絡み合う絃を噛みちぎる


貴方は偉いわ

シオンの面倒をほんとによく見てくれてる


ベルディアは偉いな

さすがお姉ちゃんだ


…当たり前だよ

僕はいい姉を演じてるんだお母様とお父様に褒められたいが為だけの存在(シオン)のお守りなんて好き好んでやってるんじゃない


父親違いのこの妹は僕にとても懐いてる


『ベル姉様!ほら、お庭にちょうちょが飛んでる!とてもかわいい~…』

前髪で隠れた紫色の瞳がチラつくほどにはしゃぐシオン

「あんまり騒がないでくれよ、ご近所の人にも迷惑がかかるだろ。ちょうちょなんてそんな珍しいものでもないだろ。」


『ベル姉様はちょうちょ嫌い?』

「そうじゃなくて…もう、いいから。今日お母様とお父様は帰りが遅くなるからそろそろ、ご飯にし…」

はしゃぐシオンに夕飯を食べることを伝えようと振り向くと

すぐ目の前にはシオンがいて余りにも予想してないことに言葉を失い息が一瞬出来なくなった

「おい、人の顔をそんなに近くで見る人がいるか。」

『ベル姉様……。』

そんなか細い手で僕の頬を触る

温かい、ふとそんな感情が胸いっぱいに広がった

『姉様の瞳は、私が大好きなお空の色をしているの。だから…とても好き。』

眩しい、とても眩しい

そして憎いこの憎い感情はどうしても貴方へ向かって噛み付こうとしている


「いいから、ご飯だ。」

手を振り払い早歩きでリビングへと向かう

シオンの事など気に留めることもなく

『あ、待ってください!』

小さな歩幅で僕のあとを追ってくる

必死にどこか楽しそうに


ーー私の大好きなお空の色をしているのーー


初めて言われた言葉が頭に残る

僕は多分、少しずつシオンが発する言葉に興味をもってきている


聴いてて心地よい音が多いんだ

懐かしくてとても憎くてとても愛おしい


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