第10話 続けてよかった

「何回か試してみたけど1枚だけだと引けないことも多いよね」

「まあ、そんなものだろう。俺もささっきのパックでいいの手に入ったけど

大会が終わったらデッキに入れるか決めるんだ。そのほうが何と交換すべきか

分かりやすいしさ」

「そうか、そういうのもアリだよね」


僕たちは今日時間を忘れるくらいカードバトルをしていたんだ。

その時間は僕たちにとってはすごく長くて楽しい時間だけど

時計を見るともうこんな時間だったかを気付かされる。

時間を忘れて好きなことをしていられる時間がとても楽しかった。


「じゃあなマモル。もうすぐ大会だからお互い頑張ろうぜ!」

「頑張ろう。じゃあ明日ねー」


僕は帰り道ずっと逆転の女神サウスコアのカードを見ていた。

そのカードの輝きが僕を魅了するかのように

僕は見続けてる。


「うーん、使ってみたいなぁ。どうしようかな…」


このカードを見てると思うんだ。

アンティールールでカードを取られて、デッキを川に落として

とても悲しかったんだ。

でも、今は思う。やめなくてよかったって。

だって今、こんなにいいカードと巡り会えたから。




明日が大会だ。

今日もいつも通りにカードショップに来ていた。

でも大会前日だからか人がいつもより多い。

僕と同じぐらいの歳の人もいれば年上の人もいる。

みんなカードの話ばかりしてるけど

どの話も僕には難しく感じた。

だからここの場所は強い人ばかりの場所だと思ったんだ。

でもそれは当然だ。だってみんな勝ちたいって気持ちは同じだから。


「そういえば、リョウくんは大会に出たことあるの?」

「ああ、あるぜ。一回だけだが」

「そうなの!?それで結果はどうだったの!?」

「一回戦負けだ」

「え?」


意外だった。僕の中ではとても強いリョウくんが一回戦負けだという事実には

驚いたんだ。


「でもな、今回は1回は勝ちたいと思ってるぜ」


リョウくんは笑っていた。

そのときのリョウくんはとても強く見えたんだ。

変な見栄も張らず堂々とした雰囲気がとてもかっこよかった。



初めてのショップ大会か。一度でも勝てたら嬉しいな。









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