第4話 盗賊退治完了


イオルの付き合いきれないと言う発言にキレた盗賊魔導士は上級魔法を唱えた


「我 円環の理を統べる者 焔の形代をもち 顕現せよ! フレイム バースト!」


盗賊魔導士の周りに集まっていた魔力が徐々に炎に変わりはじめ空気が熱を帯び肌を焦がすような熱気がイオルたちを襲ってきた


「これ、予想以上にスゴイな。俺もやるしかないな」


想像を越えた魔法を前にイオルも魔法を詠唱し始めた。


「我が盾として 顕現せよ」


イオルが詠唱すると中級魔法のシールドを唱えイオルの前に巨大で透明な盾が出現した。


「貴様!その程度の中級魔法でこの魔法が防げるわけないだろう!」


「これで防げるとは思ってねーよ」


イオルがそう言って杖を軽く振り下ろすと先ほど出現した盾と同じ盾が複数重なるように出現した。


「無詠唱でしかも重ねがけだと⁉︎だが、それでもこの魔法は防げん!」


盗賊魔導士がそう言うと巨大な炎の塊がイオルたちの方へ迫ってきた


「これで終いじゃねぇよっ!」


「エンチャントプロテクション!」


イオルがその盾にさらなる魔法をかけるとと先ほど出現させた複数の盾が緑の光を帯びると炎の塊が盾に衝突した


「うおおおおおぉぉぉ!」


盗賊魔導士は裂帛の表情で魔力を注いでいるが

対してイオルは落ち着いているようにミレイアには見えていたが


これ結構ヤバくね?シールド重ねがけしてエンチャントもつけたけど少しキツイかも…


イオルがそんな事を考えていると


ビキビキッ


嫌な音が鳴り響いた。


「ふん!その盾粉々にしてくれる!」


「イオル様!盾にヒビ入ってるんですけど⁉︎なんとかして下さい!」


盾にヒビが入ってるのを見て流石に冷静でいられなくなったミレイアが焦った声で背後から大声で怒鳴る


「わかってるから心配すんな」


イオルはそう言うと再び杖をふった。そうすると盾がみるみる修復していき何事も無かったかのように戻って炎を防いでいる


「な、なに⁉︎炎を受けながら高速で復元だと⁉︎ありえん!」


目の前で起きている現象を信じられないとばかりに盗賊魔導士は吼えるがイオルは何も答えず杖から魔力を送っていた。





しばらく、炎の塊は盾と衝突していたがやがて魔力が尽きたのか徐々に威力が落ちていき炎は消えていった。


それを確認したイオルは盾を消すと


「ふうっ、これで終いだな。まあ、森が少し燃えたがこれくらいなら大丈夫だろう。」


「そうですね。森が無くなる所でしたからこの程度ですんだ事を喜ぶべきでしょう。」


「じゃあ、さっさと盗賊捕まえてかえるか」


「はい、そうしましょう。」


そう言ってイオルとミレイアは盗賊魔導士のいた方へ近づいていくとそこでは盗賊魔導士が魔力を使い果したのか気絶して倒れていた


「まあ、あれだけ魔力込めてたらそりゃ気絶くらいするか」


「そんな攻撃を受けて全く疲れてないイオル様は化け物ですか?」


ミレイアは心底不思議とでも言うように問うてきた


「失礼だなぁ、超疲れてるっつーの。マジヤバい、もう倒れそう。」


「それは、いつも通りの状態であって疲れている訳ではありません。とりあえずこの魔導士を捕縛しましょう。」


「そうだな、ほいっ」


イオルが気の抜けた声を出しながら杖をふると倒れている魔導士を光の縄が拘束した。


「それじゃあ、さっき逃げてった他の盗賊たちも捕まえるか」


「はい、手分けして捕まえましょう」


そういってイオルとミレイアは二手に分かれて盗賊を捕まえはじめた





10分後


30人以上いた盗賊達は1人残らず捕まっていた。イオルはテレポートと光の縄で捕まえ、ミレイアは広範囲に広げた風の魔法で盗賊たちを搦め捕り捕縛した


「これで全員捕まえたな。それじゃあ、有り金とこいつらが奪ったもの貰ったら帰るか」


「ちょっと待って下さいイオル様。まさかとは思いますがお金と取り返した物を全部貰うつもりでいるんじゃないですよね?」


「うん?ミレイアも欲しいのかだったら半分やるよ。まあ、今回の仕事は二人で受けたものだし当然だな」


「そう言う事を言っているのでは無くこの場合、そういった物は全て国王様に提出するべきではと言っているのです」


「いやいや、普通は盗賊を倒したときにあった持ち物は倒した者が手に入れる決まりだろう」


「そ・れ・は・冒険者の理屈です!私たちは宮廷魔導士です。私たちは国の為に働く立場にあり国民から奪われたものは国王様に一度お返ししそれから持ち主に返されるべき物なのです。そうする事でさらに国民の信頼を集めることが出来るのです」


ミレイアが声を大にして宮廷魔導士としての自覚が足りないイオルに説教をする


「そもそも、イオル様は別にお金に困っている訳ではないですよね?」


「うん?まあ、宮廷魔導士長って給料良いし金はいっぱいあるけどそういうことじゃないじゃん?盗賊討伐の醍醐味って、倒した後に盗賊たちがどれだけ物を溜めてたのかわくわくしながら漁るのがいいんじゃん。それで宝の多さで一喜一憂するのが楽しいんじゃん」


「それが許されるのは冒険者だけです。宮廷魔導士でしかも、お金にも困っていない人が国民のお金に手をつけるなどあってはいけないことなんですよ」


「ケチだな〜。今回くらい見逃してくれよ〜」


「無理です。では、明日から一週間毎日わたしがイオル様の食事の準備をいたしましょう。それでどうですか?」


一見大したことないように思えるミレイアの提案だったがイオルには効果抜群だった。ミレイアの料理の腕は王城の料理長に匹敵し、しかも王城で出てくるような堅苦しい料理ではなくイオルの好みを把握した食べやすいものなのでこの提案にイオルはものすごく悩んでいた。


「ぐぬぬぬぬ…」


「いいんですか、イオル様?わたしが料理を作るなど滅多にないですよ?しかも一週間も」


ミレイアはイオルを誘惑するように追撃をかけていく


くっそぉ、盗賊のお宝という一瞬のロマンとミレイアの飯が一週間も続くという長い幸せどっちかを選べだなんて卑怯な……。ただでさえ滅多に料理を作ってくれないミレイアが一週間も作ってくれるなどそうそうあることではない。

という事は必然答えも決まってくるわけで


「…わかった。盗賊のお宝は諦めるから一週間料理を作ってください。」


ミレイアがこの提案を出した段階でイオルの負けは決まっていたので項垂れながらイオルは告げた。


ミレイアは、イオルが盗賊の宝を諦めてくれた事か自分の料理を選んでくれたことのどっちの理由かは本人しかわからないが口元を嬉しそうに緩ませていた。


「それじゃあ、盗賊のお宝回収して帰りますか」


「はい、そうですね。」







それから少しして盗賊のアジトを発見し二人はお宝を回収し盗賊たちを連れてイオルのテレポートで王都に帰った。








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