7.

真夜中、寝苦しくて目が覚めると俺は縄でぐるぐるに縛られていた。

頭がガンガン痛み、体が痺れている。食中毒かなにかか。

俺は境内の石畳の上に寝かされていて、子供らが俺を見下ろしている。

「何の真似だ。」声がかすれて出ない。

ゆらめく篝火かがりびの炎に照らされて、子供らがにやにやと笑っている。

「今日は大猟だな。大人の人間が二人もれた。」

「俺をどうするつもりだ。」

「決まってるだろ。食うのさ。」

「なんだって。」

「人間の生き肝を食らい、生き血をすすると、不老不死になるのだ。だから俺たちはいつまでも、子供のままなのだ。」

なたを手にした一番年長らしい子供が、子供らしくない嫌らしい笑みを浮かべ、しゃがんで俺の顔をのぞき込んだ。

よく見ると、見た目は子供だが、その顔には細かなシワがたくさんよっているようだった。

「おまえたちは、ヴァンパイアか?」

「うーん。どうかな。我が種族には、世間でそう呼ばれている連中もいるかもしれないな。」

「俺を殺すのか。」

「そうだ。しかし心配するな。すぐ楽になる。暴れて手間かけるなよ。手間取るほど苦しむことになる。

おい、もう一人も連れてこい。」

手下らしき子供らが、祠の扉を開けようとした。そうか。きっとあのジャーナリストも、俺と同じように、薬を盛られて、縄で縛られて、あの中に閉じめられているんだ。

扉が開くやいなや、パンっ、パンっ、という、けたたましい爆発音が連続して響いて、火花が散った。

扉に手をかけた子供らが祠の下まで転がり落ちた。

あの男が祠の中に立っている。暗くてよくわからないが、拳銃を手にしているようだ。

さらにパンっと音がして、俺の目の前で、鉈を振り上げた子の眉間から血が噴き出し、倒れた。

男は次々に発砲して、たちまちのうちに、子供らをみんな射殺してしまった。あたりに血と硝煙の匂いが充満した。

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