月型にして笑って

ちょうどビールとサワーが運ばれてきて

とりあえず乾杯（何にだ！？）して

ちあきちゃんが言った

「さて、ここでハートブレイクな唐変木くんに朗報です！

　心の癒やしはいりませんか？」

今、隣にいるちあきちゃんが、これを書き終えたらきちんと設定を非公開に変えてくれるそうだ

あ、今隣から「死にたい」は消して「生きててよかった」に変えろってダメ出しがきた

うん、いくらでも変えるけど、左手をつないだままだとキーボードの操作がしづらいかな