第5話 いざ!国王のもとへ

王都に翔んでからすぐに王城までまたテレポートし王城の門で盗賊と盗賊のお宝を渡し王城に入っていった。



イオルは、王城に帰ってきてからしばらく自室のベッドで寝ていると誰かが部屋のドアをノックした。


コンコン


「イオル様、国民様がお呼びになっています」



シーーーン



返事は返ってこない


コンコン


「イオル様!国王様がお呼びになっています!」



シーーーン



ミレイアが先ほどよりも大きな声で呼びかけるがやはり返事は返ってこなかった。


「入りますよ。」


こんなことは日常茶飯事なのでミレイアは2回呼んで返事がないなら部屋に入るという事をイオルに話してある。イオルは最初ごねたがミレイアの有無を言わさぬプレッシャーに負け渋々了承した。


ミレイアが部屋に入ると案の定イオルはベッドで寝ていた。しかも、イオルは流石に着替えたのか先ほど着ていたローブと服を脱ぎっぱなしのまま部屋に散らかしており魔導士において大切な物である杖も床に転がっていた。


そんな惨状にため息を吐きつつベッドで寝ているイオルに声をかけた


「イオル様、起きてください。国王様がお呼びです」


ミレイアが呼びかけながらイオルを揺すると

イオルは寝苦しそうに唸った


「う〜〜〜ん。またあした〜」


「国王様にそんな事言えるわけないでしょう。いいから早く起きてください。」


そういうとミレイアはイオルから布団を引き剥がした。」


グランザム王国はまだ肌寒い時期であり流石のイオルも布団を剥がれては起きるとミレイアは思っていたのだがイオルは何事も無かったように寝続けている。


おかしいとミレイアは思いイオルを視てみるとイオルの周りに結界が張ってありこれで寒さと音を遮断していたのだ


一度ミレイアに布団を剥がれて起こされたことがあるイオルは、それからは寝る前に自身の周りに結界を張ってから寝ている。



そんなイオルの魔法の無駄遣い振りに流石のミレイアも少しイラっときたようで


「ディスペル」


そうミレイアが唱えるとイオルの張っていた結界が消えそして


「ウィンド」


再び唱えるとイオルの周りに風が発生した。この肌寒い時期に強風に当てられれば寝ているイオルも流石に起きる


「さっっっむ!なんだ⁉︎何が起こった⁉︎」


あまりの寒さに驚いたのかイオルが飛び起きた。


「ようやくお目覚めですか、イオル様。国王様がお呼びです。直ぐに向かいましょう。」


「ミレイア⁉︎お前なんていう起こし方してくれてんだ!普通に起こせよ!」


「普通に起こしましたがイオル様が結界を張っており全く起きませんでしたので今回のような手段を使わさせていただきました。今後このような起こされ方をしたくないのでしたら結界など張らずに普通に寝てください。」


ミレイアは淡々と言っているがそこそこ長い付き合いのイオルにはミレイアがイラついているのとに気づいたので素直に謝った。


「申し訳ありませんでした。これからは普通に寝ます。」


「わかっていただければいいのです。では、向かいましょうか」


「…はい。」


改めてミレイアの恐ろしさを胸に刻んだイオルであった。




イオルの自室を出て国王様の元へ向かう途中でイオル達は面倒なのに絡まれた


「余りにもこの王城に相応しくない者が居ると思ったらお前かイオル=グレースト」


いきなり、イオルに喧嘩を売るように絡んできたこの男はゲイル=アブノートといい、公爵家の息子で顔もそこそこ整っておりしかも宮廷魔導士でもある。なので昔から偉さをひけらかしており大して実力もない上に(ゲイルはそう思っている)貴族でもない平民が自分より上の地位にいる事が気に入らないのでイオルに度々絡んでくるのである。


今も、ゲイルはそな権力に惹かれた取り巻きの魔導士を連れていた。


もちろんイオルは全く相手にしておらずいつも話の半分も聞いていない。


「あっそう。あと俺、一応お前より立場上だから少しは言葉使い気をつけろよな。もう何回も言ってるけど」


「何故俺がお前なんかに敬語を使わねばならん。貴様などただのお飾りではないか、実力も実績も私のほうがあるのに何故お前なんかが上なんだ」


「へいへい、そうですね。じゃあ国王様にでも直訴してみれば〜」


もう会話するのに疲れたのか適当に返事を返し

先に進んで行ったのでミレイアも後をついて行こうとしてゲイル達とすれ違ったがその時、強烈な不快感が襲ってきたので振り向くとゲイルがミレイアの全身を舐め回すように視ておりしかも、目が合うと笑いかけてきたのでミレイアは堪らず目を逸らしイオルの側に駆け寄った。




そんなミレイアの様子をみたゲイルは更にイオルへの憎悪を膨らませた。

ゲイルは以前からミレイアの事が気になっており公爵家の力を利用して何とか手に入れようとしたがミレイアの実家も貴族でゲイルの家ほどでは無いが力を持っており、しかもミレイア自身が地位が自分より上のイオルの秘書になったことにより裏から手をまわしにくくなってしまったのだ。

ミレイアがイオルの秘書になった後はミレイア本人に自分の元に来ないかと誘ったがすべて断られていた。

なのでゲイルのイオルに対する憎悪には自分が気に入っていたミレイアを奪った事も足されているのである。




ゲイルと別れた後イオルたちは


「はあ〜、何であいつはいつも俺たちに絡んでくるのかねぇ?」


イオルはメンドくささを隠そうともせず呟いた


「イオル様が仕事をしないのが原因だと思いますが…」


ミレイアはゲイルが自分に執着しているのに気づいているがイオルにその事を伝えるつもりはない。余計な心配をかけたくないというのもあるがその他にそれを聞いたイオルの反応を見るのが怖いという可愛らしい理由もあるのだった


「ダルイからもう絡んでこないでほしいなぁ」


心底嫌そうにいうイオルにミレイアは内心申し訳なさを感じずにはいられなかった


(私がイオル様の秘書をしているせいでゲイル様に恨みを買ってしまっている…私が秘書を辞めればいいのですが…それはどうしてもしたくありません。申し訳ありませんイオル様)


そんなやり取りをしている間に国王様に呼ばれた部屋の前に着いた。


コンコン


「宮廷魔導士長のイオル=グレーストです。」


イオルがそういうと中から


「おう、来たか。入れ」


そう年季を感じさせる声で入室を許可されたので


「失礼します」


「失礼します」


イオルとミレイアが部屋の中に入ると部屋の中央の机の前に座っている国王が声をかけた。


「では、今回の件の報告をしてくれ」


エラフェム=グランザム

この国の現国王であり国民から賢王と敬われている人である。50を越えているがまだ衰えは感じられず国のために働いている。


国王にそう言われるとミレイアが今回の依頼の報告をしはじめた。



報告を聞き終わると国王が


「ふむ。森への被害を最小限にとどめ良くやってくれた。普段からそれくらいしっかり仕事をしてくれるとありがたいのだがな」


褒めると同時にイオルにもっと仕事しろと言外に言ってきた国王に対して


「いや〜それは無理ですね。そんな事したら俺が死んじゃいますよ」


国王相手に何て口の利き方だ!と、この場にミレイア以外の者が居たらそう怒るような態度だがイオルは15の頃から国王と面識があったためその時の口調が出てしまうのである。国王も手のかかる息子のようにイオルを思っているのでその辺の事をとやかく言ったりしない。ミレイアも最初こそイオルに対しバカじゃないのかと思ったが今では慣れてしまった。


「相変わらずじゃなお前は。まあよい、もう戻っていいぞ」


「うい、失礼しました〜」


「失礼しました」


入室の挨拶は部屋に他の誰かが居た場合を考えて丁寧に挨拶をしていたイオルだが国王様しか居ないとわかった途端にこれである、ミレイアも思わず呆れてしまった。




国王様の部屋から出ると



「んじゃあ、ミレイア俺は部屋に戻って寝るからまた明日な」


「はい。イオル様お休みなさいませ」


そう言うとイオルとミレイアはお互い自室に戻っていった。


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