「男とか女とか、いい加減窮屈だろう」


作中のこの一文にグッときました。いろんな角度からシンパシーを感じ、とても面白かったです。ありがとうございました。

おぼろくん、小春ちゃんはもちろん、登場する人物が皆どこか足りない/柔い/不器用な部分を持ち合わせているところがとても好ましかったです。
他人を慮りきることはできなくて、それでも大切に思う相手と手を繋ごうとあがいたりもがいたり。手を繋ぐというより、相手にそのままの自分で立っていてもらいたい、立っていられるように、という方が近いでしょうか。そのままの相手とそのままの自分で、時間を共にできるなら……。ある面から見れば献身的なんだけど、自己犠牲の苦さ健気さがこの作品の本質ではなくて。それによって自らが傷つくことを厭わない純粋さがずっと小春ちゃんのベースになっている、その素敵さがキラリと輝いています。

性的な干渉を前提とせず、相手をただのその人として抱きしめることができることも本当に素敵なことだと思います。私もそういう人でありたいです。

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