第2話 出会いと

 暑い………


家を出て、すでに10分。

体全体から汗が噴き出てくる。

ったく、なんで俺がこんなことをーーーー



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



さかのぼること十分前-----


『おにーちゃん、おやつ買ってきてよ』


朝からずっと机にかじりついていた弟が、突然、生意気そうに言ってきた。


『なんで俺が』


当然俺は反抗する。


『お菓子食べたいなら家にあるだろ』


うちはケーキ屋。父親が作ったケーキとかあまりとか試作品とかいっぱいがあるはずだ。


『ケーキとかじゃなくて駄菓子とか食べたい』


『そんなの自分で買ってこい』


『僕は今受験勉強してるの。だから無理!』


まったく、生意気な弟だ。


『冬也、買いに行ってあげなさいよ。どうせ今暇なんでしょ』


台所から鬼のような顔を出した母親も、弟に味方した。



………母親には逆らえない



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


やっぱり母親は怖いな。

そんなことを回想しているうちに、目的の駄菓子屋についた。

俺は駄菓子屋の中に入ろうと、ドアを開ける。


ーーーードアの向こうから人が走ってくることも気づかずに。


「わあっつ!」

「うわっ!」

ドシンッッッ!!!


「いたっ……」


足と尻がひりひりと痛い。

一瞬、混乱する。

誰かとぶつかったのか?


前を見ると、同い年ぐらいの女の子がしりもちをついていた。


「だ……大丈夫?」


「っつ……大丈夫です。すいません、いきなり飛び出して……って、あ」

 

あ…こいつは……


「甘道さん?」




「星野……君?……なんで…こんなところに?」




俺とぶつかった相手-----クラスメイトの甘道奈津子あまみちなつこは驚いたように目を見開いた。


「甘道こそ、駄菓子買いに来たの?」


「違うよ、星野君は?」


「俺は駄菓子を買いに………弟のおつかいで。」


弟のおつかいで、を強めに言う。


「そっか……あ、ぶつかってごめんね」



「いや……俺こそ……」


「………」


「………」


……気まずい。

普段彼女とはあまりしゃべらないからか、次なんて言えばいいのか全然わからない。


彼女の方を見ると、なぜか彼女はくくく……と笑っていた。

何で笑ってるのだろう。

俺とぶつかって頭がおかしくなってしまったのだろうか。


彼女はくくく…と笑って言う。


「いやあ、まさかクラスメイトの男の子が家に来るとはねえ」




……………え?


















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