正月記念短編.とある野良徒党の初狩猟《ファーストハント》

【おことわり】

 これは、本編とはまったく……とは言わないまでも、あまり深く関連しない、言うならば『ドラ〇もん』の本編テレビばんに対する番外編げきじょうばんみたいな感じのエクストラな御話ストーリーです。本編に於いてこの話の登場人物たちが主人公と絡んでくる保障はありません。


 …………


 時は2015年──と言っても、火星の名を冠した少年型ロボットが生まれるわけでも、地軸が傾いて箱根に近未来都市が築かれるわけでもなく、少なくとも日本人の多くは(少子高齢化と未だ微増と微減の境目を横ばいする経済状況に目をつむれば)そこそこ平和な日常を謳歌していました。

 そして年の瀬も押し詰まった12月31日の夜。

 築30年目の木造2階建て/2LDKの貸家に居を構える牧瀬(次男)宅を、ひとりの客人が訪れたのです。

 「兄貴ぃ~、ハンモンやろーぜハンモン!」

 ──まぁ、訪れた方も“牧瀬”(三男)なのですが。

 「…………いや、まぁ、別にいいけど、なんでわざわざ大晦日に人んに押しかけてくるかね、三郎おまえさんは」

 この家の主である牧瀬双葉(30歳・独身・♂)氏は、少々呆れ顔ながらも2歳違いの弟を、快く迎え入れました。

 「にしても珍しいな。わざわざ俺に言ってくるってことは、PC版のHMFL(ハンティングモンスター・フロントライン)の方だよな?」

 「もち。いやぁ、ファミリーコンソール通信読んでたら、HMFLのアップデート記事が載っててさ。見てたら、ついまたやりたくなったんだよ」

 大きな肩掛けカバンから取り出した自前のノートPCを立ち上げつつ、双葉あにからの問いかけに、三郎は楽しげに答えます。

 「コン通ってまだあったのかー」

 とっくに潰れたかと思ってたと、しみじみとした口調で本音を漏らす双葉。

 「いや、ちゃんとあるよ! 俺が未だ唯一定期購読してる紙の雑誌だからな!?」

 家庭用ゲーム好きの三郎おとうとは憤慨しますが、現実問題として書店での雑誌の売り上げが落ちていることは事実です。

 「兄貴だって中学生くらいまでは夢中で読んでたクセに」

 「高校入ってPC買ってからは、俺はソッチ方面にシフトしたからなー」

 「エロゲーマニア、乙」

 「そっちじゃねーよ! そりゃ、その方面もそれなりにやりはしたけど……あ、Wifiのパスは“0Makibawa3dori”な」

 「りょーかーい。“臨時徒党”は俺が立てて、招待する形でいいよな」

 普段は家庭用メインとは言え、トライステーション版『HMF(ハンティングモンスター・フロンティア)』の方をやり込んでいた関係で、三郎もPC版である『HMFL』はリリース当時に多少なりともプレイしています。

 もっとも、そのハントランクは51──「下級から上級に上がったばかり」といったところで、双葉のような超級オーバーマスター狩猟士から見れば、「ようやっと素人を卒業したか」程度です。


 「それで、わざわざ今日、うちに来たってことは、年末年始のスぺシャャルイベントが目当てなんだよな?」

 ゲームにログインし、無事“中”で合流したあと、アバターPCの“リーヴ”と“マックス”を狩猟士協会ハントマンギルドの酒場にたむろさせつつ、双葉は三郎に確認します。

 「そそ。「ツルは千年・カメは万年」とか言うイベントで、正月にちなんだネタ系武器防具が作れるんだろ? 馬鹿馬鹿しいけど、ちょっとおもしろそうだし」

 「ああ。毎年恒例っちゃ恒例だな。今までは、ハントランクの低い人間プレイヤーには少々ハードルが高かったんだけど、確か今年からその辺が大幅に緩和されるって話だ」

 去年の紋付/振袖型防具を作るのは、俺くらいのランクでもエラい苦労したからなぁ……と、双葉は哀愁に満ちた目つきで虚空を見上げています。このゲームの廃人の3歩ほど手前にいる(≒逆に言えば3歩踏み込めば廃人領域の)双葉が、そんな愚痴を漏らすほどですからよっぽど過酷な(もしくは忍耐力がいる)イベントだったのでしょう。

 「それ、絶対、俺程度のカジュアルプレイヤーは入手できないよな? 運営は何考えてんだか」

 「ホント、それな。なんで、流石に今年は反省したのか、条件がだいぶ緩和されたってワケだ」


 ふたりはアバターを操作し、普段と異なる晴れ着風の服装をした協会の受付娘に話しかけ、【新春特別依頼】と表示された依頼クエストを受注します。

 「「ツルは千年・カメは万年」ってくらいだから、鶴と亀に見立てた巨獣モンスターを狩ってくればいいのか。去年は適正ランク90の怪獣デーモン3種だったから、格段にマシだな」

 “依頼書”の中身を確認した双葉リーヴが、安堵の溜息を漏らします。

 「いや、そりゃ兄貴──もといリーヴの姐御なら楽勝だろうけど、ランク51のマックスにはかなり辛そうなんだけど」

 “ツル”こと銀麗鳳グルサルゲントは翔禽種に属する巨獣で、白銀色をメインにしたカラーリングと、長めの首を持つことから、確かに丹頂鶴っぽく見えないこともありません(もっとも、あかいのは頭頂部ではなく喉袋の方なのですが)。

 なお、グルサルゲントの攻撃で一番恐れられているのは、この喉袋に溜めこんだ推定温度200度近い油溶性の唾液(?)です。ドラゴンのブレスなどと異なり、それこそ唾か痰のように塊りで吐きかけてくるので、受ける方からしたらまさにエンガチョ状態。心理的な嫌悪感を別にしても、まともに食らうと「火傷」の状態異常となって、継続的に体力がゴリゴリ減る(そして解毒薬でも解除できない)のも嫌がられる一因でしょうか。

 「この依頼クエに出るグルサルゲントの適正ランクは40だから、三郎おまえでも狩れるだろ? リーヴも同行すれば楽勝だろうし」

 ちなみに、銀麗鳳の素材からは羽子板型の片手剣ができる模様。また、後衛用に長弓・短弓共用の「破魔矢」も作れるようで、このイベント期間に限り、「破魔矢」は“ツル”と“カメ”に特攻(ダメージ2倍)となっています。


 「まぁ、“ツル”の方は何とかなるとは思うんだけどさ。問題は“カメ”なんだよ」

 このイベントで“カメ”に見立てられているのは玄帝亀アーケロン。白亜紀に実在した巨大亀の名前を受け継ぐ、背甲種カメに属する巨獣です。

 外見もアーケロン(現実)をモデルに作成つくられているのですが、全長7プロト、全幅は8プロト強と“実物ほんもの”よりひと回り大きいうえ、甲羅も豪鋏蟹ギガルカータなどが属する硬殻種の殻に近い硬さを備えています。その分、甲羅が重いのか、動きの俊敏性には欠けますが、下級狩猟士の生半可な武器ではまともにダメージを与えることも難しいでしょう。

 「あれっ、マックスって一応上級じゃなかったっけ?」

 「上級にあがってすぐにプレイしなくなったんだよ!」

 狩猟適正ランクは60。ランク51の三郎(のアバター)単独では確かに厳しい相手です。

 「上級用の武器は、何も持ってないのか?」

 「夏イベの時期だったから、参加して“和太鼓砲”と“祭用鉾”は作ったけど……」

 どらちもネタ系の武器としては比較的真っ当な性能の弩砲バリスタ軽槍スピアですが、マックスは主にロッドカタナを得意としています。軽槍の方は、まだ棍と扱いが多少似ているので、使えないこともないでしょうが……。

 「むぅ、ブランク明けの復帰で、慣れない武器はキツいか。仕方ない。野良で徒党募集して、あとひとりかふたり人手を増やそう」

 リーヴの指示でマックスは、現在“いる”臨時徒党の設定を「クローズド」から「条件付きオープン」に変えて、他のプレイヤーが応募してくるのを待ちます。

 さすがに12月31日の、しかも日付が変わる3時間程前とあって、人が来てくれるか危惧していた兄弟ふたりでしたが、世の中、意外に暇な(もしくはコアな)人が多かったようです。

 すぐに、大剣を使う黒衣の青年「ケンロー」と、刀使いのポニーテイル少女「シュガー」が応募してきたので、募集を締め切ることになりました。


 「あ、リーヴの姐さん、オッスオッス!」

 どうやらシュガーの方はリーヴの知り合いのようです。ボイスチャットでは男女どちらにもとれる中性的な声に聞こえますが、これは若干ハイトーンに補整がかけられているためで、実際の(中の人の)性別は双葉同様に男性だったりします。

 付け加えると双葉の方にも同様の補整はかかっていますが、元の声質の差かリーヴの声はかなりハスキーなアルト声(?)になっているため、本人プレイヤーが男だということは割と多くの人に知られています。

 「はじめまして。鶴亀退治に行くんですよね。同行させてください」

 ケンローの方は、初対面ということもあってかやや堅めの対応。必要なことだけ口にして黙っているのは、元から寡黙なのか人見知りなのか、それとも単に面倒くさがりなのか判断しづらいトコロですね。

 ともあれ、途中参加したふたりもランク51は超えているので、問題はないと判断し、一同はその場で臨時徒党を結成、まずは銀麗鳳狩りに出かけることになりました。


 …………


 「で、グルサルゲントの方は問題なく狩れたワケだが」

 「……アレを問題なくって言うのか」

 依頼クエストの前半戦が終わったところでいったん小休止を入れ、手元のお茶を飲みながらシレッとした表情でのたまうふたばに、疲れたような顔でさぶろうボソリとツッコミを入れます。

 「いやぁ、アレくらいは野良徒党なら日常茶飯事だろ。気にするなって」

 4人は、まずは鶴狩りの方から手を付けたのですが、リーヴの知人であるシュガーはともかく、ケンローの方が少なからず地雷こまったちゃんだったのです。

 狩猟士プレイヤーとしての技量がまったくないワケではありません。他の徒党メンバーにおんぶ抱っこで“寄生”してランクを上げてきた“なんちゃって上級狩猟士”などではなく、少なくとも下級の狩猟対象なら、すべて単独ソロで討伐できるだけの腕前は十分にあると、リーヴもマックスも認めていました。

 それでは何が問題なのかと言えば──“連携”だったりします。ありていに言えば、ケンローは「徒党で狩猟に臨んでいるのに、単独の時とまったく同じ動き、立ち回りをする」プレイヤーでした。

 おそらく彼(?)は、マックス同様、家庭用版からPC版に入り、家庭用版と同じノリで、ほとんどの依頼をひとりでこなしてきたタイプなのだろう──と、リーヴは推測しています(そして、確かにソレは当たっていました)。

 「集団グループでの立ち回りは、一朝一夕では身に着かないしな。むしろ、より広い範囲攻撃を持つ刀使いじゃなく、動作モーションが遅めで、見てからもよけやすい両手剣使いで良かったじゃないか」

 やたら横方向に振り回す刀使いと、無策で突撃を繰り返す槍使い、そして考えなしに爆発系の弩弾をバラ撒く軽弩使いが、徒党での集団狩猟時に嫌われるベスト、いえワースト3です。

 ちなみに、シュガーは刀を装備していましたが、幸いなことに縦斬りと突きを中心に戦う堅実ぶなんな立ち回りで、特に問題となることはありませんでした。

 「でも、多少間合いが短いって言っても、両手剣のぶん回しも大概厄介なんだけど」

 「なに、逆に考えるんだジ〇ジョ。ケンローは仲間プレイヤーじゃなく、RPGとかで言うNPC的な存在だから、最初から共闘なんて無理だって思えば、こっちもそれ相応の覚悟ができるって」

 「いや、そこまで言う!?」

 呆れる三郎に双葉は自信たっぷりに告げます。

 「なーに、心配しなくても、亀退治では、彼にもキッチリ役割を果たしてもらうから」

 「そんな巧い手があるんかねぇ……」

 弟は半信半疑でしたが、兄の言葉は真実でした。


 まず、狩りを再開したところで、リーヴがケンローにチャットで、ある武器を持ってるか、尋ねました。

 「“ガマーカッツ・ロッド【深紅】”ですか? ええ、持ってますよ」

 マックスもシュガーも知らない、おそらくかなりマイナーと思われる武器の名前をリーヴが口にしたのですが、ケンローはこともなげに頷いたのです。

 「そいつはありがたい。ケンロー、君にアーケロン狩りでは欠かせない、ある重要な役回りを任せたいのだが、受けてくれるだろうか?」

 リーヴが厳粛な表情で(いえ、アバターだから、そんなに変わるわけでもないのですが、雰囲気です)ケンローに問い掛けると、彼は一も二もなく受け入れました。

 どうやら、先ほどのグルサルゲント狩猟で、ほぼいいとこなしだったのを内心気にしていたようです。

 「そうか、助かる! よし、この狩猟たたかい、我々の勝利だ!」

 「おい、ばか、やめろ」

 おそらくわかっていて死亡フラグを立てるリーヴに、マックスが蹴りのモーションでツッコミを入れます。

 「ま、まぁまぁ、ふたりとも落ち着くっスよ。それで、そのガマーカッツ・ロッドなんちゃらって、どんな武器なんスか?」

 シュガーの問いに、リーヴとケンローは異口同音に答えました。

 「「拘束鞭バインドウィップ」」


 …………


 14種の武器が用意された『HMFL』の中でも、拘束鞭は相当に癖の強い武器と言えるでしょう。

 基本的な形状は、半プロト前後の長さの棒の先に、革や金属繊維などで作られた3プロト前後の丈夫な鞭が取り付けられており、片手(時には両手)でそれを振るって相手を打ち据える打撃武器のひとつに分類されています。

 直接攻撃力は、全武器種のなかでも最低クラスであるものの、近接武器としては重槍ランスすら凌ぐ攻撃範囲を持っています。ただし、その操作方法は複雑で、初心者はまず攻撃をまともに当てることすら難しい反面、熟練者が扱えばアクロバティックな動きで対峙する獲物を翻弄することもできるのです。


 「その拘束鞭の中でもガマーカッツ・ロッドシリーズはちょっと特別で、持ち手である棒の部分が2プロト近くあるんだよ」

 「こんな感じです」

 一度離脱して、装備を換えて戻って来たケンローが持つその武器を目にした時、マックスもシュガーも、リーヴが何をさせるつもりなのか、大よそ把握したようです。

 「姐御、もしかして……」

 「まさか、“釣る”つもりですか、玄帝亀を」

 ふたりの呆れたような視線にも、リーヴは平然と頷きます。

 「その通り」

 確かに、玄帝亀アーケロンは、その名の元になった古代生物同様、水棲の巨獣です。

 このゲームにおいて水棲の大型種や巨獣は、種類ごとに定められた手順を踏めば、過半数が「釣り上げ」て、陸上に引きずり出すことができるシステムになってはいますから、アーケロンが「釣れる」タイプだったとしてもおかしくはないのですが……。

 「上級の狩猟対象巨獣の場合、たいていは釣り竿が耐えきれなくて折れるんだよなぁ」

 マックスが顔をしかめているのは、苦い経験があるからでしょう。

 「うむ。そこで、このガマーカッツ・ロッドシリーズ最上級の【深紅】の出番だ。もともと、巨獣の四肢に絡み付けて動きを阻害することが目的の拘束鞭なら、巨獣が多少暴れようが、ちょっとやそっとでも折れないしな。ちなみに、エサはメガリグスの幼生あたりを捕まえて、先に括り付ければOKだろう」


 …………


 「──まさか、拘束鞭にこんな使い方があったなんて……」

 カツオの一本釣りよろしく鞭を引っ張り、暴れる巨大亀の動きを巧みに牽制しながら、ケンローは唖然として呟きます。

 そう、リーヴの言う通り、ガマーカッツ・ロッド【深紅】を釣り竿に見立てて使う作戦は、恐いほど順調にハマったのです。

 本来は相手のテリトリーであり、かつ狩猟士にとっては色々ハンデの多い戦場となる海中で戦わねばならないはずなのですが、アーケロンを釣って陸に上げることで、相手の強さも機動力も半減以下に落ちているのですから。

 「いや、このゲームの場合、そういう隠し機能は案外多いぞ。特に外観がネタ武器で、素の性能がイマイチな代物の場合、隠し機能の可能性が高いな」

 ベテランプレイヤーらしく、リーヴが語ります。

 まったくの余談ですが、このリーヴの話に感銘を受けたケンローは、どの武器にどんな隠し機能があるのかを調べるために、あらゆる武器を求める武器コレクターへの道を歩み始めるのですが……まぁ、この場ではあまり関係のない話ですね。


 閑話休題。

 銀麗鳳グルサルゲントが「攻撃力が高い反面、防御は紙」な仕様だったのに対し、玄帝亀アーケロンは「攻撃力低めだが、防御面がトップクラス」なのがウリです。たださえ、防御力が高いのに、水棲によるハンデまでつけられては、並の狩猟士では歯がたたないでしょう。

 しかし、その前提条件を覆すこの「スッポン釣り」(命名:リーヴ)の手法を使えば、狩猟適正ランクがかなり下がり、ランク51を超えたばかりマックスやシュガーでもなんとかなります。


 「ふぅ……これで丁度10体目だっけ?」

 「たぶん、そのはず……」

 とは言え、連続で10体続けて乱獲するのは、上級狩猟士たちでもいささとかキツかったようです。途中で日付が変わり、「あけおめ」の応酬で新年を祝いつつも、ひたすらアーケロンを釣り、そして撃破し続けた四人も、そろそろ集中力の限界が訪れるトコロだったので、依頼達成に必要な10体を討伐できたのは僥倖と言えるでしょう。


 「お、ゲームの中で見る初日の出ってのも、なかなか乙なモンだなぁ」

 そのまま紛い物とは思えぬ見事な日の出を4人で拝んでから、この臨時徒党は解散となりました。


 …………


 「で、どうだった、今回のイベントは?」

 「ああ、大変だけど、おもしろかった。たまにコッチのPC版引っ張り出して遊ぶのもいいもんだな」

 ログアウトの後、牧瀬兄弟は同じ部屋でおせちをツマミに日本酒を酌み交わしながら、ぐだぐだ駄弁っています。

 「そういや、今回のイベントで作れた装備も、何か隠し機能あるのかな?」

 ふと思いたって、そんなコトを口にする三郎に対して、双葉はニヤリと頬を歪めます。

 「おぅ、あるぞ。和傘っぽいデザインの重槍は、「使う」アクションをすることで、傘の部分を広げてクルクル回すことができる。さらにその上に物を乗せて回すこともな」

 「これでいただくものはおんなじでござーい……って?」

 「うん、アレだ。羽子板剣の方も、装備して用意された特定の場所に行けば、羽根つき大会に出て、ラリーのミニゲームを遊ぶことができるぞ」

 「無駄なところに力入れてんなぁ」

 「いいじゃないか。こういうアホらしいことに力を注ぐ運営って、嫌いじゃないわ」

 「はいはい」

 ちょっとだけ同感できる自分が嫌だと思いつつ、三郎は窓から差し込む本物の初日の出の光の方へと視線を向けます。

 「ま、来年の正月までこのゲームが続いてたら、つきあってやるよ、兄貴」

 「おぅ、期待せずに待ってるわ」


 ──この約束が果たされたか否かは、皆さんもよくご存じですよね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

牧瀬双葉は転生超人である──ただしチートはない 嵐山之鬼子(KCA) @Arasiyama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ