第6話 新ヒロイン登場!

翌日


10時すぎ、珍しくイオルはもう目を覚ましておりベッドの中で布団に包まっていた。


はぁ〜、こんな早く目が覚めてしまうとは…

二度寝も出来そうにないくらい目が冴えて寝れそうにないしな〜。


このダメ人間は早起きをしたというのに全く起き上がろうとしない。しばらくベッドの中でゴロゴロしていたイオルだが腹が減ってきた。



(腹減ったけどどうすっかな〜、ベッドから出なくないしミレイアは昼くらいにならないと呼びに来ないしな〜)



イオルは基本的に昼を過ぎないと起きないのでミレイアが呼びに来るのも自然と昼過ぎになるのである。イオルもそれは理解しているのでベッドの中でこれからどうするか考えていた。



(…ふむ。ミレイア呼んで朝食作って持ってきてもらうしかないか)


そう結論を出すとイオルは床に転がっていた杖をベッドから手を伸ばし掴むとそのまま、テレパシーの魔法を発動した。


(あーあー、イオルだ。腹減ったから朝食作って持ってきてくれ〜)


(イオル様、起きられたんですか おはようございます。今仕事中ですのでお昼まで我慢してください。)


いきなりのイオルからの無茶振りをミレイアはバッサリと切り捨てた。だがそれくらいで諦めるイオルではない。


(昨日、飯作ってくれって言っただろ〜約束は守れよな〜)


(イオル様、既に朝食の時間は過ぎています。確かに私は料理を作るとは言いましたがそれは、時間をちゃんと守っていただいた場合に限ります。)


(時間の約束なんてしてなかっただろ〜。それくらい良いだろ〜)


(良くありません、諦めてください。では、私は仕事に戻りますので失礼します。)


ミレイアがそう言うと魔法が切断されてしまった。


(マジか、やっぱ無理だったか〜。しょうがねえマリーに頼んで何か作ってもらうか)


イオルはそう決めるとベッドから起き上がり杖を持って部屋からでた。

部屋からでたイオルは魔力探知を使いながら目当てのマリーを探しはじめた。


(ふむ。マリーは今、3階の部屋にいるな何してるか分からんがまあ、大丈夫だろ)


マリーのいる場所を探知するとイオルは3階に向かった。

イオルはマリーのいる部屋の前に到着すると迷わずドアを開けた。


「お〜い、マリー。何か飯作ってくれ〜」


イオルはがドアを開け部屋に入るとそこには普段はロングスカートのメイド服を着ていて綺麗な黒い髪を背中まで伸ばし、目つきはすこしキリッとしている美人なお姉さんと言う言葉がしっくりくるマリーが何故かミニスカートのメイド服を着ていた。


「なっ、イオル⁉︎な、何であんたがここに来るのよ⁉︎しかもこんな時間に!」


マリーはミニスカート姿を見られたのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤に染めながらイオルを睨んだ


「いや、飯作ってもらおうと思ったんだがマリーその格好…」


イオルは珍しいものを見れたのでニヤニヤしていた。


「な、何よ!似合ってないって言いたいんでしょ!分かってるわよ、こういうのは若い子が着るべきだって!」


マリーはヤケクソ気味にイオルに向かって叫んだ


「いや、別にそんな事思ってねーよ。ちゃんとマリーに似合ってるぜ、それにまだ28だろそんな歳とってねーじゃん」


イオルが素直に感想を述べるとマリーは更に顔を赤くした


「んなっ⁉︎へ、変なこと言うんじゃないわよ!それに具体的な歳言わないでくれる!」



マリーは自分のミニスカート姿を見られたことで内心はもっと動揺しまくっていた。


(ど、どうしよう⁉︎痛い女だと思われたかも⁉︎でも、こんな時間にイオルが来るなんて思わなかったし仕方ないじゃない!)


マリーとイオルは小さいときからの幼なじみなのだが、マリーはある事件が起こってからイオルのことが気になっておりイオルが宮廷魔導士になったことを知って王城のメイドになったのである。しかし、マリーは年上という事もありイオルに好意を伝えることはできていない。


「ごめんごめん。それで何でそんな格好してるんだ?いつものメイド服は?」


「ちょっといつものメイド服が汚れちゃったのよ。それで着替えたんだけどロングスカートのがなかったのよ。」


「ふーん。まあ、いいじゃん。似合ってるしそんな事より何か飯作ってくれよ」


「…あ、ありがとう。…そんな事って言われるとちょっとショックというかムカつくんだけど」


「ん?声が小さくて聞こえないぞ」


「何でもないわよ!それよりご飯食べたいんでしょ」


「ああ、すぐ作れる?」


「大丈夫よ、仕事はまだあるけどあんたに頼まれたって言えばみんな納得するから」


「ほぉ、そうなのか。みんないい奴だからな」


「ええ、ホントそうね。あんたに対してはみんな気楽に接しているしね。」


マリーの返しには若干棘があったがイオルは全く気にしていなかった。


イオルは滅多に仕事をしないので暇になると王城内をうろついて暇を潰しているのでその時にメイドと話たり気が向けば魔法で仕事を手伝ったりとメイド達の評判は割と良いのである。


そんなイオルのメイド達の評価が高いことにマリーは若干不満を憶えているのだがイオルは全く気づかない。


「じゃあ、大丈夫って事で食堂行こうぜ」


「わかったわ、行きましょうか。」





そうして二人が食堂に着くと食堂では料理人たちが昼食の準備をしていた。


「こんにちは、バルザスさん。今、キッチン使うことってできますか?」


マリーは、この王城の料理長であるバルザスに挨拶をしながらキッチンを使用できるかの確認をした。


「ん?マリーかまたイオル様の飯の支度か?そんなに長い間じゃなければ大丈夫だぞ」


バルザスという50すぎの茶色の髪に白いのが混ざりはじめている料理長はマリーに許可を出したのでマリーは


「ありがとうございます。じゃあイオル、あんたは少しそこの席で大人しく待ってなさい」


イオルを完全に子ども扱いしておりその態度にイオルも不満を漏らした


「おい、マリー。流石に俺でもそれくらいは待てるぞ」


「そんなこと言って前は、まだ出来ないのか まだ出来ないのかってうるさかったでしょ」


「ぐっ…。あの時は腹が減って仕方なかったんだからしょうがないだろ」


「今日騒いだらもう料理作らないからね。大人しくしてなさいよ」


「わかったよ、だから頼む」


料理を人質に取られたらそれ以上反論出来ないイオルは素直に従った。


「はいはい。」


そう返事を返すとマリーはキッチンの中に入っていった。

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