2話 バリー、いざ古城へ! 一方その頃
俺の名はバリー・ベルモッド。復活した吸血鬼にさらわれた
「はいやぁ!」
「ピシッ」
「ヒヒン♡」
村長から村一番の早馬をいただいてきたのだが…吸血鬼の邪気に当てられているせいか酷く息が荒く悶えている
「まだ村から出たばかりだというのに、こんなに息を切らせて・・・・急がなけらばならぬと言うのにッ!このままではマリアンヌが!!」
焦った俺は強く馬に鞭を入れた
「パシィン!」
「ァヒ~ン♡」
鞭で打たれた馬は加速するどころかスピードを落としてしまった
「くっ!馬がこんなにも怯えて・・・・吸血鬼ヴェゼラがそれほど強敵と言う事かッ!!無事でいてくれマリアンヌ!!」
「パシィン!パン!パン!パン!」
「ヒッ!ヒン…ヒヒィァア♡」
バリーは錯乱し鞭を連続で馬に叩き込み、森の中を走って行った。一方その頃、ヴァゼラ城では―――――
「マリアンヌよ、いい加減、諦めて食事をとったらどうだ?」
「嫌よ!誰がお前らの食事なんか!!」
マリアンヌはヴァゼラが部下に用意させた豪華な食事をシーツごとひっくり返させた
「バリバリパリン!」
ヴァゼラは小さく首を振ってため息をつく
「やれやれ・・・。血の味を調える為のエサがまた無駄になってしまった。強情な娘よ」
「ヴァゼラ様・・・・」
ヴァゼラの隣に陽炎のように現れた、側近のエルダーリッチがヴァゼラにかすれた声で囁いた
「何だリッチ?」
「この娘・・・私の精神支配が全く効きません。まるで苦行や拷問に喜んで挑む教信者ような強靭な精神力の持ち主です・・・ただ者ではないかと」
「ふむ・・・食事としてはこのままでも上等か・・・」
ヴァゼラが迷っているとマリアンヌが立ち上がって部屋から出て行こうとした
「お手洗いに行ってきます」
「またか…先程も行っていたがお腹でも壊しているのか?」
マリアンヌは身体を振るわせてヴァゼラに言い放った
「そんなの・・・・決まっていますッ!アナタのような方は、フヘヘ、貴様のような気の強い女は尻が弱いのだろう?・・・・・と言いながら責め立てる気でしょう!覚悟はできています!ゆえに準備も怠りません!!」
「ん?なんだと??」
「ヴァゼラ様・・・・」
混乱するヴァゼラにリッチは耳元でささやいて事情を説明した
「ふむふむ・・・ふむ・・・む!?そんな事するわけないだろ!!!」
ヴァゼラは力強く否定したがマリアンヌは止まらなかった
「いいえ騙されません!この鬼畜外道!」
「何が外道だ!道を色々と踏み外しているのは貴様だろ!」
「くっ…食用家畜に身を落としているわが身に人としての道など・・・」
膝を着き泣き崩れるマリアンヌにヴァゼラは続けて言い放つ
「間違っていないが違う!踏み外す道が決定的に違う!!貴様ら人間共はアレか?これから食す家畜にそのような真似をするのか?しないだろ!」
マリアンヌはヴァゼラの言葉を聞いてハッっと立ち上がった
「は!?まさか・・・・食事を食らわぬなら我のを流し込んでやろうと!?卑劣な!人間では味わえぬ魔物の強靭な精力を喉にあふれんばかり流し込んでやると!?やるならヤルがイイ!フェラガモファアグラに落ちるくらいなら嚙み切ってやる!!」
「なんだカモって!?カモが食いたいのか!そんなに食いたいのなら用意させてやる!おい誰か・・・」
「ヴァゼラ様・・・恐らく・・・」
リッチーはまた混乱するヴァゼラに耳元で教えた
「ん・・・んん!?まて今の無し!カモはいいから下がれ下がれ!」
ヴァゼラは呼んだ部下を下がらせた。マリアンヌは何故か残念そうだ
「くっ!この吸血鬼はどれだけ私をなぶれば気がすむのだ・・・・」
「なぶられているのはむしろ我の方だ変態め!度重なる無礼狼藉、覚悟はできているのだろうな女ぁ!」
「ひぃ・・・」
マリアンヌは身体を強張らせ固まった。それを見たヴァゼラは不敵に笑った
「やっと我に恐怖したか、さてどうしてくれよう・・・」
「恐怖におののき、失禁する女性が見たいのですね・・・いいでしょう!」
「なにぃ?」
マリアンヌはヴァゼラの放つ殺気の中にも関わらず、強張らせた身体の力を抜いた
「ご心配なく…お手洗いに頻繁に行っておりましたが、ちゃんと小の方は我慢しておりました・・・」
事態を察したヴァゼラは急いで部下に命じてマリアンヌを下がらせた
「すぐにその女を便所に連れて行けぇ!!部屋を汚させるな!」
「バサバサァ!」
「きゃあ!何をするの!?このガーゴイルめ!まさか直接浴びたいとでも・・・」
マリアンヌはガーゴイル達に摑まれ、疾風のごときスピードで飛んで行った
「はぁはぁ・・・クソ!」
ヴァゼラは玉座に座り、両手で顔を覆って呟いた
「我が封印されている間に・・・・人類に何があったというのだ・・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます