第10話 青い部屋

小さな明り取りから入る光のせいで少年の眼は青みがかかって見える

怯えと戸惑いで凄みを帯びたように光ってまっすぐ自分を見ている


 真はしどろもどろに弁解をした 

「あなたは・・・・」

 少年がかすれた声で唐突に言う


「僕を助けてくれた人?」

驚いたことに、戦争の時のことを覚えていたのだ

 真はうなづく、それから勢いを得て言う

「この部屋にいてくれないか?」

見開かれていた瞳が運命の変転に動かなくなり幽かに曇り

 自分を見つめる。

 目は飛びきりに大きい、やはり鹿に似ていると真は思う

その時に、少年がしっかりとうなづくのを見る

 理由も尋ねずに・・・

「いいのか?」なにかはぐらかされた気分で聞いう

「でもなんで・・・」小さな声で少年が言う


  もしかして、逆らうと殺されるかもしれないと思っているのか

真は思うが、目の中に怯えはなかった

 真がそれを聞いて、乱暴なことはしない、自分は一人でいるのにあきているだけだと言った。

少年は驚いたことに少し笑った

 「あの屋敷にいてもいつか死ぬ」

自分は死に慣れている。

 と少年は言う

それが自分の厄災だとそれからまだ眠いので眠っていいかと聞く

 真はうなづくとすぐ眠ってしまった


真は長いことその顔を見ていた。髪は伸びすぎてさらさら顔にかかっている

 病的なほど色が白く、痩せている。

明り取りの窓から差す月光が鳥かごの中にいる様に見える


 それからまだ、名前を聞いていないのに気づく

 

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