3-5:マモリ2

ことを重く見たマモリは、すぐにライチに連絡を取った。

「もしもし、ライチさん?」

「む、ようやく繋がったね」

「ようやくってどういうこと?」


「伝えたい事があって何度か電話をかけたんだけど、ずっと繋がらなくてね」

ずっと繋がらなかった?マモリは客新履歴を確認する。が、ライチからの着信記録はない。

「伝えたいことってなんです?」


「ああ、リッカちゃんが連れ去られた場所がわかったよ。リッカちゃんの家だ」

「家?でもなんで?」

「細かい理由はまだ分からない。中継地点なのか、何か必要なものがあったのか、あるいは、オレたちを誘い込む罠か……」


罠、マモリにもその感覚はあった。標的が集まりやすいように、あえてそういった場所に陣取る黒魔法使いは少なくない。では、だとしたら、この公園は?

「あの、実は公園が」

「公園が?」


「公園が魔法領域になっています」

「……なるほど、拡大の様子は?」

ライチは至って冷静だ。あるいは、冷静を保とうとしていたか。


マモリは公園の様子を見る。境界線が変わることは、まだなさそうだ。

「いえ、なさそうです」

「それならば、まだ急ぐ必要はないだろう。相手も罠を張っている可能性が高い。であれば、誰を狙っているかを考えると、まだ猶予はある」

「ミライを狙っている、と?」


「そういうことだ。いいかい?このことはまだ、ミライ君には内緒だ。教えれば無茶苦茶に飛び出していってしまうだろうからね。予定通り、明日、集まった時に話そう」

ライチの提案はもっともである。ミライには、約束を守るという強い意志がある。だが、その意志が、いささか強すぎる。まるで、それ自体が呪いに見えてしまうほどに。


「わかりました。それじゃあまた明日」

「ああ、また明日だ」

電話を切る。雨はまだ降り止みそうにない。

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