トキノオワリ

……………時の終わり。


終焉だ。楽しい時間には終わりが来る。


『おはようございます~………今日ですよ、湊人さん?』

降格を少し上げいつものように嗤う椎莵を見ていると俺は


……哀しそうだ。


と思ってしまった。可哀想、にはあまりにも遠くて。

それから俺は急いで身支度…いや、死への準備をしていた。

相変わらず、䴇杜は俺と顔を合わせてはくれない。今日ぐらい、と思う俺は傲慢なのかも知れない。

『おう、今、行く』

と上辺だけの返事をして錆びた檻を潜り椎莵に連れられて長い長い廊下だと思っていたとても短い廊下を歩く。

俺と椎莵の足音だけが鉄で覆われた部屋へ、廊下へ、コダマする。




公開処刑ってのは見せしめの為らしい。

放火魔だからってやり過ぎだろ?


なんて、今言ってもどうしようもないな。








着きました。の一声で俺は前を向く。

少なからず人は居て、あぁ、アイツらは他人事かと笑ってやる。

そして、中央の処刑台に座る。



こういう時だからか、ふと思う。

真実ってなんだろうな?







そんなものは本当は無いのかも知れない。






最後に



『隠してるだけじゃ、ボロが出るぞ?』




と誰かさんに囁く。





振り下ろされる。自分の体が危険だ、と訴えかける。





直後、俺の心臓は止まった。



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無罪の罪 夕霧 夜薙 @Natsuml-0419

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