第17話 番外編 (雪夜くん猫事件の次の日)

雪夜視点


当分猫は見たくないな。

多分今猫見たら八つ当たりしそう。

ったくあいつはなんでよりによって猫なんかに…。

そういや今日は雨降るって言ってたか。

空をみあげると、分厚くて古そうな色をした雲がもやもやと浮いていた。

周りの人は皆そそくさと家に急いでいる。その様子から見て魔法を使えない奴らだろう。魔法を使えたら雨なんざすぐにしのげるからな。

ポツッ

一滴の雨水が膜を濡らした。

それを合図にするかのように雨はざんざんと降ってきた。

魔法で作った膜を覆うように雨は降ってくる。

そんな中、まっすぐ家に歩いていると膜の中に一匹の猫が入ってきやがった。

猫にしては珍しいエメラルドグリーンの毛が少し入っている、白がメインの猫。

普通この膜の中には何も入れないはずだが、なぜ入れたんだろう。

この猫にイラつく気持ちと、不思議に思う気持ちが脳内を埋め尽くす。

試しにこの猫に一発死なない程度の魔法を撃ってみた。

これで気晴らしだ!

魔法は見事に命中。猫はその場で固まった。

おとなしくなったと思った瞬間、猫はその小さな瞳でこっちを精一杯睨みつけた


「何をする!僕なんかした!?」


いきなりしゃべりだしたぞおい。何だこいつ。

魔法撃ったけど、喋れるようになる魔法なんかやってないぞ。


「気晴らしで打ちました。

で、何で喋れるんだお前」


「何でって、僕たちの種族は猫なんだけど、その中でも優秀な猫なのだ!

ちなみに使い魔としても出来るよ。

あっ、ちょうどよかった。お兄さん使い魔今いないでしょ!

だったら僕と契約してよ」


「使い魔はいないが、お前と契約するつもりはない」


そう言って猫を無視して歩いていくと、家が見えてきた。


「あっちょっと待ってよ。

僕結構使えるんだよ。魔法だって使えて、その中でも幻術系の魔法が得意なんだ!」


幻術か、そういや幻術は苦手でよく引っかかってたな。


「どのくらいの幻術ならいける」


「どのくらいって言われても…。えっと確か三大名門と同じくらいだったと思う。でもさすがに炎道家にはかなわないけど、3番目のなんだったけ

炎道家と草道家じゃないもう一個の家と同じくらいだったと思う」


結構強いじゃん。いいかな。でも家猫大丈夫だったけ。

じいちゃんさえ良ければいけるかもな。


「ちょっとここで待ってろ」


俺は猫をそこにおいてじいちゃんに交渉してみた。

以外とすんなり通ったからよかったな。

そこから外に出て、猫にそのことを伝えると飛び跳ねて喜んだ。


「そういえばお前名前は?」


「僕ですか?僕の名前はタカラです。

お宝みたいでかっこいいでしょ」


(みたいっていうかそのまんまだけどな)







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