第3話 「知らない側の人」





「おはようございます」


「おはよう、犀葉。って、どうしたの?寝不足?」


「おはよう。わかった、筋肉痛だろ?俺もー」



次の日。

境内で一番最初に会ったのは、権禰宜ごんねぎ片岡 智也かたおか ともやさんと成川だった。

片岡さんは細いサラサラとした直毛の黒髪で黒縁眼鏡をかけている。漫画やゲームが好きなインドア派で、同じ趣味を持つ成川と気が合うらしい。

俺も漫画やゲームは好きなので、最近流行りのケータイアプリのRPGゲームの話を3人でよくしていることが多い。



「それだったのか!全身痛くて息をするのもつらい」


「わかるよ。起きた瞬間、足つった」


「お前ら本当に今現代の若者だな。ゲームばっかりしてないで、運動しろ。って僕もか」



片岡さんの言葉でどっと笑いが起こる。あ、いてて、腹痛い。太ももも痛い。嗚呼、昨日の実技のせいか。

しかし、仕事をしないわけにもいかないと携帯電話の待ち受け画面の時計を見る。

6時50分だ、そろそろ行かなければ。

俺と成川さんは片岡さんとそこで別れ、体を清めるために沐浴へと向かった。



「で、今日は本当に筋肉痛?」


「まあ、純粋に元気がないだけだ」



今日は中庭の掃除を成川と任せられた。

俺は掃き掃除、成川は石の灯篭磨きをしている。

この中庭は、参拝者の控え室の横にある為、常に綺麗でないといけない。

ただの小庭であっても、されど庭の1つなのだ。

控え室から見える庭に、癒しと美を感じてもらえるように手は抜かない。



「今日はお守りは?」


「持ってるよ。って、なんで知ってんだよ」



成川の最初の言葉にも違和感を感じたが、そういうことか。

昨日の夜に市街を歩いていたら、子どもの幽霊に襲われかけた。

その時に偶然通りかかった祿郷さんと出会い、助かった。

祿郷さんの話を聞くと、宮司さんからもらったお守りを持ち歩いてなかったから影が寄ってきたらしいのだ。


祿郷さん、口軽いなー。


無意識に手を止めながら、声を出してしまっていた。

そんな俺の声を聞いて、成川は手は止めずに視線を俺に向けて、首を左右に振る。



「祿郷さんには会ってない。さっき平沢さんが心配して俺に言ってきた」


「あ、平沢さんか。今日は来てるのか」


「ああ。祿郷さんは今日は休みだよ」


「そっか。で、なんて言ってた?」



なんだ、平沢さんか。

自然と納得して、再度手を動かし始める。

昨日の夜、俺と出会った祿郷さんが無線機で話をしていたのが平沢さんだった。

平沢さんにも後で謝りに行こう。



「気を悪くしたらごめん。犀葉は知らない側の人だから、いろいろ教えてやってくれって」


「あー…そっか」



「知らない側の人」

そう言えば、入社の初研修の時にもそう言われたっけ。

ならば、成川も立花もこの神社の裏の仕事と呼ばれるものを知っているのだろうか。

昨日祿郷さんが「営業時間後の夜」に、「仕事着である作務衣」で「市街」にいた理由もわかるのだろうか。

俺にはわからない。考えたけど、わからなかったのだ。

俺だけが知らないなんて、気持ちがいいわけがない。



「成川、お願いがあるんだけど」


「ん?」


「――成川が知っているこの神社のこと、全部教えてくれ」



基本的に待つのは嫌いだし、知らないことがあるのも嫌いだ。

待っていても誰も教えてくれないのなら、自分から聞きに行くしかないじゃないか。

今、一番身近にいて、教えてくれそうな相手が成川だった。

縋るような想いと、自分なりの誠意を込めてまっすぐ成川を見つめる。

すると一瞬瞠目したものの、すぐに表情は笑みへと変わった。



「ああ、勿論。今日の夜、空いてる?」


「空いてる。本当に助かる。ありがとな」


「――男の友情っていいねー」



突如真後ろから聞こえた声に、びくりと肩を揺らし思わず竹箒を落としてしまった。

慌てて拾いながら後ろを見ると、垂れ目の優しい風貌の青年と目が合う。

先に声を発したのは成川だった。



「平沢さん、ずっといたじゃないですか」


「あれ、ばれてた?」



にこにこと笑みを崩さずに話すこの青年は、平沢 駿ひらさわ しゅんさん。

マッシュ・ボブに近い髪型で、髪の色素が薄く少し焦げ茶色に見える。

平沢さんとわかった瞬間、俺は慌てて駆け寄り、深々と頭を下げた。



「おはようございます。昨日はすいませんでした!」


「いいよ。怪我はなかった?」


「はい、大丈夫です」


「良かった。祿郷も心配してたよ」



優しく左肩に置かれた手に、すっと肩が軽くなったのが感覚でわかった。

どうやら、無意識のうちに肩に力が入っていたようだ。

とりあえず平沢さんは怒ってないようで良かった。

心の中でほっと安心しながら、ゆっくりと頭をあげた。



「あー…怒ってました?」


「まあね。でも、心配していたっていう方が正しいかな」


「そうですか。本当にすいません」


「いいって。誰でもあることだから。で、お守りは?」


「首から下げています!」



肌身離さずと考えた結果、首から下げることにしたのだ。

お守りの袋口の紐に黒い紐を通し、首から下げている。

外からは見えないように作務衣の中に入れていたのだが、それを胸元から取り出す。

成川も「僕もそうしています」と襟元から紐を見せてくれた。赤い紐だ。

すると平沢さんに見せると、「甘いな」としたり顔で笑われた。



「俺は紐が2本だよ!1本切れても大丈夫!」


「おお!」



そう言って、平沢さんも胸元からお守りを取り出した。

確かに2本だが、丈夫そうな組紐を使っているようだった。

それだけ大切なものなのだ。よし、俺も2本にしよう。



「コラァ平沢!どこまでバケツに水汲みに行ってんだ!はよ帰ってこい!」


「げっ」



突然聞こえた声に、今度は3人で肩を揺らした。

声の主は平沢さんと同じ権禰宜ごんねぎ山中 可成やまなか よしなりさんだ。

ソフトモヒカンのキリッとした眉毛、奥二重だが眼差しは厳しい熱血系の男性だ。

平沢さんとは正反対の性格で、言動も荒々しいことが多い。



「あ、ごめん山中。ちょっと男の友情を見えたから珍しく新鮮で」


「はぁ?神主は9割が男やろ」


「確かに」



確かに、と声には出さなかったが、平沢さんと同じタイミングで俺も納得した。

この神社の神主は宮司以外全員が男性しかいないのだ。



「犀葉くん」


「なんですか」


「成川くんに話したのは申し訳ないと思うけど、今回みたいに偶然俺達が出会えることはもうないと思う。何度も言うけど、君は『知らない側』の人間だ。けれども、見えないわけではない。ここの神主というだけで、寄ってくるモノがたくさんいる。まずは自己防衛だ。その為のお守りだよ」



その言葉は、重く俺の心に圧し掛かった。しかし、俺も自覚はしていた。

昨日は偶然祿郷さんに会えたから助かったのだ。本当に偶然だったのだ。

祿郷さんには何も話してはいないが、あの時の俺を見てすべて察してくれたのだろう。

俺と同じ見える人だから、理解して、心配してくれているのだ。



「はい。……けれど、いつかは俺も皆さんから学べることができますか」


「ああ、勿論。俺達は君達に『邪気祓い』を教えることを宮司さんに許可されていないからね。まだ教えられなくて、ごめんね」


「……だけど、待つだけじゃ今と一緒。男なら、常に前進だ。学べる奴に聞け」


「優しい同期に巡り合えてよかったね。ね、山中」


「お前は優しいんじゃなくてあざといんだよ、このタラシ」



平沢さんと山中さんは同期だったのか。仲が良いわけだ。

2人ともすごく優しい。俺が知らない側の人間だと知り、心配して声をかけて背中を押してくれる。

そして、成川も俺を見ながら何度も頷いてくれた。

嗚呼、俺は良い職場に巡り合えた。今、心からそう思った。









* * *









「お疲れ。お邪魔しまーす」


「散らかってて悪い」


「男の1人暮らしで、部屋が綺麗すぎたら引くわー」



仕事が終わり、帰宅。

お互いの部屋でシャワーを浴びて、俺の部屋で男2人の飲み会が始まった。

とは言ってもスーパーでお惣菜やつまみとお酒を適当に買って、家で飲食するという質素なものだ。



「かんぱーい」


「お疲れ。乾杯」



まずは、缶ビールを開けて乾杯する。

誰かと飲むのは久しぶりだった。いつもは一人酒なので、ちょっと嬉しい気持ちになる。



「成川と飲むのは初めてだっけ」


「んー、いや。ゼミで飲んだよ」


「ほんとだ。ゼミが同じだったな」



同じ大学で同じ学部ではあったが、あまり交流はなかった。

ゼミは一緒だったが、仲が良い友人が違い、一緒に過ごすことはなかった。

仲は別に悪くないのだ。だって、名前も顔も知っている。

知り合いではあるが、友達ではない。そんな感じだ。



「成川、お酒強かったよな」


「いや、犀葉ほどじゃないよ。顔が赤くなるのが早いんだ」


「そうだった?ゼミ旅行で、生き残り組にいたよな?」


「ギリギリな」



神主はお酒を飲む機会が多い。お酒を飲めないといけない職種とも言われている。

よって、教授も酒飲みが多いのだ。ゼミ旅行でも、浴びるほど酒を飲み、半分以上の人が潰れた。

その潰れなかった奴らは「生き残り組」と呼ばれていたのだ。俺は生きのこり組にいた。

やっぱり同じ大学は良い。思い出話に花が咲きそうだ。



「このままだと思い出話から抜け出せなくなりそうだから、本題に入ろうか」


「うん、悪いな」


「その代わりっていうのも変だけど、昨日何があったか聞いてもいい?」


「勿論」



確かに、俺も何も話していなかったな。

心の中で反省しつつ、昨日会ったことを話し始めた。

市街で誰かに話しかけられ、振り向いたら人影があったこと。

その人影は子どものようであったが、鳥肌が立つくらい嫌な感じだったこと。

すぐに逃げたが躓いて(本当は足が縺れただけだが)転んだ時に祿郷さんと出会ったということ。

祿郷さんに送ってもらった後は、ずっとお守りを手放さないようにしている。



「……じゃあ、なにもされてないんだ。良かった」


「ギリギリだよ。すぐ後ろから声が聞こえて、もうダメだって思ったし」



思い出すだけで、背筋がぞっとして、鳥肌が立つ。

そんな俺を見て成川は「良かったな、ほんと」と苦笑し、缶ビールを煽るように飲み干す。

俺も同じように苦笑いをしつつ、成川が飲み干した缶ビールを除け、新しい缶ビールのプルトップを開けた。



「ありがと。……俺もこの神社のすべてを知っているわけではない。っていうのを前提に話すけど」


「うん、それでいい」


「この神社は、万人が知るような有名な観光神社ではないんだけど、知る人ぞ知る有名な神社なんだ」



それはなんとなくわかっていた。

そうでなければ、受験希望者が後を絶たないのはおかしい。

成川の話を頷くように相槌を打ち、俺は缶ビールをちびちび飲み進めていく。



「『邪気祓い』という表現で、除霊や霊害等を解決しているのが此処の裏の仕事なんだよ」


「へえ」


「実は、その『邪気祓い』の神主を育成できる数少ない神社らしくて、全国から志望者が多い。だから、毎年倍率が高いんだ」



そうだったのか。知らなかった。

ということは、成川も立花もそれがわかっていて、ここの神社を志望したのか。

そんな激戦区に、俺は本来の意図も知らずに入っていたようだ。



「犀葉は、どうしてここの神社を志望したの?」


「あー…親の勧め、かな」


「犀葉の家は神社だっけ。じゃあ、見える人なのか?」


「実家は神社だけど、そんな話は聞いたことないし、俺が見えることも親父は知らないと思う」


「ふうん」



自身の記憶を辿ってみるが、勧め方も「此処にしろ」というものではなく、「自身の修行のために、まずは他の神社で何年か奉職して帰ってこい。俺のお勧めは○○神社と、桃華八幡宮だ」と言っただけ。

基本的には俺が決めたことを尊重してくれるので、この桃華八幡宮を受けようと決めたのは俺だ。

理由は単純。日本でも数少ない女性宮司さんがいるということと、倍率が高いからというチャレンジ精神だ。

そう言うと、成川は不思議そうに首を傾げて、サキイカを齧る。

俺は少しずつ飲んでいた缶ビールを一気に煽ろうとして、途中でやめた。

気分的にお酒が進まなかった。諦めて缶を机に置き、チーズ鱈に手を伸ばす。

すると、少しの沈黙後、成川が食べる手を止め、まっすぐ俺を見ながら言葉を発した。



「本当は先に言うべきだったと思うけど、『知る人ぞ知る』というのは人間だけじゃない。何百年も前からある神社だから、『此の世ならざるモノ』もそれを知っている。――だから、寄ってくる。今までより、もっと、ずっと」


「げっ」


「でも、宮司さんのお守りがあれば大丈夫。早々悪いものは近寄ってこれないよ」


「良かったー」



無意識のうちに、緊張で身体に力が入っていたらしい。

お守りがあれば大丈夫、という言葉に安心して、俺は机に突っ伏した。

しかし、聞けば聞くほど、俺は「知らない側の人」だったと痛感させられた。

本当に見えるだけ、聞こえるだけで、此処の神社に奉職が決まってしまったのだ。

本当に俺で良かったのだろうか、そう思ってしまう。



「成川、今日はありがとう」


「いや、こちらこそ」


「また相談、乗ってくれ」


「勿論。俺もよろしく」



それから30分くらい飲みながら話して、お開きになった。

時刻は22時頃、大学生の時には考えられないくらい良い子の時間だ。

玄関まで成川を見送り別れた後、シャワーを浴び、寝る支度をして布団に入る。

そして、天井を見ながら昔のことを思い出していた。



「見たくないんだけどなー」



本当ならずっと今までのまま関わりたくなかった。

だって、仲良くなれない。住む世界だって違うのだから。

そう痛感させられたのは、―――5歳の時だ。

とある人に言われた言葉を、暗示のように今もはっきり覚えている。









昔から『此の世ならざるモノ』は見えていた。

しかし、小さい頃は生者の人間と幽霊の区別が全くつかなかったのだ。

幼稚園で友人と遊んでいた時に、他の子には見えなかったものに声をかけてしまったことが始まり。

「怖い奴」「気味悪い」と仲間外れにされ、それがショックだった。

他に友人を探していたその時、砂場で遊んでいた一人の少年がいた。



「僕も一緒に遊んでいい?」


「うん、いいよ。ボクはね、ダイキっていうんだ」


「僕はアキラだよ!」



友達に仲間外れにされて、新しい友人が欲しかった。

声をかけるとぱぁと表情を輝かして、一緒に遊んでくれた。

俺と違う帽子の色だったので他組とはわかっていたが、一緒に遊んでくれるだけで良かったのだ。



「ねえねえ、ココ登れる?」


「えー、そこは危ないよ」


「へへー、怖いんだろ」



毎日一緒に遊んで、俺の中で一番の友達になった。

砂場で遊んだり、遊具を登ったり、鉄棒の練習もしていた。

とある日、ダイキ君が登ったのが幼稚園の外周に建てられている2mほどのフェンスだった。

そこは園長先生が「危ないから登っちゃダメ」と言っていたのを覚えている。

しかし、すぐにそんなことは忘れて、挑発に乗り俺は登った。



「どう?」


「 うん!コレで、ずーっと 一 緒 に ア ソ ベ ル ネ 」



一番上まで登り、足をかけて股で挟み両手を離す。

思ったよりも高いが、別に怖くない。逆に誇らしいくらいだ。どうだ、俺もすごいだろう。

そう自慢しながら横にいたダイキ君の方を見て、一瞬にして体が凍り付いた。


―――突如頭から真っ赤な血を流し、笑顔で俺に手を振ったのだ。


その瞬間、ふわりと俺の身体が浮き、フェンスが外れて俺の体は園の外へと投げ出された。

身体を強く打ちつけた俺はすぐに救急車に運ばれだが、命に別状はなかった。

あのフェンスは老朽化していて、近々取り換える予定だったらしい。

勿論俺は怒られた。他の子どもが俺が1人で登るのを見たというのだ。


そのトラウマは大きかった。


人間の友人にも「気味悪い」と避けられ、

友人だと思っていたものが実は幽霊で、俺を殺そうとしたのだ。


もう嫌だ、と一人で塞ぎ込む毎日が続いた。

園や遠足の時にも自由時間で木の裏などに隠れて独りでいるようになった。

それが変わったのが、その事故のから3か月ほど経った時だった。


遠足で公園に行ったとき、俺がベンチに座っていたら、横に男の人が座ってきた。

しかし、俺は気にすることもなく、みんなが遊具などで遊んでいる様子を見続けている。

ふと視線を移すと、見慣れない男の子がジャングルジムの頂上に立っていた。

赤と白のチェック柄の服を着ていて、ジーンズを履いている。

その表情は抜けてしまったように全く動かないが、じっと他の子を見ているようだ。

ああ、あの人は普通の人と違うのだろう、そう思った瞬間、その男の子がふらりと傾いた。


(……あ!)


しかし、傾いたかと思うと、ぱっと消えて気づけば今度はジャングルジムの下に立っていた。

なんというか、不気味だ。



「――キミも見えるのかな?」


「え?」


「赤と白の子」


「おじさんも…?」



ゆっくり横に視線を移すと、俺を見て微笑むおじさんがいた。

公園に相応しくない真っ黒のスーツ、優しい笑顔が印象の男の人だった。



「そうだよ。キミは優しいんだね」


「優しい?」


「あの子のことを心配してたからね」


「してないよ。びっくりしただけ。みんな嫌い。僕に意地悪ばかりする」


「そっかぁ」



そうおじさんは呟いて、俺の頭を優しく撫でた。

なぜ撫でられたのかわからない。でも、嫌な気持ちではなかった。



「キミはどっちと友達になりたい?園のお友達?あの男の子?」


「……幼稚園のお友達がいい。でも、みんな僕が怖いって」


「うん。キミの見えているものはお友達には見えない。見えないのに何かがいるって言われたら怖いでしょ?」


「うん」


「なら、キミも見えなくなろう。なにも、聞こえないことにしよう」



―――そしたら、もうお友達は離れていかないよ。


そう言われたとほぼ同時に、集合時間の笛が鳴った。

次の日からはその言葉を信じて、そういうものがいると口に出さなくなった。

見えても無視、聞こえても無視、常に避けて過ごす生活をするようになった。

すると、本当に友達が離れていかなくなったのだ。

おじさんの言う通りだ、と感動したのを今でも覚えていて、ずっと今まで続けてきたのだ。

それが正しい選択だって信じていた。



「……でも、自分で祓えるようになるなら、頑張ってみるか」



ぽつりとつぶやく言葉は、虚空へと消えた。
















「 ふふ、見ーつけた 」

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