普段、何げなく見ている色が、見えなくなったら?

 空は青い。そんな普通で当たり前の世界が一変することから始まるこの作品。とても丹念に練られた作品だと分かります。
 主人公が巻き込まれる「色奪」という現象には、ゲーテとそれを知る犯人が存在します。主人公が色を取り戻す方法はただ一つ。謎に満ちたある二人の関係を修復することのみ。
 果たして、主人公は「色」を取り戻すことができるのか?
 そもそも、主人公にとって「色」とは何なのか?
 自分の世界が本物なのかと疑わしくなる一作。