大いなる力と大いなる代償を引き換えにした、慎ましやかな占い師の物語。

完結後のレビューになります。
実に素晴らしい物語でした。

街角で占い師をして細々と暮らしていた主人公・一茶は、とある企業の会長をしている老女のあやめさんから「賢者の手」と呼ばれる不思議な力を受け継ぎます。
あやめさんや彼女に関わる人達と親しくなる中で、慎ましくも幸せな生活を楽しめるようになってきた一茶でしたが、自分が受け継いだ力をあやめさん達のために使ううちに、自らの異変に気づいていきます。
それでも彼には力を使わざるを得ない理由が生まれてきます。
自分のため、そして何よりも親愛なる人達のために──。

静かで穏やかな時の流れが、物語のクライマックスで一気に緊張感を増してハラハラとさせられます。
一茶の選択は正しかったのでしょうが、彼は賢者の手の力で未来を大きく変えました。
その未来の行先を、ぜひあなたも確かめてみてください。

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