第33話 ビックリする

 旅行当日は父が車で私達を駅まで送ってくれた。なにせ私がバックにパンパン過ぎの荷物持ってるからね。

 電車で旅行もいつ以来だろう? もう記憶を辿れないかも、中学校の修学旅行はどこだっけ? なんてことを思ってるうちに発車する。あー! 本当に二人きりで旅行なんだ。父はなぜに平気なの?

 向こうではお迎えが来ているそうだ。別荘って使ってない時期の方が長いんで管理人という人を雇っていて、普段から管理をしてもらうらしい。で、お迎えも管理人さんが来てくれる。私達がいる間に料理とかも出来るがもういい年なので断ったそうだ。拓海ってばいつから計画してたんだろう?

「ねえ。別荘の話聞いてなかったけど、いつから?」

「んー。ああ。樹里が夏休みが! とか言ってた頃。樹里暇そうに言ってたから。おじさんたちに聞いたら樹里は暇だから行っておいでって、言われたんだよ」

「えー。あの時?」

 お父さん勝手に人の予定を暇扱いして! 暇なんだけどね、実際に。

「もともと今年も行く予定はなかったんだ。一人で行ってもつまらないしね」

 確かに。プールも露天風呂も最高だけど、一人だったら一日いるのも嫌だな。

「そう。って、もっと早く言ってよ」

「でも、まだそんなに親しくないんじゃ、誘えないよー」

 えー。その頃もたいして今と変わってないと思うけど……。


 着いてビックリ、見てびっくり!

 まずは結構……山の中? 森の中? 途中管理人さんが

「私達はここに居ますんで」

 と、指差した管理人さんの住居からはまた奥に入った感じ。森の中だったのが、一気に視界が広がってすごい見晴らしいいよ! そして別荘。想像してた山小屋風ではなくまさに別荘だった。快適住居だね。もう軽井沢じゃなくいいじゃない? ってぐらいに快適そうだよ。

「樹里着いてるよ!」

 わかってます。拓海がお金に困ってない状況はここを見れば一目瞭然だよ……なんでうちにいるの?


 何部屋あるんだろう扉がある廊下の一番手前の二部屋が私と拓海の部屋になるらしい。パンパンの荷物を管理人さんに運んでもらう。

「ありがとうございます」

 宿屋とかホテルじゃないので恐縮しまくるよ。管理人さんに。拓海は自分でカバンを持っている。

「では、食料品は冷蔵庫に五日分入れてありますので、五日目の朝に食料品もう一度運んで来ます」

「ん。ありがとう」

 拓海は慣れた様子。

「では」

 と静かに去って行く管理人さん。


「じゃあ早速プールだぞ! 水着に着替えて、勉強道具と着替え持って集合な、ここに」

「え! いきなり? 元気だな」

「ほら、早く!」

 と言って自分はさっさと部屋に消える。

 えー。荷物ちょっと出したりとかは? 十日もいるのに急ぎ過ぎだよ。とりあえずいきなり部屋に突入したりもする拓海を警戒して先に水着に着替えてから、荷物を出すことにする。浴衣とかはシワになるから早く出したいし。部屋はベット一つの洗面台があって、書き物机がある程度。だけど、十分豪華だよ。

 浴衣を出して洗面用具を出したあたりで


 コンコン


「まだ?」

 早いよ。そして拓海張り切り過ぎだ! 持って来なくていいと印がついてたけど念の為と持って来ててよかった。バスタオル。このままだとさすがに恥ずかしいよ。水着は下はスカート風になっていてレースが上からもう一枚あるんだけど、上は完全にビキニ状態。下の可愛さにつられて買ったけど恥ずかしい。このまま廊下に出て行くなんて。用意しておいた荷物を持ってバスタオルを肩にかける。これで気恥ずかしさはなくなったドアを開けられる前に部屋から出ないと。ドアを開けて廊下に出る。


 ガチャ


 そこには海パンに参考書や筆箱と着替えが入ってるだろう袋を持った拓海がいた。何がしたいんだか笑ける。そうしないと、思ってた以上に体がしまってる拓海の体を見てしまうから。はあ、恥ずかしい。


「遅っ!」

「浴衣シワになったら嫌だから出してたの。というか慌てすぎだよ! まだまだ時間はあるのに」

 だいたい男と女で着替えるの早さも考慮してよ!






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