3-6:ライチ2

状況を整理しよう。リッカちゃんはさらわれた。その行き先はリッカちゃんの家。そして、公園は魔法領域と化している。

「さて、どうしたものか」

マモリから報告を受けたライチは悩んでいた。


敵の狙いはおそらくミライ君だ。だが、その理由が分からない。いや、まったく当てがないというわけではない。おそらく、ミライ君の『記憶』が狙いだろう。


『記憶』は、並の魔法使いが持てる言葉ではない。もしも、リッカちゃんが元の持ち主であれば、その力をおびき寄せ、また一つに戻すという敵の狙いは不自然ではない。


であれば、今できることはなにか。さしあたって、無策に飛ぶこむのは悪手だ。少なくとも、ミライ君が万全の状態でなければいけない。それと、まだ知らなければいけないことが、一つ残っている、とライチはふんでいた。


ミライ君の力は強すぎるが、約束という言葉に縛られているようにも見える。その約束自体が、なにか、魔法だとしたら……。

「いや、考えすぎだ。そもそも仮設が多すぎる」

ライチはあえて声に出し、思考を一度停止させた。


考えすぎてドツボにはまるというのは、良くない。いますべきことは決まっている。休み、明日に備えることだ。


ライチは自分の心理世界へと入り、魔力を整えた。

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