第14話 山の生活

 藩財政はそこをつき、商人だけが潤った

文明開化と呼ばれた産業の革命

 剣の稽古に明け暮れた武士たちは、とにかく勉強をしろと学費無用の

陸軍学校や海軍学校に殺到した。


 だが、世間から切り離された命には関係ない

だんだんと暖かくなり、春を親鳥の様に包んで眠らなくてもよくなった

 木の実や草が茂り獣たちも活発になる。

自然の中で暮らしていくことを熟知していた真は木の実を集め食べられる草を取り

魚も取った。

 春は何でも喜んで美味しそうに食べた

あまりにも喜ぶので真は時々不思議に思うことがあった。

そのことを問うと春はしばらく考えてから優しくしてもらうことに慣れていないからだと言った。

 真はなぜだか悲しくなった。

 春は足を失った以外は誰よりも綺麗だったし、性格も素直だった。

焼いた魚を渡しただけで、何度もまっ白な歯を出して笑って何度もおいしいと言った。

 その姿はけなげと言うよりどうしょうもない悲運をかんじさせた。

時々遠い町の灯を懐かしそうに見ていることがあった。


 真は休みには春をおぶって山をあるいた。

暖かな陽だまりと新緑、小さな川何を見ても喜んだ

それから欲しいと言った、たんぽぽ、赤い木の実をたくさん持って帰った

黄色いたんぽぽの中に座った春は小さく見えた。

  そのまま、花に変わって混ざってしまいそうに小さく見えた





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