悪魔は悪魔のまま



あの日からどれくらい

経ったのだろう、多分遠い昔のようで

昨日のように感じる

僕はあの夜の事をほとんど忘れている


今目の前にあるのは

カインさんとお母様が笑いあってお話してる風景

その幸せそうなお母様の腕の中にあるのは僕ではなく違う子


右眼は淡い紫色をしていて

左眼は漆黒のような深い黒をしている

『この子は貴方の色と私の色を持ってるわ。』

〖 きっと君に似て優しい子になるさ。〗


知らない 僕は知らないその顔、表情

なんでその子にそんな顔するの


“シオン”お母様が腕の中にいる子をそう呼ぶ


シオンは呼ばれると僕には眩しいくらいの笑顔で答えるように笑う


あぁこの子はこの先

悲しみなんてきっと知ること無く生きるんだろうな


大きくなるんだろうな

その日から僕は1度もお母様と…お父様の前で口角を上げることも無くなった。


『貴女の眼は、ほんとあの人にそっくりね。』

この言葉は僕の足枷


コレからもこの足枷と共に逝きる


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