第一章 「別離と胎動」

Side A <S.V.A.>

Side A <S.V.A.>

 

  1

 

 僕が石山いしやま茜音あかねと知り合いになったのは、五月上旬。月曜日の午後、喫茶エトランゼのカウンター席でのことだった。

 

 勤めていた会社に行かなくなって暇を持て余していた僕は、エトランゼに通い、大して美味くもないコーヒーを飲み、文庫本を開いたり、マスターと会話をしたりして時間を潰すのが日課のようになっていた。

 その日も例に漏れず、弱く日の差す喫茶エトランゼの隅っこで、グレッグ・イーガンの『プランク・ダイヴ』を読んでいる。

 そんな僕に、マスターである赤木氏が声をかけてきた。

「なあ、さとし

 急に名前を呼ばれて僕は顔を上げる。なあと言われても、それまで小説の世界に没頭していたものだから、彼がどのような文脈で話を振ってきたのかがわからない。

 カウンターの方に目をやると、赤木氏に向かい合って一人の女の子が座っている。少しだけ茶色に染めた髪の毛は肩甲骨の辺りまで。羽織っているペールブルーのカーディガンが、あまり似合っていないように思えた。

「……えっと?」状況が呑み込めずに僕は声を出す。「ごめんなさい、話を聞いてなかった」

「そんなんだからお前は女の子にもてないんだ」と赤木氏は無茶苦茶を言う。「ほら、茜音ちゃんも軽蔑の眼差しだよ」

「僕が女の子にもてないって勝手に決めないでほしいし、仮にもてなかったとしても大きなお世話だし、そもそも赤木さんとの会話を盗み聞きしてなかったことが原因で女の子から軽蔑されるなんて話は聞いたことがないです」

 文庫本に栞を挟んで閉じ、テーブルに置くとカウンター席へ向かった。「何がどうしたんですか」頭を掻きながら、ペールブルーの女の子の右隣をひとつ空けて、腰掛ける。その際、ちらりと彼女の横顔を窺ってみたけれど、軽蔑の眼差しを送ってくる素振りはなくて、僕はひそかに安堵した。

「いや、別に来てくれと頼んだわけじゃないんだが」赤木氏が心底、迷惑そうな顔をした。「お前みたいなクズだって仕事しないでのうのうと生きてるんだから、そんなに心配することはないんだよと、茜音ちゃんに教えてあげてたんだよ」

「世界広しと言えど、お客をクズ呼ばわりするマスターのいる喫茶店はここくらいでしょうね」うんざりしながら僕は言った。

「そうでもないよ」と赤木氏は悪びれない。「映画の見過ぎで何かを勘違いしちゃった腐れ野郎がマスターで、そんな腐れ野郎と付き合う自分が格好良いと勘違いしちゃった間抜け野郎が客。そんなどうしようもない店は、むしろ割とそこら中にある」

 どこから突っ込めば良いのかがわからなくなったので、赤木氏は無視して、女の子に話しかけることにする。

「えーと、変な店でごめんね」僕に声を掛けられながら、ペールブルーの子はあからさまに当惑の表情を浮かべていた。そりゃそうだ。「アホに絡まれて迷惑だっただろう」

「あ、いえ」彼女は僕の方を見て、掠れたような声を出した。「迷惑だなんて、そんな」

「おいこら悟」アホが口を開く。「何てめえ茜音ちゃん怖がらせてんだよ」

「あ、いえその」とペールブルーは困惑を深めた。「け、喧嘩はよしてください」

「大丈夫だよ」僕は彼女を安心させるべく穏やかな声で言う。「これは喧嘩じゃなくて……そう、コミュニケーションだからさ。一種の」言いながら赤木氏が何か喋るのをすべて無視している。

「はあ、コミュニケーションですか」彼女はちょっとだけ笑った。ような気がした。「一種の」

「一口にコミュニケーションと言ったって、いろんな種類があるからね」僕は適当なことを捲し立てる。「人と人との関係はすべてコミュニケーションだよ」

「じゃ、喧嘩だってコミュニケーションですよね」ペールブルーは、今度ははっきりと、おかしそうに笑う。「変なの」

 地味な顔立ちではあったけれど、笑うと思いのほか可愛くて、しかもその「変なの」が控えめだけど何だか爽やかな物言いだったので、僕はこの子がそれなりに気に入る。

深町ふかまち悟」と僕は言った。「僕の名前。君は?」

「あ、はい」彼女はちょっとびっくりした顔になる。「石山です。石山茜音」

「石山さん、学生?」

「あ、そうです。大学二年」

「ふうん。深大フカダイ生?」

「はい」ペールブルー改め石山はこくこく頷いた。

「でっかいよねあそこ。人いっぱいいて疲れない?」

「よくご存じですね」彼女は少し目を細める。「特に四月は大変でした」

「僕も、あそこ通ってたから。三年前まで」

「あ、そうだったんですね」

 石山はまた頷く。それから「えっと、今は」と言いかけて、慌てたように口を噤んだ。

 大方、今は何をされてるんですか、と訊こうとして、仕事をしないで云々という赤木氏の言葉を思い出したのだろう。気を遣われたわけだ。

「今は何もしてない」と僕は応じた。「文庫本を持ってここにやって来て、コーヒーを注文して、本を読み終わったら帰る。大体その繰り返しだ」

「世間じゃそういうの、ニートっていうらしいぞ」赤木氏が口をはさんでくる。「ノット・イン・エン……なんちゃら」

「古いですよ、それ」仕方ないのでそう指摘してやることにした。「三年前に絶滅した単語です」

 お前の僅かな貯金はいつ絶滅するんだ、と喚き立てる赤木氏をまたもシカトして、僕は黙り込んでしまった石山に声をかける。

「まあ、僕のは特殊なケースだから。就職できなかったってわけじゃないし」大学の先輩が仕事をしていないなどと聞けば不安になるだろうと考えた、それは僕なりの配慮だった。「就職が厳しいって言っても、ね。真面目にやってれば、職にあぶれるってことはそうそうない」

「あ、いえその」と石山は慌てたようになった。「えーと」

「ごめん。……言われても困るよな、こんなこと」僕は何となく気まずくなって、無意味な笑みを浮かべてみせる。「赤木さんじゃないけど、そんなに不安になんなくてもさ。色々、大丈夫だと思うよ」

「そ、そうじゃないんです」石山は首を振った。「その。こんなこと訊くの、失礼かもしんないですけど」

「うん?」

「深町さん、お仕事、辞められたんですよね。どうしてですか?」

「失礼……では、ないけど」僕は苦笑してしまう。正確には辞めたわけではないのだが、敢えて訂正はしなかった。「訊いてどうすんのさ、そんなこと」

 言いながら石山を窺うと、彼女は何やら深刻な顔つきになっている。

「今の時代、一度就いたお仕事をやめるのって、大変だと思います」彼女は一言一言、区切るみたいにして喋る。「働かなくちゃ、生きてけないし。でもお仕事ってそんなにあるわけじゃなくて、一回辞めると条件は厳しくなるし。なのに、どうしてだろうなって」

「話せば長い」と僕は冗談めかして言った。「ただ、そうだな。僕は漫画家とか作家とか画家とかバンドマンとか、そういったものになりたいわけじゃない」

「なのに、やめちゃったんですか」石山は、言葉とは裏腹に、なんだか目を輝かせ始めたように、僕には見えた。「夢があるわけでもないのに」

「クズ野郎だからさ」僕は頷く。「要するに、嫌になっちゃったんだね」

 石山は俯き加減で、何か考えるような顔になった。ただでさえ地味めなんだから、そういう顔をするのはやめたほうが良いよ、と僕は思う。

「わたし、思ってたんですけど」ぽつりと石山は言った。「なんで働かなきゃいけないんだろう、っていうか、そりゃ生きてくためには働かなきゃ駄目ですけど、生きてくのに必要な働くことが生きることの大部分になって、その生きることの大部分が、たとえば嫌で嫌で仕方ないなら、なんで生きなきゃいけないんだろう。別にやめてもいいんじゃないか、って。深町さんの『嫌になっちゃった』って、ひょっとして、そういうことだったりしませんか?」

「あー」

 あーやだやだ、と僕は思ったりしない。

 そんな風に思うような大人なら、今こんなところで、学生と話をしていたりはしなかっただろう。

「なんていうか……そうだな。初対面の若き男女がする話でもないような気がするし、それって多分、僕に対する興味というよりは、自分自身の問題だよね」僕は言いながら、ポケットから携帯電話を取り出す。「今日はもう帰るけど。僕でよかったら、話聞くよ」

 赤木氏が何か言っていたような気がしたが、聞こえない振りをした。

 

  2

 

 結果的には、わざわざ携帯電話のアドレスを交換する必要なんてなかった。僕と知り合いになった次の日から、石山茜音は喫茶エトランゼに通い始めたからだ。

 僕がいつものようにボックス席で読書をしていると、淡いレモンイエローのパーカーを羽織った石山が現れて声を掛けてくる。

「こんにちは深町さん」

「や」と僕は昨日読みかけで終わってしまった『プランク・ダイヴ』に目を落としたままで応える。「講義は大丈夫なの?」

「サボっちゃいました」

「……そういうの、良くないと思うよ」

「深町さんに言われたくないですよう」

 レモンイエロー石山の、何気ない「ですよう」が少しだけ僕の癇に障る。

「まあいいや」適当に言って文庫本を閉じた。「昨日の続きを話しに来たの? それとも何か別の用件?」

「ええっと」と石山。「特に、これって用事があるわけではないんですけど」

 意図せず僕は早口になっていたようで、それが石山を僅かに萎縮させていることに、彼女の顔と声で気がつく。もちろん、気がついたからどうする、というわけでもなかったけれど。

「これと言った用事がないのに、講義をサボって、こんなろくでもないお店に来ちゃったのか」僕はコーヒーを啜った。「まあ座んなよ」と言って向かいの席を示す。

「あ、はい。失礼します」彼女はおっかなびっくりといった風に腰掛けた。「えっと、すみません。お邪魔でしたか?」

「邪魔なんてことはないけど」言いながら窓の外を眺める。自転車に乗ったおばちゃんが、軽快に視界を横切っていく。「うーん。そうだな、これでも僕は心配してるんだよ」

「心配」と石山は声を高くした。「心配って、私が講義をサボることを?」

「それとか、色々」今度のおばちゃんは白い大型犬を散歩させていた。白いリードがぴんと張っている。ウォーク・ザ・ドッグ、と僕はなんとなくヨーヨーを使ったあれを思い浮かべた。「言っとくけど、僕は僕の現状をあんまり肯定的に捉えてない」

「え、そうなんですか」石山のリアクションは少し大げさだ。「それはその……なんていうか、遠慮みたいなものじゃなく?」

「遠慮みたいなものじゃなく」言いながら、僕は角を曲がっていくおばちゃんのウォーク・ザ・ドッグを眺めて、上の空になっている。「ろくなもんじゃないよ、こんな生活って」

 ふうん。石山は息を吐いて、「でもじゃあ深町さん、こんなところで何してるんですか」と的確に急所を抉ってくる。「お仕事してない現状を肯定的に捉えてないのであれば、そこから抜け出すための何らかの営みはあって然るべきですよね?」

 角の向こう側へ消えていったおばちゃんの名残で相変わらず気も漫ろなフリをしながら考える。

 ここで適当なことを喋って誤魔化すのは簡単だ。例えば、色々複雑なんだよ、とか言ってみたりして。それだって別に嘘ってわけじゃないし、昨日知り合ったばかりの女の子への対応として、さほど不誠実ってほどでもないだろう。

 でもこのときの僕は、それを選ばなかった。

「……つまりさ、僕は弱いんだよ」と石山へ向き直って言う。「自分の現状に満足しているわけではない、でもだからと言ってそれを変えるためにアクションを起こすわけでもない」

「それって要するに満足してるってことじゃないんですか?」石山は引かない。「深町さんの中に、アクションを起こすだけのモチベーション、インセンティブがないってことですよね。だったら、深町さん的には現状に満足してないと思ってるつもりだったとしても、たぶん深町さんの深層意識みたいなものは現状を肯定してるんじゃないですかね」

「違うよ」と僕は即答する。「僕は、深層意識だろうが何だろうが、現状を肯定的に捉えてなんかいない。これは断言できる」

「なんでですか?」

「言ってわかるようなことじゃないと思うけれど」

「でも、言ってほしいです」

「まあ、外から見たら、わかんないと思うんだよ」言って冷めかけたコーヒーを飲み干した。「こんな風に毎日毎日エトランゼへやってきて本読んでコーヒー飲んで、さぞかし優雅な暮らしをしてるみたいに見えるだろ? いや実際の生活レベルは質素なんだけれど。ともかく、悠々自適っていうか、メンタル面でもフィジカル面でも、それなりに充実した生活を送ってるみたいに見えるんじゃないかと思う。特に、君みたいな学生にとっては。で、そういう意識が『実は現状を肯定してるんじゃないの』的な感想に繋がってるっぽいよね」

「んー。そうですね、まあ」石山はこくりと頷いた。「将来への不安とかはさておき、良い暮らししてるなー、って思ってるのは否定しません」

「だけど、ろくなもんじゃないよ。何回も言うけど」僕はいったん言葉を切って、続ける。「いくら気にしないような顔したって、僕みたいな若いのが昼間からぶらぶら出歩いて喫茶店通いなんて普通じゃない。だから結構じろじろ見られたりする。自意識過剰かもしれないけどね。ただ、学生の頃の知り合いだって、もちろん大体もう働いてる。こんな生活してる奴はいない。だから同窓会やるよーってメールとか来ても絶対返事なんかしないんだ。顔合わせたりして、今何してんのって訊かれるのが嫌だから」

 ふうん、と石山はまた息を吐く。

「でもそれって私の言ったことと関係ないような気がしますけど」彼女は思案顔のままで呟いた。「深町さんが働かないことで劣等感的なものに苛まれてるのが本当だとして、だけどそのことは、心の奥底で実はそんな現状をよしとしちゃってる深町さん、っていう絵を否定はしないですよね」

「しなくないよ」と僕はすぐに答える。「劣等感的なもの、って石山さんは言うけれど、どっちかっていうと、『後ろめたさ』なんだよね。罪悪感的なもの。これって強力なんだよ。なんてったって犯罪者を更正させちゃったりするんだからさ。更正しない犯罪者は別に罪悪感に打ち克ってるわけじゃなくて、そもそも自責の念を覚えてないってだけだしね。こいつをきちんと抱えたまんまで自分を肯定するって、並大抵のことじゃないよ。僕には絶対できない」

「別に、自分を肯定する必要はないと思いますよ?」石山はなおも食い下がる。「そういう、罪悪感的なもので苦しんでる自分がいる現状を含めて深町さんは肯定してる、ってだけじゃないですかね。肯定って言い方がしっくり来なければ、受け入れてる、諦めてると言っても良いですし」

 今度は彼女の方が早口になっていた。眉間にも心なしか、皺が寄っている。

 だから、君はそういう顔をやめたほうが良いんだって。

「あのさ石山さん」と言って、僕は少し息を吸った。「なんていうか、ちょっと回りくどくないかな。これ」

「何がです?」と彼女は訝る。

「……君は、僕を責めるようなフリをして自分を責め立ててる」

「私、そもそも深町さんを責めているつもりなんかないです」

「それは君にとって、誰かを責めるという行為が当たり前すぎるからだと思うよ」僕は石山の着ているパーカーのレモンイエローを眺めている。悪い色じゃないんだけれど、やっぱり彼女にはあまり似合っていない。「人が何かをやらないのは、それをやりたくないからだ、と君は思ってる。人は自分の意思で在り方を決められる、ということにして生きている」

 石山は、むすっとして黙り込んでしまう。

「だから僕に対して、『深町さんは仕事をしていない現状を肯定してる』なんて言うんだろう。僕がそんなことないって言ってるのに否定したがるのは、君がそれをベースに物事を考えてるって証拠だ」

「……それはそうかもしれないですけど」石山は早口で言う。「責めるっていうのとは違いますよね」

「違わないよ」と僕は首を振った。「やりたくないからやらないんだろ、っていうのは人に対する最も苛烈な接し方の一つだ。それは、行動に表れない意思の存在を認めないってことだから」

「えっと、深町さんはそう思う、ってことですよね? だから責められたと感じたんでしょう」

 僕は思わず笑ってしまいそうになる。

「確かにそうだよ。僕はそう思うし、石山さんはそう思わない。だから君にとって、誰かを、それは自分を含めた『誰か』だけれど、そんな風に責めたり苛烈に扱ったりするのは至極当たり前のことなんだ」

「でもそれって深町さんがそう思うってだけですよね、やっぱり」

「うん、さっきもそう言った。で、今喋っているのは僕と石山さんだ。僕は石山さんについて『人を苛烈に扱う子だ』と思った。『こんな風に当たり前の顔をして人を責めるような子は、自分のことも日常的に責めているに違いない』って」僕はコーヒーカップに手をやってから、それが空であることに気付く。「君は僕を執拗に責めることで、そんな自分に気付いてほしかったんじゃないか……というのは、いささか我田引水が過ぎる読み方になるかもしれないけれど」

「私、別にそんなつもりは」石山は心外ですという顔になる。「ただ深町さんのことが知れたら良いなって、それで」

「意地悪言ってごめん」その様子を見て、僕は困ったみたいに笑って見せた。

「でも、君が話したいのって、僕のことだったのかな」言いながら、無人のカウンターを眺める。赤木氏は買出しのために出かけてしまって不在だ。こんなとき、コーヒーのおかわりはセルフサービスと定められている。「むしろ石山さんは、自分の話を聞いてもらいたいのかなって思ってた。少なくとも、君に必要なのはそっちなんだろうな、って。僕も、その方がありがたい。自分について話すのは苦手なんだ。……色んな意味で」

 僕の言葉に、石山は少しだけ、おかしそうに笑う。

「罪悪感を煽られるから、ですか?」

「罪悪感的なものを」口の端を歪めて、僕は立ち上がった。「コーヒー飲む?」

「え。私、注文してないですよ」と石山は遠慮を見せる。

「君もこの店の常連客になるつもりがあるなら、コーヒーの淹れ方くらいは覚えておくべきだよ」僕は構わず戸棚からカップを二つ取り出してコーヒーを注ぐ。「まあ、今日は既に淹れたのがあるけど」

「マスターさんが淹れてくれるんじゃないんですか?」

「淹れてくれるときもあるし、こうして居なくなっちゃうときもある」

 カップ二つをそれぞれ手に持って席へ戻る。そのときに見えた石山の足はチェックのミニスカートにオーバーニーソックスを履いていて、それはやっぱり似合っていない。

「あのさ石山さん」僕は椅子に腰掛けながら言う。「学部どこ?」

「文学部ですよ。英米文学科」石山はなんだかんだでコーヒーカップを受け取り、口をつけた。「あ、そういえば深町さんも深大生なんでしたっけ」

「元、だけどね。学生だったのは、もう四年も前の話」言葉にしてみて、そうか四年も前なのか、と驚く。「懐かしいな」

「懐かしい、ってヤバいですよ」石山は肩を揺らして笑う。「でも、四年前っていうことは、深町さんだいぶ年上なんですね。あんまりそんな風に見えないけど」

「まあ、そうだね」僕は曖昧に頷いた。「いつまで経っても、大人になれてないってことなんだろうけれど」

「や、そんなつもりじゃ」と石山が慌てたように首を振る。「ほら、若く見えるってことですよ」

 それが大人になれてないってことなんだ、と僕は思うけれど、口を噤んで苦笑いを零すだけにした。

「サークルとか入ってるの?」と話の筋を石山の身の上に戻す。

「一応、入ってますねえ。もう行ってないですけど」石山はコーヒーに口をつける。「なんか面白くなくって、いつの間にか、行かなくなってました」

「僕も同じだね」と軽く応じた。「なんか面白くなくて、いつの間にか会社へ行かなくなっていた」

「じゃあ、私もそのうち、深町さんみたいになるのかな」言いながら、石山はわずかに顔をほころばせている。「サークルへ行かなくなるみたいに会社に行かなくなる……なんか、簡単に想像できちゃいますね」

「改めて言うけど、お薦めできないよ」僕は口をへの字に曲げた。それから、コーヒーをちょっと啜る。「やってたのは、どんなサークル? って訊いても良いのかな」

「良いですよ」と石山は頷く。「バンドのサークルです。ギター弾いたりとか。私はベースでしたけど」

「ギター」僕は鸚鵡返しに呟いた。「ギターって弦楽器の?」

「他にギターがあるんですか」石山は可笑しそうに言う。「ギターも弦楽器ですし、ベースも弦楽器ですよ」

「いや、なんか……石山さんにギターとか、ベースとかって」言いかけて、適切な言葉を探そうとしたけれど、見つかりそうになかったので、そのまま口に出してしまった。「あまり、似合わないというか」

「あはは、そうかも」また機嫌を損ねたらどうしよう、という僕の心配は杞憂だったらしい。石山はちょっと不自然な笑い声と共に、目を細めた。「大学入ってから、気紛れで始めただけですしね。様になっていたとは、言い難いと思います」

「様にというか、まあ」確かにベースを持った石山の姿は想像しにくい。

 だけど僕が彼女にギターやらベースやらが似合わないと感じた理由は、それとは別のものだった。

「知り合いにバンドやってるのがいてさ。……ギターとかって聞くと、どうしても彼のことを思い出してしまうもんで」

「どんな人なんですか?」

「うーん」

 訊かれるだろうと予想は出来ていたが、僕は答えに詰まる。そもそも、誰かを紹介するという行為が苦手なのだ。

 ましてや紹介するのがあの手代木てしろぎ洋介ようすけだと言うなら、尚の事。

「……変なやつだよ」僕は首を傾げながら、言った。「髪の毛をグレーに染めてて。それを、地毛とか言ってる」

「あー。イタい感じの人なんですかね」石山は軽薄っぽく頷く。「確かに、うちのサークルにも居ました。そういう人」

「イタい人」と僕は苦笑いで復唱する。「そういう言い方をしてしまえば、そうかもしれない。たぶん石山さんも、実際に会って話をしたら、何言ってるんだこいつは、って感じだと思うよ」

「なるほどです。でも、音楽やってる人っていっても、色々ですからね。そのグレー髪の人が、たまたまアレなだけで」彼女は訳知り顔で言った。

 目の前の少女に、たまたまアレなだけ、と言われてしまった友人のことを僕は思う。

 手代木洋介は、今や人気バンドの一角となった『the DOGS』のギタリストだ。バンドそのものは、ボーカリストが深羽大学の音楽サークル出身なこともあって、うちの大学で音楽をやっているなら知らない者はいないくらいの存在だった。石山もおそらく、バンドの名前を出せば判るんじゃないだろうか。

 手代木本人は僕と同い年ではあるが、深羽大学の関係者ではないから、熱心な音楽ファンでないであろう彼女が知らないのも無理はないけれど。

「まあ、そういうわけだから、ギターやらベースやらと聞くと、どうしてもそいつのことを思い出しちゃうんだよ」コーヒーを一口飲んでから、僕は言った。

「見たことあるんですか」石山が言った言葉の意味がすぐにはわからなくて、僕は眉をひそめた。それを受けてか、彼女は言い直す。「そのグレーのお友達がギターを弾くところ、見たことがあるんですか?」

 

  3

 

 手代木洋介との出会いは、もう五年ほど前のことになる。

 当時、僕は大学生だった。

 文科系の大学生といえば、人生のうちで最も暇な時期のうちの一つである。きわめて平均的な深羽大学生であったところの僕もその例に漏れず、大学三年のこの時期、余って腐りかけた膨大なる時間を、喫茶店のアルバイトに費やしていた。手代木はそこへ、客としてやってきたのだ。

 彼は僕の勤める喫茶ロクサーヌに、全盛期には週あたりおよそ四~五回という驚異的なペースで顔を出した。それもモーニングとかじゃなくて、昼過ぎから夕方にかけての長時間である。

 僕としても、初めのうちこそ変わった髪の色をしているなあくらいにしか思っていなかったのだが、瞬く間に常連客の風格を纏っていく彼に対して、ある種の親しみのようなものを覚えずにはいられなかった。

 僕は胸の内でこれを『暇人同盟』と名付けた(もちろん口に出して言ったことはない、単に自分がみじめな気持ちになるからだ)。

 でも、だからと言って、僕は客に対して親しげに話しかけたりはしない。喫茶店アルバイターであった僕が勤務時間中に発する言葉といえば、「いらっしゃいませ」「ご注文はいかがいたしましょう」「お待たせいたしました」「お代わりはいかがでしょうか」「ありがとうございました、またお越しください」の五点に概ね集約された。客の髪の毛がグレーだろうが、相手を心の中で同盟の仲間と認定していようが、そんなことは僕のプロフェッショナリズムには関係がない。

 つまり僕らの私的な関係の発端を作ったのは、手代木のほうだ。

 冬の初めの、肌寒い夜だった。ウェイターの業務を終え、店を少し離れたところにある駐輪場へ向かう道の途中、後ろからいきなり声をかけられた。

「店員さん」と、彼は独特のやや甘ったるい声で言った。

 その調子が、喫茶店の中で耳にするのとまったく同じだったので、僕は思わず「はい?」と振り返ってしまう。

「……あ」手代木の姿を認めた僕は、たぶん間抜けな顔をしていただろう。「えーっと」

「急に悪いね」彼は悪びれた様子もない。「『ロクサーヌ』の店員さんだろ。いつもお世話になっている」

「あ、はい。こちらこそ」僕は目の前の男に対して、喫茶店の店員として接するべきなのか、街中で会った顔見知り同士として接するべきなのかを判断しかねて、中途半端な態度をとった。「いつもお世話になってます」

「あんたは別にオレの世話にはなっていないだろ」と手代木は真顔で言う。「まあ、そんなことはどうでもいいのさ。少し聞きたいことがあって」

「聞きたいこと、ですか」正直なところ、気温に合わない薄着をして来てしまっていたこともあって早く帰りたかったのだが、喫茶店店員としての責任感のようなものが、とりあえずそれを押し留めた。「何でしょうか」

「その、曲は」と彼は言った。「なんていうタイトルなんだ?」

「は?」

 言っている意味がわからない。

 その曲、と彼は言ったが、僕はそのとき音楽を聴いていなかった。携帯電話は普段からマナーモードにしているから、着信音が聞こえたというわけでもない。

 僕は少し首をひねってから、結局、素直に尋ねた。

「すいません。その曲って、何です?」

「その曲はその曲だが」手代木はあくまで無表情だった。「そうか、あんたには聞こえてないんだな」

「……」

 僕は思う。

 もしかして、ヤバい人なのかな、と。

「よくわかんないですけど」僕のプロフェッショナリズムはお休みに入った。そもそも業務時間外なのだから責められる謂われはない。「えっと、これから用事があるので」

「嘘だろ」単に事実を指摘する調子で彼は言った。「用事なんてない。あんたはたださっさと帰りたいだけだ。まあ、オレの都合でそれを引き留めて良い理由は、確かに何もないが」

「…………」

 さすがに言葉を失う。ほとんど初対面の相手から、その場しのぎの些細な嘘をまっすぐ指摘されたとき、まともな人間というのはどんな反応をすべきなんだろうか?

「……あの」逡巡の末、出たのは小さな溜息だった。「いったい何の用なんですか」

「さっき言った通りだよ。その曲について訊いてみたかった。ただ、あんたには聞こえてないみたいだ、ということはわかった」

 彼の声色は冷静そのもので、けれどその内容は何度聞いても理解できない。会話が成り立っていないというわけではなさそうだが、肝心の『その曲』が何を指すのかがさっぱりだ。

「えーっと、僕に聞こえないんだったら、僕に訊いても仕方ないですよね。その……『その曲』について」僕は相手の文法に則って、会話のキャッチボールを試みる。

「いや、そんなことはない」丁寧に投げた山なりのボールはホームランバットで打ち返された。「その曲はあんたのモノだから」

「僕の?」聞こえてないのに?

「これ以上、口で説明するのは難しいんだ」手代木は相も変わらぬ鉄面皮だった。「あんたには聞こえてなくても、オレには聞こえてる。そして、その曲は、あんたのものなんだよ」

「はあ……」僕は曖昧に頷くしかない。「でも僕には聞こえないので、そんなものがあるってこと自体、今初めて知りました。もちろんタイトルなんかもわからない」

「それは、仕方ない。聞こえてないんだから」と彼は物分りよく頷く。「それならそれで、ひとつお願いがあるんだよ」

「お願いですか」僕は投げやりに言った。

「その曲をコピーさせてくれないかな、バンドで。もちろん作曲者はあんただ。音源化されれば印税も入る」

「……えーっと」

 えーっと。

 それ以外に何を言えというのだ。

「あなたの妄想をどのように具現化していただこうとあなたの自由ですが、そこに私を巻き込まないでいただけるとありがたいです」くらいのことが言えれば良かったのかもしれないけれど、あいにく僕の口は咄嗟にそんなことを捲し立てられるほど達者じゃない。

 十秒くらい沈黙があった。その間、手代木は身動き一つしなかった。本当に、眉一つ動かさないで、僕の答えを待っていた。

「それ、僕が何か手伝う必要があるんですか」ようやく口を開いた僕はそう言った。

「曲を楽譜に起こす間、近くに居てくれればそれで良い」彼はやっぱり表情を変えずに、答えた。「あんたが傍にいないと、その曲は聞こえないから」

 そうですか。

 僕は投げやりに頷いた。

 

  4

 

「それで」と石山が言った。「深町さんはその、手代木さんに曲を提供したわけですか」

「そういうことになったらしい」僕はカウンターから引っ張り出してきたクッキーをかじる。「と言っても、僕は黙って座ってただけだけど」

「いやあ、完全にアレな人ですね」石山はしみじみと頷く。「でも、それに付き合う深町さんも深町さんですね」

「僕もそう思う」反論の余地がなかった。「だけど、それが良い曲だったんだよ」

「深町さんの曲?」と彼女は首を傾げた。「って言って良いのかわからないけど」

「ギターアレンジだ、って言って聞かせてくれたんだよね。わざわざCDに録音して、店に持ってきて」

「良かったじゃないですか」石山はどうでもよさそうに笑った。「で、その後、結局バンドで演奏するようになったんです?」

「半分イエスで、半分ノーかな」と僕は応じる。「ライブで、演奏することはあったみたいだ。けれど、正式な音源にはなってない。最近は演奏自体もしてないはずだよ」

「その手代木さん、今もバンドやってらっしゃるんですね」と石山。「でも、演奏自体してないって、どうして?」

「手代木曰く、完成していないから、らしい。タイトルがない曲は、未完成だって」僕は眉をへの字にした。「そして、タイトルをつける権利は、僕にしかないらしい」

「タイトルですか」石山は腕組みをする。「つけてあげたら良かったんじゃないですか、タイトル」

「僕もそう思ったんだけど、手代木に断られた」

「わけわかんないですね」石山が言う。まったくだ、と僕も思った。

「手代木に言わせると、その曲っていうのは、僕のものなんだけれども、まだ完全に僕のものになっているわけじゃないらしい」彼に言われたことを要約するつもりで僕は言う。

「はあ」石山は溜息のような声を出した。「それは、その曲が深町さんに聞こえないから?」

「それもあるみたいだ」僕は頷く。「でも、それだけじゃないっぽい。よくわからないけど……」

「今も会ったりするわけですか」石山は思い立ったように言って、首を傾げた。「その、手代木さんと」

「たまにね」と僕は首を縦に振る。「その、曲の件があってから、僕と手代木はたまに連絡を取り合うようになった」

「深町さんってあれですね」と石山は少し早口になって言う。「変な人を引き寄せる才能があるんでしょうね」

「何その才能」二十年以上も生きてきたが、そんな才能の存在は聞いたことがなかった。「まったく嬉しくない」

「でも否定はしないでしょう」石山は得意げだった。「私だって、言っちゃえば、割と変なやつですしね」

「石山さんは別に普通だと思うけど」僕は右手でコーヒーカップの取っ手を摘む。「まあ言い出したら、普通って何だよ、って話にもなるか」

「じゃあ言い換えましょうか。人に対する許容範囲が広い、って感じです」石山は続ける。「心の中で、こいつ変だなとか、ヤバいんじゃないかって思っても、深町さんはとりあえず相手しちゃうでしょ。見限って切り上げるってことが、あんまりないんじゃないですか?」

「否定はしない」手代木の話をした後では否定などしようもなかった。

「手代木さんもですけど、私に対してだってそうですよ、深町さん」彼女は言いながら、手の中のコーヒーカップを覗き込んでいる。「初対面なのに私、随分突っ込んだことを聞きましたよね。失礼しました。だけどそれを窘めるでもなく、あしらうでもなく、真っ向から受け止めて、おまけに分析した上で批判する人って、たぶん、そうそういません」

「そうかな」僕はなんとなく居心地が悪い。「というか君、失礼だって自覚はあったんだ」

「それは、まあ」と石山は目を泳がせた。「どうせその場の付き合いだ、と思ってたのもありますし」

「意外と打算的だね」僕は苦笑して、心にもないことを言う。「でも、そうだな。確かに、僕にはもっと他のやり方もあった」

「でしょ。そういう行動って、主観ではほとんど無意識にされてることが多かったりしますけど、実際とても色んな選択肢があるはずなんですよね。その積み重ねが人の個性というものを形作っている……って、これはただの受け売りですけど」

 僕は彼女のその言葉を、聞き流すというわけではなかったけれど、決して重く受け止めたりはしなかった。

 でも、そのことを誰が責められるだろう。

 なんて言い方は、卑怯だろうか。あるいは、不誠実だろうか?

 実際のところ、それは石山からの通告のようなものだったのかもしれないと、今にして思う。彼女は会話の中で自分のスタンスを示して見せたかったのかもしれない、と。

 ともあれ、彼女の意図がどうであったにせよ、この会話はそういった示唆を孕んでいたのだ。

 

 ……思わせぶりなモノローグはやめろって?

 

 OK。なら話の途中ではあるけれど、ここまでの会話から見れば、未来にあたる話をしよう。

 この二ヶ月後に、石山茜音は死んだ。

 死因は不明という扱いになっているが、それは単に親族が死因を明かしたがらないだけのことであって、まあ実際のところは、自殺というのが大勢の見方だろう。

 では自殺の原因はといえば、もちろん不明だ。遺書のようなものがあったのかどうかすらも、僕は知らない。知る由もない。

 だから僕にできることと言えば、ただ過去を振り返って、想像することだけだった。

 たとえば……もしあのとき別の言葉を掛けていれば、彼女は死なずに済んだのだろうか、といったようなことを。

 当然こんなものは、まったくもって不毛だし、自意識過剰も甚だしいし、もしかしたら死んだ石山に対して、失礼ですらある。

 それは石山のために行われる行為なんかではこれっぽっちもなく、ただ自分自身がこの見当はずれの罪悪感に圧し潰されてしまわないための、ある種の防衛機制としての心の動きだ。

 という具合に、いくら自分の思考を客観視しようとしてみたところで、自らがはまりこんでいる袋小路から抜け出せるわけでもない。

 辛いものは辛いし、苦しいものは苦しい。いくら気にしたって仕方ないと言い聞かせたところで、気になるものは気になるのだ。

 たかが二ヶ月そこそこの付き合いしか無かったような相手に対して、いったい何を、と思われるかもしれない。

 けれどその二ヶ月の間、僕と石山はそれなりに多くの会話を交わしたし、そうすることでそれなりにお互いのことを理解し合えたのではないか、少なくとも理解の端緒が開けたのではないかと、そんな風に思ったりもしていたのだ。

 その相手が死んだ。何の断りもなく。一言の相談すらもなく。

 理解し合うことが出来ただなんて、思い上がりも良いところだ。石山にとって、自身の命を左右する問題が何であったのかも、僕は知らなかった。いや、それどころか、そのような問題が存在しているということにすら、これっぽっちも気付いてやしなかった。

 何の断りもなく、一言の相談すらもなく。とはいえ、「どうして言ってくれなかったんだ」と、そんな風に言い募ることすらもはや叶わない。しかし、仮にそれができたとしても、彼女を責めるのはやはりお門違いというものだろう。

 何故って、僕と彼女はそれなりに多くの会話を交わしたのだ。そのことによって互いの理解が深まったのではないかと、勘違いすることが出来る程度には。

 であれば、僕は気付くべきだったのかもしれないではないか。彼女が発していたシグナルに。難破船の救難信号に。

 すべての行い、反応、仕草、その他諸々は、常に選択されている。

 彼女の死の兆候を、僕は読みとることができなかった――否、読みとらなかったのだ。

 石山だったら、口には出さずとも、そんな風に思っていたんじゃないだろうか。

 なんて。

 益体もない。自責の念を弄ぶだけ弄んで、いったい何の意味があるというのか。

 ぐるぐると、あるいはゆらゆらと。終わりのない迷路をさまよっているみたいに、寄せては返す細波のように、昼夜を問わず悔悟という名の妄想は続いた。

 そうしているうちに、僕はやがて一つの兆候に気付くこととなる。

 深みへ入り込むほどに、水面が揺らめき立つほどに、それは顕著に、大きくなっていった。

 僕の意識に、そいつは初め、少し変わった耳鳴りのようなものとして現れる。

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