第34話 プールで遊ぶ
一階におりてプールを見る……なんだろセレブなプールだな。さすがに二十五mプールではないと思ってたんだけど、バシャバシャって感じでもなく、程よく泳げて遊べるプールだな。
「おし! とりあえずここに勉強道具置いて」
プールのそばにはテーブルに椅子もある。快適だ! そして日焼けを気にして日焼けどめを塗る暇がなかったから持ってきたのに、プールに屋根をかけてる拓海。開閉付きの屋根って。どれだけ快適なんだよ。元気な拓海とは違い車から電車、電車から車ともう十分に疲れてた私はそこに勉強道具を置いて座る。拓海元気すぎだよ。
「おい! これ! いるだろカナヅチ女!」
拓海を見ると、わあ!
「どっから? 持って来たの? あれ? でも膨らます時間ないよね」
拓海が持ってるのはプールに浮いて泳がず涼める浮き輪? じゃないなんていうんだろう。とにかく枕ついて寝転べてプカプカ浮ける奴だ。
「管理人さんに頼んどいた。ここに置いてあったのダメになってたから、新しいのだぞ!」
「え? マジで。申し訳ない……」
「いいって、次の人が使うだろうし」
次の人?……ここを使うのは拓海だけじゃない? ってことは……拓海をどうして引き取らないの? ここにくる余裕があるのに……。
「ん? 樹里どうした?」
「いや、何でも。それいい! あ!」
拓海がプールの真ん中にそれを投げた。
「ああああ!」
「これくらいは泳げるんだろ?」
ニカニカ笑って言ってる拓海め!
泳げるよ……多分。足つく? 久々のプールにビビりますカナヅチ女。
バスタオルを椅子の背にかけてから、プールに近づく。水面からは底がわからない。そーっと水に体を沈める。心地よい軽井沢では水温は低いぐらい。そーっと入って正解だな。って、ザブンと行く勇気などないけど……。
ザブン
水飛沫をあげて拓海が私の横に飛び込んだ。
うう、これよみがしに! って、足つかないよ!
ブハッ
って拓海が何時の間にかプールサイドに捕まって底を探してる私の後ろにいる。
「ここのプール足つかないよ。そこは」
「えー? もう! 早く言ってよ」
プールから出ようとする私の後ろから体を持たれて例のフワフワまで移動させられる。
「拓海ー! 怖い!」
「大丈夫離さないから」
ドキン! いちいち私の胸うるさい! 拓海が持ってる私の腰は完全にプールの中なのに熱いよ。
ようやくあのフワフワへとたどり着いた。怖いというドキドキと拓海に持たれてるドキドキでもう時間が長く感じたよ。
フワフワに水中で乗るのに一苦労。あれ? 拓海に押されてる! や! どこを押してるの! 拓海を見るとニヤケてる! もう、どうせカナヅチだよ。
*
あー、快適だよ。水辺とここの気候と屋根があるから快適! 快適!
拓海はひとしきり泳いでる。運動神経いい奴め!
そこからは拓海は攻撃に転じる、はじめは水をかける程度だったのに! ヤダ! 揺らすな!
ドボーン
落とされたよ。泳げない私を落とす為にこれ用意したな!
なんとかフワフワにつかまって拓海を蹴ってみるけど、水の中の動きが違う。私のはただ暴れてるというのだろう。
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