3話 走れ駄馬よ!バリーの愛の鞭教室
マリアンヌが吸血鬼とひと悶着している頃、バリーは群がる魔物達を蹴散らしながら城の直ぐそばまで来ていた
「はいやぁ!」
「バシンバシン!」
「あふん♡」
「ぎゃあん♡」
愛しの妻マリアンヌの為に特注させた大鞭。未熟なものが振れば肩を脱臼するほどの重量と、ライオンの首をへし折る打撃力を持った極め過ぎたマゾヒストを楽しませための愛玩具。その強烈な一撃が飛んでくるガーゴイル達を薙ぎ払っていく
「ウオオォォォ......」
「ちっ、ゴーストか!」
ガーゴイルに変わりゴーストが現れ、バリー達を襲った。バリーは鞭の振り方を変え、音速を超えた空気の破裂によりゴースト共を散らしていく
「パァン!」
「ウグォ…」
よく鞭は音速を超えると言われている故に、鞭本体が音速を超えてると勘違いしている人が多いが、実際に音速を超えているのは先端に付いたクラッカーと呼ばれる紐の部分だ。バリーはその紐のわずかな部分をゴーストに正確に当てている
「「ウオオォォ!」」
「囲まれたか!…だがいくら来ようと同じこと」
鞭はその長大な長さ故に大振りしかできないと思われがちだが、音速を超えさせて音を鳴らすだけならかなり連射が効く。決められた時間内にどれだけ多く鞭を鳴らすかを競うクラッキングと言うスポーツ競技があるくらいでだ
「パンパンパンパンパンパンパン!」
だがクラッキングなどのスポーツウィップの人口は多いとは言い難い。音速を超えた空気の破裂音が大きく練習場所が限られるのと、一部の日常的に鞭を扱う牧童などが居る地域でもない限り、鞭を持っていると何かと誤解を受け易いためだ。つまりバリーの様な人間のせいである
「「ウヲオゥ・・・♡」」
バリーは鞭の連射力でゴースト共を散らして窮地を脱した。
「ここがヤツの古城か・・・」
バリーは城門までたどり着き馬から降りた。すると・・・
「厳しい道のりでしたね。さあヴァゼラを倒しに行きましょう!」
「!?」
今まで乗っていた馬だと思っていた生物は二本の足で立ちあがって、自らの手で頭に取り付けられた頭絡を外してバリーに語り掛けた。バリーは驚愕し奇声を上げる
「馬じゃなぁあい!?」
今まで馬だと思っていた人物は自己紹介を始めた
「私の名はオルフェ!村一番の早馬にして最強の男!およばずながら手助けをいたします!さあ、一緒に魔物共を蹴散らしてやりましょう」
「お、おう…まあ・・・ありがとう?」
バリーが困惑している間にオルフェは先に中に入ってしまった
「ではいざ!そりゃあああ・・・・」
「バタン」
ひとりでに閉まった城門の中から戸惑う魔物の声と――――
「うわ!なんだコイツ!?」
「下がれ雑魚共!とりゃああ!」
「グチャグチャア!」
――――それを素手で引き裂くオルフェの声が聞こえる・・・その音を聞きながらバリーは ”着ぐるみを着ているわけでも無いのに全く気付かなかった。熟練のM奴隷は犬畜生などと同じ気配だと言ううがこれ程とは・・・ただ者では無いな!” などと考えていると善戦してた筈のオルフェの悲鳴が響いた
「ぎゃあああああ!」
「オルフェ!どうした!?」
「開けてはイケない・・・・メデュ…サ」
バリーが門を開けるとそこには石化したオルフェに姿があった
「オォルゥフェエエエ!」
オルフェ・ロットン。出会った頃は4本足、窮地を一緒に乗り越えたら2本足、そして…その最後はメデューサの石化能力とセクシーな見た目の為にカチンコチンの3本足になっていた。
「オルフェ・・・。家畜以下の気配をまとっていながら、ある意味人間らしい最後だった・・・」
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