第8話 キニナル

「...俺の目の前に女の子は居ないとおm...」

「...なんか言った?」

「なんでもないっす...」


ルークは悩んでいた。この女性は誰なのかと。そして、ひとつの予想が頭をよぎった。思いきってそれを口にしてみる。

「イリスのガールフレンド...?」

「「違う。」」

否定している割りに、息ぴったりじゃないか。


この人は、とイリスが説明してくれる。

「ルーク、この人はイブキ。弓士アーチャーだ。」

「イブキでぇ~す!それとこの子はバアムよ。」

獣使いビーストテイマーなんだろうか、連れている小さなドラゴンの紹介までしてくれた。

彼女自身はルークと対称的に、少しテンション高めな女性だ。

「んで、イブキ。こっちはルーク。銃士ガンナーだ。」

「ルークです。」

二人は、よろしくと言って握手を交わす。


ところで、とイリスが始める。

「俺は、一旦町に戻ろうと思う。二人は?」

「そうだね。僕はイリスを探しに来ただけだし。」

「俺を?なんで?」

ルークは経緯を説明した。

「なるほどな。この洞窟にドラゴンが増えすぎて危ないから止めに来たと」

そこまで言って、二人はイブキに顔を向けた。

「な、なによ。」

「...撃退しちゃったんですね。」

「正確には、未遂だけどな。」

「えへへ///」


「んじゃまあ、ルークも戻るのか。イブキは?」

「...戻るわ。」

一瞬の間は気になったが、、、気にせず三人で町に戻り始めた。

陽はまだ高かった。


~~~~~


酒場にて


「ぷっはぁ~! 生き返るゥ~!」

イブキの顔が緩んできた。

「お疲れ様。」「お疲れ様です。」

俺とルークが同時に労いの言葉をかけた。


「そういえばさ、イリスはどこから来たの?」

改まった顔つきでルークが尋ねる。

俺は故郷の名と旅のきっかけを話した。

「王城地区?そんな遠くから、一人で?」

「ああ。」

「ふぅん。」イブキが申し訳程度の相づちを打つ。 


「そっかぁ。どこまで行くつもりなの?」

ルークは話を続けるようだ。

「どこまでだろうな。魔王を倒すまで、なのかな。」

「さっき言ってた<故郷の敵>ってのは?」

「鬼族だ。そいつらの討伐も考えてるよ。」

それっきり、ルークは「すごいなー」としか言わなくなった。


「その、すごい旅にさ。もし着いていきたいって言ったら。」

「...別に構わないよ。」

ルークの顔が少し綻んだ気がした。



「二日後、陽が天上に昇る頃。

   一緒に来るなら、広場に。」


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