私は幸せになれますか。
(はい/いいえ)
皆さん、考えてみてください。
日常の些細な疑問や不安、
そんな事柄に対して『必ず正解が解る』能力があったとしたら、と。
勿論、活用しますよね。
だって必ず当たるならずっと正解だけを選び続けられるのですから。
それこそ人生イージーモードです。
しかしその能力を使うのには大きな代償が伴うとしたら?
それでも貴方は使うでしょうか。
それとも使わない?
この物語は占い師の主人公が、ある能力を偶然手に入れた
事から動き出します。
物語は静かに進み、やがて加速しながら主人公の運命を
弄びます。
そして張り巡らされた罠。
どんでん返しの先には更なる罠が…
そんなサスペンス要素も多分に含んだ充分に読み応えのある
現代ドラマです。
皆様、ぜひお読みください。
いや、読んで欲しい! おすすめです。
不運で、もしかしたら不幸ですらあるかもしれない彼は、
小林一茶という風変わりな名前の、フリーター兼占い師。
かつてその才能を見出してくれた「先生」の教えに従って、
細々とまじめに、迷える人々に占いとアドバイスを日々だった。
そんな生活がある日、一転する。
株トレードで財を築く大会社の会長である老婦人あやめから
かつて欧州の森の奥で得たという「賢者の手」を受け継ぎ、
ただの占いではない強力な未来予知の力を授かったのだ。
賢者の手の力を使うことによる代償は生易しくはない。
初めはあやめが人間らしく見えなかった、その描写にゾッとした。
代償が存在するとわかっていても、一茶は力を使えるのか。
彼は優しいのか諦めているのか、ふと見えなくなるときがある。
あやめの過去、エレインの真意、隠された家族の事情。
人がその近しい人を傷付けてしまう悲しい未来を察知して、
一茶は立ち向かうことを決断し、全霊を懸けて占う。
切なくも希望の光が見えるラストがとても印象的だった。
こういう主人公、すごく大好きです!
現実の世界でこういうことをすると、他人にいいように使われて、いいことをしているはずなのに幸せになれないってケース、けっこうあると思うんですよ。
でもこちらの主人公は、最後の最後まで他の人のために力を使って、自分を犠牲にしてまで人を助けて、それを貫いた結果、自分が幸せになる。
こういう人生、すごく憧れます。
でも現実ではやはりうまくいかなくて、だからこそ物語でこういうお話が読みたい。
そんな僕の思いを、まさにピンポイントで突いてくれた作品でした。
他の登場人物も魅力的で、個人的にはマックがすごく好きです。
最後まで読むと、とてつもない感動が待ってますよ!
街角で占い師をやっている若者、一茶。当たるも八卦当らぬも八卦、というあれだ。
そんな彼の人生が、ひとりの年老いた女性と会うことで、想像を超える世界へ導かれていく。
人は誰しも未来を知りたがります。不安を消し、希望を持ちたいからです。ある大国の大統領でさえ、お抱えの星占い師がいるのですから。
もし、100%当たる占いがあれば誰しも心惹かれるでしょう。
でも、導き出された未来が必ずしもよい結果とは限りません。
自分は、自分だけは薔薇色の未来世界が待っている、などと思っていた時の落差に愕然とするでしょう。
今作は占いを通して、人生の在り方、人との絆、そして本当の幸福とは何か、を問いかけています。ミステリーな要素もうまく絡められ、極上の作品となっております。
伏線には驚きました。でもちゃんと提示れていたのです。
稀代のストーリーテラーがおおくりするヒューマン・ドラマ、ぜひご覧になってください。
※ネタばれになっている箇所があるかもしれません。本編を読まれていない方は目を通さないようお願いします。
一人のしがない占い師に突如訪れた「運命」を12星座と絡ませて描いた作品です。ジャンルで言えば「ファンタジーを題材にしたサスペンスタッチのミステリー」といったところでしょうか?(意味不明)
まず、親しみが感じられる、まるで作者を彷彿させる主人公(笑)による軽快な語りに導かれてストレスなく読み進めることができます。前半のフラットなストーリーがは気持ち長い気はしますが、だれてしまったり飽きたりすることはありません。
個人的な感想で恐縮ですが、最初は主人公が「押し付けられた」能力についてモヤモヤしながら読んでいました(笑)正直なところ、自分が彼の立場だったら納得がいかないと思いました――平気でそんな重い物を「よろしく」なんて押し付ける人の気がしれませんでした。そこに大義名分があれば納得できたのですが。例えば、世界を守るとか、大切な人を守るとか……
でも、後になるにつれ、少しずつ感じ方が変わっていきました。主人公の性格もあるのですが、そこが本作の本作らしいところ。そこらに転がっているワンパターン小説とは違うところなのです(笑)
閑話休題
どんな展開になるのか全く予想がつかない中、物語が動きます。まさかそんなスゴイ裏があったなんて……唐突と言えば唐突ですが、思わず「おーっ」となりました。そのまま怒涛の展開でラストまで一気に突っ走ります。はっきり言って目が離せません。
ラストは、どこか寂しいような消化不良のような不思議な感覚が残りました。それは、冒頭で感じた「個人的な蟠り」のせいなのかもしれません――ただ、それはあくまで極めて個人的な感想であって「作品が評価に値しない」と言っているわけではありません。
すごく惹かれました。時間が取れなくて一時リタイアしましたが、先程一気に読みました……いえ、読まされました(笑)エンタメ作品として独創的で秀逸な作品だと思いました。前述した批評も決して悪い意味ではありませんので誤解しないように(震え声)
エンディングを目にした100人が100人とも「これは100%のハッピーエンド」と感じる作品も悪くはないのですが、「幸せってなんだっけ?」とその定義をもう一度考えさせるようなエンディングもまた一興だと思います――幸せの形は決して1つではありません。TPOによっても様々ですし、読み手の性格や置かれた環境によっても真逆の見解が出るかもしれません。
このエンディングだってハッピーエンドなのです。予定調和の範疇に収まらず、主人公の環境を見ると「100%幸せ」なんてとても言えませんが、運命の中で自分にできる策を講じ、結果としていくつかの不幸せを幸せに変えることができたのですから――カッコよく言えば、大切な人を守ったってことでしょうか。それに……ボクの蟠りを払拭してもらえるような一文(将来主人公の症状が回復するようなくだり)も追加してもらったし。ボクがあまりにもうるさいから(笑)
それは冗談として……長い間、お疲れさまでした。
素晴らしい作品を楽しませていただくとともに、キャラ立てや表現方法など、たくさんのことを勉強させてもらいました。エンタメなのに考えさせられる作品にexcellentです!
RAY
完結後のレビューになります。
実に素晴らしい物語でした。
街角で占い師をして細々と暮らしていた主人公・一茶は、とある企業の会長をしている老女のあやめさんから「賢者の手」と呼ばれる不思議な力を受け継ぎます。
あやめさんや彼女に関わる人達と親しくなる中で、慎ましくも幸せな生活を楽しめるようになってきた一茶でしたが、自分が受け継いだ力をあやめさん達のために使ううちに、自らの異変に気づいていきます。
それでも彼には力を使わざるを得ない理由が生まれてきます。
自分のため、そして何よりも親愛なる人達のために──。
静かで穏やかな時の流れが、物語のクライマックスで一気に緊張感を増してハラハラとさせられます。
一茶の選択は正しかったのでしょうが、彼は賢者の手の力で未来を大きく変えました。
その未来の行先を、ぜひあなたも確かめてみてください。
夜も十時を過ぎたころからやってくるほろ酔い気分の人たち。そんな人たちを待っているのはガード下で占い師をやっている小林一茶。彼はそこで運命の人と出会うが……。
一茶がとある人物から引き継いだ痣――聖痕。それは占いの精度を飛躍的に高められるのだが、実際に高まっておりました! 原油の価格の暴落や、金の下落が止まることを当てられれば一攫千金も夢でもないぞっ(⌒∇⌒)
占いというものをここまでひも解いて、物語として成立させているのを読むのは初めてです。これはちょっと楽しみかもっ。
最後に、黒崎エレインがとっても素敵です。女性にもてそうな女性という感じ。リムジンに乗せてもらいたいっ(>_<)