魔王は勇者に殺されましたが、世界は平和になりませんでした。

魔王は勇者に殺された後、世界は混乱の渦に包まれた。
《魔人族》以外の種族にとって、最大の障壁となる魔王が殺されたことによって『九種族同盟』は完全に破綻してしまった。
睨み合いがいつまでも続き、《人間族》《魔人族》《耳長族》《尖歯族》《白羽族》《妖精族》《小人族》《猫又族》《竜帝族》《虚無族》の十種族間での紛争が絶えることはなかった。
そして世界は、魔王が生きていた頃よりも犠牲者が増え続ける暗黒時代に突入した。
史上最悪といわれる世界情勢の中、そんなことはまるで無頓着な冒険作家ウォルクは、今日もどこかで旅を続けていた。