works/4852201425154968648

『やさぐれリリーの屈折した日常』

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154968648/episodes/4852201425154976142


 ううん。明るく賢く、些か間の欠点はあれども茶目っ気で補えてしまう、ひたすら可愛らしい社会人女性だ。それが未来のビジョンとして、プロローグの冒頭で殺害されている。なんてことだ。

 私は通常、感想文や批評文に於いては徹底して内容への言及を避けるのだけれど、事前の言及がマイナスにならず、むしろ利になる場合にはその限りでない。

 必要十分な会話や描写に於いてその魅力を嫌味なく振り撒く人物が、先手を打って殺されておくことでその信頼度まで高めているのだ。読者は少なくとも、彼女が本当に殺されてしまうまでは物語を追わなければと感じるし、出来ることなら黒幕として甦ってでも、殺されずに済んで欲しいと願ってしまう。

 端的に言って素晴らしいプロローグ。

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