ハロウィン自体が、イヴだからね。

 3週間目、最後の夜。

鳥目だけど、赤い満月の光と 今夜は Halloween、街には 仮装した人達で溢れ返って、賑やかだから 明るめで、何とか飛べる。

 遠くで 狼の遠吠えみたいなのが聞こえる中、ドラキュラは 目を赤くして、マントまで装着し。数人のお客と 大道りの交差点で、何故か 桜吹雪をまき散らしてる。根暗な 包帯男も、フランケン と サトリに誘われて、表に繰り出しているみたい。シルフが その上を、くるくると 嬉しそうに飛び回ってる。


 店の方まで来ると……

ゥンン??? 屋根の上に 2人の人影 浮いてる? 悪夢と誰だろ? それと 良く見えないけど 店の前で、あの花屋のと 誰かが話し込んでる。あぁ~! そんなのはどうでも良くって、後しばらくで 上への通路が閉ざされてしまう!

 その前に やはり


『私に気付いて欲しい!』


 厨房に明かりが灯っている。夜なら人目につかないだろうと、窓の柵に掴まって 様子を伺うと

『あ☆ あの人が居る!』

思い切って ガラスをつついてみる。


コンコンっ


 気付いてくれない…


コンコンッコン


 気付いてくれない…


コンコンコン!


 気付いてくれない…



 『ようし! こうなったら! ドアの方を』

一旦 地面に降りて、チョンチョン跳びで 勝手口へ。

金属製のドア板を つっついて


カンカンっ  カンカンッ


『あっ 気付いてくれたみたい、足音が近付いてくる!』



 ガチャッ バン!

ドアは外開きで 思いっきり開いたドアに、何かがぶつかって 吹き飛んだ。

「ふんもお?」






 飛ばされた 私は、気を失っていたみたい…

大きな 優しい瞳で、あの人が 私を見つめている。

「ふんもぉ?」

蹄の前足で、そっと撫でてくれてる。

『あぁ 夢じゃないかしらぁ~』

「ふんも?(大丈夫?)」

『えぇ 平気です』

「ふんもも?(言葉がわかるの?)」

『はい 普通に』

「ふもぉ~~~!(おぉぉおおお!)」



『ハッ!!今の時間は?』

時計を見ると 朝の6時前、期限の時間をとっくに過ぎてしまっていました。

もう 上の世界には戻れません・・・




 でも良いの、この人と ずっと一緒に居れるから。

そう 私は 【ウシツツキ】という鳥に変身していた。

 「ふんもお」という、この彼はパティシエ担当のミノタウロス。蹄を器用に使って デザートは作れるのに、卵だけは上手く割れない。



 しばらくして 王子も、心配そうに 覗きに来てくれました。

 他に 厨房には、イタリアン担当の 狼男も居る。だけど 卵の真ん丸な黄身を見ると、何故か 赤茶色のロングコートチワワに変身してしまうそう。満月の夜には 狼男になるけど、ToT の内装には 特殊な加工がされていて。王子の怒号の魔力は元より、皆の魔力が吸い取られる仕掛けになっているから 店から出なければ、誰も 襲う事は無いんだと、ミノタウロスが教えてくれました。


 それでも 料理は出来ないから、あぁやって イタリアンの注文が出来ない時があるという訳なんだ! やっと わかった☆ それと 卵を割れば、黄身を見る事になるから 狼男にも頼めず、近いバーカウンターの ドラキュラに割ってもらってるみたいだけど、本当は 絡みたいだけっぽぃ、王子の可愛いところも ニコニコしながら話してくれた。


 翌日から 彼とは片時も離れず、仕事中は 頭や肩の上。休憩の時は 背中に。

 一番幸せな時は お休みの日、彼が寝ている間に そっと、唇を… そしてその中までも。 

 なるべく 迷惑にならない様にしているんだけど、そういうの 彼はちっとも気にしないみたいで、私が 何をしても許してくれる。


 だから 彼が好き!

下界に来れて 良かったと思ってる。


『ねっ♡』

「ふんもお♡」






*****




 後になって 彼に聞いたんだけど、何故 王子は、婚約破棄したのかを。


 王子が小さい時に 病床のお姉さんの好きな花をを摘みに 庭へ行ったら、指をケガしている子と出会って、思わず その子の指を口に入れてしまってた。その後 気分が悪くなって、それからというもの 鳥アレルギーが出る様になった。

 魔王を継ぐ者 弱みがあってはイケナイと、王子付きの執事数人しか その事実を知らず、人知れず 治療は続けてはいたそう。克服する為に 卵やチキンの料理を研究し、自ら作るようにして 何とか 鶏肉は食べれる様になったものの、どうしても 生卵は、触れるだけでも ダメならしい。


 だから 卵を割る事が出来ないし、許嫁の鳥族は 子供を卵で産むと知って、魔王には 真実を告げずに 婚約を破棄したそうだ。鳥族の姫に悪い事をしたと 心を痛めていると聞いた。

 

 『やはり 心優しい方だったんだ、よかった……』

それで 彼に、私の身の上は伝えずに 王子へ、マーレ鳥族の姫は幸せに暮らしていると伝えてもらえる様に お願いした。


 王子は それを聞いてか、お妃に迎える方を 下界で決めたそうです。

私も 安心しました。だって 私には、ミノタウロスのうっしーが居てくれるもの!




 おしまい

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Halloween Knight 〜 Twilight Alley 〜 外伝  密撼(みかん) @mecan

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