第9話 初めてパックを買うとき

「なあ、マモル。今度駅前のカードショップでさ、大会があるみたいだからさ

一緒に出てみないか?」

「大会!?そんなの僕は出たっていきなり勝てないと思うよ」

「まあまあ、そういうなって。軽い肩慣らし程度でいいんだよ。

それにさ参加賞で1枚カードが貰えるらしいぜ」

「本当!?」

「そうそう、だから勝ち負けこだわらずまずはダイブすればいいんだよ」

「うーん、そうだなぁ…ちょっと怖いけど出てみようかな」

「よっしゃ!決まりだな」


僕たちは放課後にいつも通りに駅前のカードショップへ向かった。

今度のカードショップ大会に向けて新しいカードを手に入れようと思ったんだ。


「えっと、いつもの展示コーナーからカードを買えばいいのかな」

「いやいや、今回はな。カードがランダムに入ってるパックを

買ってみないか?」

「え、パックって何?」

「あら〜知らないか。えっとなカードパックっていうのは1つの袋の中に

5枚のカードが入っていて、その中のカードが何なのかは完全にランダムなんだ」

「じゃあいいカードが必ず入ってる訳では無いんだね」

「いいや、5枚のカードの一番下のカードには強さはともかく必ずレアなカードが

1枚入ってるんだよ!」

「え、本当に!?」

「そうだ、だからまずは3パックぐらい買ってみようぜ。

すみませーんこのパック2人分3パックずつお願いしまーす」


はい、分かりました。


店員さんから3パックをそれぞれ受け取った。


「初めて開けるパックってこんなにドキドキするんだね」

「だから面白いんだよ」

「開ける時はどうすればいいの?」

「そうだな、カードをなるべく傷つけたく無い時は自分のハサミ、まあ

マイハサミがあったほうがいいな。なかったら右上の凹みのところで

破るように開ければいいんだ。他にはパック裏の中央の部分をこんな風に

破ればいいんだよ」

「うん、分かったよ!」


パックを1つずつ開ける。その中には綺麗に5枚入っていた。


「なんか、一気に5枚を見たく無いよね」

「じゃあ、ゆっくり一枚ずつ見ていこうぜ」


一枚一枚カードをめくっていく。

初めて出会うカードはレア度関係無しに新鮮なものに感じた。


すごい、これ自分のものになるんだ…


最後の1枚をめくったときに出会う光ったカードは特に嬉しかった。

宝物を手に取ったような感じで震えがとまらなくなるくらいに。


「えぇと、これ僕貰っていいのかな?」

「いや、お前が買ったんだろ…」


そして2パック目、そして3パック目。

その中には同じカードが2組あったけど、

カードゲームでは同じカードを何枚か入れられるから

どれも大切だ。

そして3パック目の最後の1枚を見たとき僕はすごく驚いたんだ。


「ねぇリョウくん。これ見てよ!すごく光ってるよこのカード!

それにこれ見たことあるよ」

「お、マモル。いいレアカード当たったのか。

これは逆転の女神サウスコアじゃないか。やったなマモル」

「でも、これリョウくん弱いって言ってなかったっけ?」

「ああ、それは俺のデッキに入れても合わないって意味だよ。

お前そういうカード好きなんじゃないか?」

「そうだね。じゃあこれデッキに入れて大会出ようかな」

「まあ、ちょっとまて」



リョウくんは両手を上下させておちつけおちつけと言ってるようだった。


「あのなマモル聞いてくれ。

確かにこのカードは使い方次第では強いかもしれない。

だが、大会では俺もすごく緊張してるんだ。

だからいざという時に使い方が分からないカードを入れたら

そのカードのせいで負けることもあるんだ」

「そうか、大会は緊張するからね」

「そうだ。だからあっちのスペースで試してみて

大会で使うかどうか決めようぜ!」

「分かったよ!」














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る