回顧09-01 理を塗り替える




「捜索班、ただいま帰りました──っと」


 入り口のスライドドアが勢い良く開け放たれ、ダークグレイのスーツに身を包んだ内灘さんが現れた。院内である事を少しもはばからない声のボリュームや、女子の病室にノック無しで入ってしまう無作法ぶりもる事ながら、まるで英国紳士のようなそのスーツのセンスに絶句する。


「先生、なんですかその姿は。どこぞのサッカー選手ですか」


 的確な突っ込みと共に繰絡さんが立ち上がると、内灘さんは何の遠慮も見せずにパイプ椅子を横取りし、私が選ばなかった栗あんぱんを貪り始めた。「糸織、あんぱんばっか食ってると太るぜー」などとにやつきながら。


 ああ、やっぱりこの人は最低だ。繰絡さんはこんなに素敵な人なのに、片割れの内灘さんは残念極まりない。もちろん、常にツーマンセルで行動しているというわけでもないのだろうけれど、昨晩の初対面の時に抱いたちぐはぐコンビのイメージは、薄まるどころか色濃くなっているように思う。


「さすがに日中に行動するのに、あの赤尽くめはしんどいだろうよ。オシャレに余念の無い俺からすれば、スーツなんて普段着みたいなものさ」

「先生は梨沙ちゃんの前だと本当にカッコつけたがりますね。まぁ、空回りどころか逆回りだと思いますけれど」


 繰絡さんの口振りからすると、どうやらこのスーツ姿が普段着というわけでもないようだ。昨晩のボディスーツ姿とはまた一味違った怪しさを感じるのには、ここが烏丸町という途方も無い田舎である事も一因として挙げられるだろう。極々一般的なスーツ姿であっても、道行く人の目を引いてしまうような土地柄なのだ。


 内灘さんに会釈してからドアの方を眺めるも、アラタの姿は見当たらない。私の視線の意味を察した内灘さんは、「心配しなさんな」と前置きしてから話し始めた。


「新太くんは帰宅させたよ。『俺は帰らない』って頑固一徹なもんだから、ちょっとばかり力尽くな事もしたがね」

「ちょっとばかりって……アラタに一体何をしたんですか。心配なさんなどころか、逆に心配です」


 食って掛かるその半面、私は内心ほっとしていたりする。少なくとも強制的に帰宅させられたアラタは、私のように負傷していたりはしないという事だから。


「何って──少しばかり眠ってもらっただけさ。だって新太くん、今の今まで一睡もしてないんだぜ? まぁ彼は彼で責任を感じてるんだろうが……それにしても愛の力は偉大だね」


 茶化すような口調に苛立ちながらも、「それは内灘さんもですよね」と私は言う。もちろんそこには感謝の意味合いも込められているし、今となってはその感謝が、わずかばかりではいけない事も理解している。


「俺はまぁ、仕事だからな。それにさぁ梨沙ちゃん、大人は一晩や二晩の徹夜くらいなんともないんだぜ」

「どうせ私は子供ですよ」


 大人だろうが子供だろうが、徹夜が辛くないわけはないだろう。繰絡さんだって、私が目覚める前に仮眠くらいは取っていたかもしれない。悪ぶるのも大概だけれど、偽悪的なその優しさが私にバレていないとでも思っているのだろうか。


「で、どうだ糸織。大方の説明はしてくれたか?」

「そうですね。すっかり梨沙ちゃんと仲良しさんになりましたよ」


 私の方を見て同意を求める繰絡さんの視線に、私は微笑みで答える。それはいかにも女子同士といったやり取りで、もしもクラスメイトが今の私を見たら、「屶鋼さんがおかしくなった」と口々に噂されるに違いない。


「あらまあ、すっかりおじさんは仲間はずれってわけか。まぁ俺の方も、新太くんに大方の説明はしておいたぜ。捜索の結果は空振りだったが、広義に解釈して前進していると思ってくれると有難いかな」


 すっかり栗あんぱんを平らげた内灘さんは、内ポケットから剥き出しのお札を数枚取り出し、その中から千円札を一枚繰絡さんに手渡した。どうやら内灘さんは、お財布を持ち歩かない主義の人らしい。


「俺はビールで、後は任せる」

「病院でビールが買えるとお思いでしたら、先生は救い難いあんぽんたんですね」


 辛辣な言葉ながらも、どこか可愛らしい捨て台詞を残して繰絡さんは病室から出て行った。当然だけれど、私は内灘さんと二人で病室内に取り残された形となる。二人きりになった途端、室内には気不味い沈黙が延々と流れ──るのかと思いきや、内灘さんは至極フラットに話しかけてきた。


「あのな、梨沙ちゃん。新太くんにも同じ事を言ったんだが──」「どうぞ、小言でも何でも聞きますよ」


 内灘さんの話を遮って、身を守るかのように膝を折り畳んで体育座りをする私。臆病さからこうして身構えたわけだけれど、必要以上の拒否反応を見せてしまったと自分を省みる。何を言っても愛らしさの残る繰絡さんと私は、もしかしたら正反対に位置するタイプなのかもしれない。


「小言でも良いって言うんなら、小言みたいに言わせてもらうが──梨沙ちゃん、良かれと思ってした事を責めて良いのは、被害を被った本人だけだぜ」

「……何が言いたいんですか?」


 眉をひそめるでもなく、私は続きを促した。今しがたの内灘さんを真似て、至極フラットに。


「梨沙ちゃんも新太くんも、それから屶鋼の爺さんもよ──『私のせい』だの『俺のせい』だの、はたまた『儂のせい』だの、言うだけ無駄なうるさい主張はやめようぜって事さ。雲雀ひばりの鳴き声みたいにぴーちくぱーちくされたらよ、部外者の俺としては参っちまう」

「ぴーちくぱーちくって……」

「んん? もしや意味が通じないか? これがジェネレーションギャップってやつか?」

「いえ、かろうじて意味は通じますけれど、確実に死語ですよね」


 内灘さんは照れくさそうに鼻の頭を掻いた。内灘さんが恥じるべきところは、もっと他に沢山あると思うのだけれど。


「お互いがお互いを責める気持ちなんて、これっぽっちも無いんだろ? だからもう、言いっこナシにしようや。良かれと思ってした事を、お互いに責め合うようなつまらない人間じゃねーよな?」


 やれやれ、としか言いようのない感情と共に、私は大きな溜め息をついた。目の前のこの人も、どうやら相当に捻くれているようだ。「あんまり気にするなよ」と一言で済む話を、どうしてこうもややこしくするのか。


「先生、お言葉ですが混ぜ返さないで頂けますか? 後ろばかりを振り返っていた悲観的な梨沙ちゃんは、先ほど私の前でお亡くなりになられたのですから」


 いつの間にか戻ってきていた繰絡さんの両手には、ペットボトルの緑茶が三本抱えられていた。その報告によれば、悲観的な私はいつの間にかお亡くなりになったらしい。いや、お亡くなりになられたって──もう少し他の表現は見つからなかったのかな。死にかけたばかりの私には、さすがに縁起が悪過ぎると思う。


「なんだよ糸織、盗み聞きかよ」

「私は梨沙ちゃんのお母さんですからね。お母さんには、愛娘を変態から守る義務があります」


 「えへへ」と微笑む繰絡さんに、「お姉さんですよね」と私が注釈を添えると、「えへへへへ」という照れ笑いが返ってきた。さすがに疎外感を感じたのか、内灘さんは唇を尖らせて不満を示す。


「さてさて先生、そろそろ本題に戻りましょうか。今をときめく内灘大先生の事ですから、ツクヨミ様から梨沙ちゃんを守る、とっておきのウルトラCがあるんですよね。その手段、私も気になっていないわけではないですよ」

「ああ、もちろんあるけどよ……ウルトラCってのも死語だろうよ、今時使わないぜ」


 内灘さんは、苦虫を噛み潰したようなしかめっ面で、緑茶の半分近くを一気に飲み干した。その行為自体に、場を仕切り直す意味合いが含まれているかのような、大袈裟で豪快な飲みっぷりだった。私と繰絡さんも、それに付き合う形で喉を潤す。


 ややあってから、内灘さんはのっそりと語り始めた。真剣味の欠片を端々に滲ませながら、今までに無く重々しい口調で。しかしながらそれは、おそらく意識して演出されたものだ。だって内灘さんのその態度たるや、悠然かつ鷹揚そのものだったのだから。目は口ほどに物を言い、態度は口以上に物を言う。


「さて、まずはそうだな。ツクヨミがどうしてこの烏丸に顕現しちまったのか、ってところからか。梨沙ちゃん、もしかすると知っているかもしれないが、水主祀りは本来、収穫祭であると同時に産土神に変わらぬ安寧あんねいを伝える手段だったんだ。一年でたった一度、村人が神様に謁見して、平穏な日々が今も続いているという事を伝える手段だった」

「梨沙ちゃん、産土神というのはですね、この土地を作った神様の事ですよ。読んで字の如く、土を産んだ神様とも言えますね」

「そうだな、氏神うじがみと混同されがちではあるが、根本的にこの二つは別物だ。その土地の神様である産土神と、その土地に生きる者の神様である氏神。端的にそう考えてくれれば良いだろう」

「ちなみにこの烏丸町の氏神様は、キクリヒメノミコトと言います。縁を括る神様キクリヒメ。この度の騒動に関して言えば、縁結びの氏神様自体が無縁ではありますけれども」


 調和の取れたタイミングで解説を加えていく繰絡さんは、助手という役割を完璧にこなしていた。かといって私はもちろん、その説明内容に深々と頷けるわけでもない。釈然としない気持ちと、うすぼけた輪郭をした猜疑心を抱えながら、ただただ黙って聞き続けるしかないのだった。


「キクリヒメの持つ性質が、この烏丸町に与えている影響も決して小さくは無いんだが、またそれは別の話だ──。ともかく水主祀りは、産土神ツクヨミノミコトに安寧を示すために存在する。『神様、今年もこうして無事に農作物を収穫する事が出来ました。私共は、来年も変わらぬ平穏の元に安穏あんのんと生きていく事が出来そうです──』ってな」


 そこで内灘さんの口元が、にやりと歪む。


「ところがどっこい、梨沙ちゃんの手違いで、その平穏が崩れちまった。屶鋼の血筋が果たすべき伝統が、屶鋼の人間が設えるべき刀が、ひょんな手違いから一振り欠けてしまった。こんな些末な粗相など、うっかり見過ごしてくれればいいものを、神様ってのは目聡いんだろうなぁ。何かが違う事に、いつもと違う事に気が付いたツクヨミが、こうして現代の烏丸に顕現しちまったってわけさ。まったく、七面倒な神様だぜ」

「顕現して下さった、とも言えますね。ツクヨミ様にしてみれば、何事かと心配してわざわざ顔を出して下さったわけで──」「とても心配してくれているようには見えませんでしたけどね」


 私は、傷口を押さえながら嘲るように言った。無作為かつ、絶対零度の冷えた殺意を放つあの姿をまざまざと思い出しながら。


「ミシャグジも言ってただろ? 神様ってのは、寝起きは機嫌が悪いもんなのさ」

「今までの内灘さんのどの話よりも、それが一番説得力に欠けますよ」

「そうかい? 民をおののかせる事も、神様の大切なお役目の一つ──少なくとも俺はそういうふうに解釈してるがね。まぁ今回に限っては、ありがた迷惑此処に極まれりだけれども、根本的には敵じゃないっていうその点は、梨沙ちゃんにとって幾らか救いのある事実だろうよ」


 そうは言われたものの、一筋の光明も感じられない私は、ぐったりと肩を落とした。根本的には敵じゃないにしても、結局のところ味方でもないわけだ。偏頗へんぱな見方かもしれないけれど、気分次第で危害を加えてくる神様なんて、近代ヨーロッパに代表される気の狂った王族や、マイナスの意味で歴史に名を残す独裁者たちと少しも変わらないのではないか。


「しかし先生、機嫌が良いにしても悪いにしても、強大な力を兼ね備えたツクヨミ様を、一体どのように扱うつもりなのでしょうか。今回の一件に対する先生のスタンスを、そろそろ教えて頂きたいのですが」

「そうだねぇ──本当に困ったもんさ。『うっかり間違えました、すみません』で済む相手でもないしな」

「ごめんで済んだら神様は要りませんね。すみませんでは済みません」


 先を急かし立てる繰絡さんを、勿体ぶるようにして内灘さんは焦らした。そして繰絡さんも繰絡さんで、自らの駄洒落に満足したかのように「えへへ」と照れ笑いを漏らし、その結果焦らされたままとなっている。

 何とももどかしい気持ちで私が先を促そうとした時、話を進めようと口を開いたのは、意外にも内灘さん本人だった。


「まぁ、冗談はさておき、糸織の言うとおりだ。謝って済む問題じゃない以上、俺たちはツクヨミに対する立ち位置を決めなくちゃならない。また同時に、ツクヨミ自身の立ち位置を決めなくちゃならない。昨晩の俺たちはあくまでも、神様の急襲に対して自己防衛をとっただけだ。決して最初から、『神様と戦おう』っていうスタンスじゃなかった──そうだろ? まぁ、そうゆう事にしようや」


 同意を求める視線が、有無を言わさぬ迫力を帯びた。そのまま挿入された沈黙に、思わず唾を飲み下す。見やれば繰絡さんも同じように、吸い込まれるような眼差しを内灘さんへと捧げている。否定も肯定も出来ないままに、その言葉の続きを待ち侘びている。


「神様に交渉する、だなんて高尚な事は言わない。その立ち位置では、そのスタンスではどうにもならないと俺は判断した。じゃあどうするか──お願いするんだよ。偉大なる産土神ツクヨミノミコト様に、お願い事をするんだ。『自分の力ではどうにもならない困った事態が起きました。私の事情にどうか耳を傾けて、願わくばツクヨミ様の力をお貸し下さい』──ってな。とは言っても、それは何も特別な事じゃない。敬われるべき偉大な神様と、縋る以外に手段を持たない無力な人間──お互いの立ち位置として、この上無く正常で、至極真っ当な向き合い方だろうよ」

「お願いを……する?」


 独りごちるような私の問いかけが宙に舞う。散々勿体ぶってから示されたそのアイデアが、ウルトラCなのかどうか皆目判断が付かなかった。『困った時の神頼み』という言葉が頭を過ぎったけれど、そんな冗談を口にするのは繰絡さんの役目だろう。しかしその繰絡さんは、考え込むような表情で内灘さんの様子を見ているだけで、何かを口にする様子は無い。私と繰絡さんの沈黙など意に介さず、「ともかくよ」と内灘さんは会話を繋ぎ直す。


「事を収めるには、伝えなくちゃならない。ツクヨミが遣わされた理由を、安穏な現代に呼び出されちまった理由を、伝えなくちゃならない。換言すればそれは、伝えるというよりも与えるという行為だ。目的の無い迷える神様に、明確な目的を与える為──俺たちはもう一度ツクヨミに接触する必要がある。向こうからの不意打ちではなく俺たちの方から、しっかりと話し合いの場を設ける必要がある」

「先生、もう一度接触するのが前提ならば、全滅覚悟で、『すみません間違いでした』と全力で謝罪するという選択肢もあるのではないですか? 先ほどはああ言いましたが、ごめんで済む可能性だって、決してゼロではないですよ」


 人指し指を立てて繰絡さんが提言した。その歯切れ良い声が、講師へ質問を投げる学生を思わせる。しかし内灘さんは、自らの助手である繰絡さんへ軽口すらも返そうとせずに、私の目の奥をぎろりと覗き込むのだった。


 そして、鬼気迫る様相で私へと問う──「さて質問だ」、と。突き立てる氷刃のように冷徹に、弱者を打ち据える鞭のように強靭に、嗜虐的な眼差しが煌めいた。私はその一対のまなこの中に、狂気の片鱗さえも見たような気がして困惑を覚える。


「その理由が、あるいは覚悟が──梨沙ちゃんにあるかい? 神様に頼まざるを得ない難儀で狂逸きょういつな事情、あるいは、命を賭してまで神様へと懺悔する覚悟が」

「……」


 ただならぬ迫力に気圧されるがままに、私は言葉を失った。この沈黙を否定の意味と読み取った内灘さんは、雄弁に言葉を繋げていく。


「だろうな。梨沙ちゃんみたいな小娘に、そんな事情もそんな覚悟も、あるわけがないよな。チェーホフの銃よろしく、予め全てが整えられているわけがないんだ。ご都合主義は、この現実には起こり得ない。理不尽な悲しみに奮い立つヒロインなど、この現実には存在しない──だから梨沙ちゃん。素敵な大人であるこの俺が、この素敵な内灘広葉さんが、困った梨沙ちゃんに理由を授けよう。困り果てた梨沙ちゃんを救う、とんでもなく後付けで、とんでもなく後出しの素敵な理由を──」


 相も変わらず鼻に付く話し方であるにも関わらず、私はその雰囲気に完全に呑み込まれていた。内灘広葉という男の一人芝居が、私と繰絡さんの前で延々と繰り広げられていく。その劇中に意図して設けられた奇妙な沈黙の中へ、芝居がかった溜め息が吐き出された。


 彫りの深い顔立ちに、意味深長に刻まれたシワがとても様になっている。その表情と仕草は、躊躇いを振り切ろうとしているようにも、あるいは覚悟を決め兼ねているようにも見えた。飄々とした内灘さんの印象が、遥か遠いもののようにさえ感じられ、何故だか心細い気持ちになる。あるいはこれも、演技の一環なのか。それともこれが、内灘さんの本性なのか。


 ややあってからたっぷりと息を吸い込み、内灘さんはようやく口を開いた。どこか訥々とつとつとした歯切れの悪い口調で、後出しの理由とやらを、目の前の私へと示した。


「梨沙ちゃん、俺の息子と友だちになりな。俺の息子は──母親の呪いで死にかかってる、死にかけの俺の息子と友だちになって、そして願うんだ。あのツクヨミに、産土神ツクヨミノミコト様に──『私の友だちを助けてください。私の力では──どうする事も出来ないんです』ってな」


 私は思わずこの耳を疑った。それは一体、どんな冗談なのだ。冗談にしてはたちが悪過ぎるし、そして何より、しつが悪過ぎる。


「死にかかってる? 母親の呪い? どういう事ですか? 確か、可愛いって、もうすぐ、六歳になるって」


 当然の疑問が次々と口を衝いた。激しい動揺の中で、許されない冗談を吐いた内灘さんへの怒りと、どうか冗談であって欲しいという、幾許いくばくかの願いが混ざり合っている。


「ああ、可愛くて仕方がない。だが残念ながら、事実死にかかってる。親の愛情と子供の健康は、残念ながら比例しない。そして同じように、父親の愛情と母親の愛情も比例しない」


 私は返す言葉の一つも無く、救いを求めるように繰絡さんを見やる。視線に応える繰絡さんは、伏し目がちに小さく頷くだけだった。その仕草が、内灘さんの発言が虚実では無いと、内灘さん特有の大言壮語では無いと、暗に私に説いていた。




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