第12話 会いたい気持ち

3日もすれば仕事に復帰しいつもと変わらぬ日々

その翌々日、かなえはまた39度を超えた熱を出す。


今度はインフルだった。生まれて初めてインフルになった。

エンくんには風邪と嘘をついてしまった。初めての嘘。

もしかしたらエンくんの最初の風邪もインフルだったんじゃないかな?


ただただエンくんに会いたかった。声が聞きたかった。エンくんは朝から夜まで仕事をして、その後自分のやりたいことをしているのは知っていたから電話も我慢した。

医者から告げられた安静期を過ごし終え、バーに向かう。



今まで3日以上顔を合わせない日がなかったから

いつものようにいる報告をする。来てくれるものだと思っていた。エンくんが来てくれるのが当たり前になっていて、甘えていたんだね。

エンくんからは

そうか しか返事がなくて

時間が経っても来てくれずにバーで号泣してしまった。この時初めて泣いたと思う

会えないだけで泣くなんて思いもしなかったけれど、泣き癖ってつくものなんだね。お酒も入っていたからなのかな


この時からエンくんの周りで少しずつ変化があったのかもしれない。

ただ具合が悪いだけだったかも知れないけれど

もう少し、お互いに歩み寄ることをしていたら・・・

もう少し、コミュニケーションがとれていたら・・・



かなえには不思議な第六感があった。

ネガティブだからとか、不安だけじゃない何かを感じていたけれど

以前いやな予感がしたとき聞いたらエンくんは話したがらなかったから

言えずに、言うこともなく

ただ日にちだけが過ぎていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る