使い捨ての「機械」から、生き続ける「存在」へ

産業が発達し、「機械」があらゆる面まで発達した機械都市。
そこでは、人々の心もまた多くの機械を構成する金属のように冷たく固く、機械どころか「人間」まで好きなように弄び、手荒く使い切り、「メンテナンス」も行わないまま捨ててしまうと言う事が日常的に繰り広げられていました。
そして、主人公の少女もまた、そのような者に放逐され、自身の心も冷たく閉ざしてしまったのです。

ですが、丁寧なメンテナンスや定期的な修繕、そして何より使う人の愛情が注がれ続けた「機械」は、何十年でも何百年でもその真価を発揮し、動態保存されている蒸気機関車やクラシックカーのようにずっと第一線で活躍する事も出来る、と言うのもまた事実です。
少女を救ったのは、彼女の中の常識とはかけ離れた、優しくも奇妙なご主人様。彼との暮らしの中で、動かぬ「鉄くず」になりかけていた少女はどのように変わっていくのか……。
少女視点で描く、冷たさと温もりが入り混じった、どこか奇妙な、しかしどこか暖かな恋愛譚です。