第12話春

 警戒心などもうとっくに忘れてしまったと春は言う

「俺が助けないほうがよかったか?]

真は真面目に言う

 真面目に言っているのに春は笑う

それが、心をかきむしるほど無邪気に見える


 年は14だと言った

真には自分の年は分からない

 でも春が笑っていてくれるとなんだか自分も楽しい

それから、春があちこち汚れているのに気づく

足を見て言いかと聞くとうなずく

 足は痛々しかったが手当はきちんとされている

「あそこは病院だよ」春がいう

あそこに拾われて手当を受けてずっと寝ていたという

 「あの人は立派な医者だ」と言うが真には納得できない

運び出された子供は春より小さかったし扱いは雑だった

 そのことは言わなかったが、春は何もかもわかっているような目で

自分を見ていた

 




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