works/1177354054880219904

『誘拐パラドクス』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880219904/episodes/1177354054880221129


 時限爆弾だ。

 時限爆弾の出てくる物語で、のんべんだらりとした日常パートをやれるとしたら、それは爆殺の瞬間の走馬灯くらいの物だろう。だから、事件の発端から事件の公表までの間だって、テンポ良く進んでいかなければならない。

 被害者はきちんと襲われるし、犯人は急いで逃げ出すし、時間のかかる準備や拘束は描写してはならない。ならないってことはないけど、あまりされない。時限爆弾モノの良いところは、圧縮によるその密度。


 逆に悪いところは、影響を与える範囲に対する稼働部分の狭さ。雪山の山荘で収まる程度の動きを、日本各地の関係者と警察機関と全国メディアでやらなきゃならないってのは、どうしたってそぐわない。

 それを打ち破り、稼働部を拡げるための試みとして、オカルトを使うってのは面白いなあ。

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