第12話 勝手にしないで

 ㅤ高校入学の日の朝、勝手に送られてきた手紙。誰だか知らない、顔も名前もわからない。そんな手紙が二通三通と重なり、まだ一年も経たない冬。


 ㅤ今度は勝手に手紙を送るのをやめるという。別に、そんなの相手の勝手だ。ワタシにはどうでもいい。はずなのに。はずなのに。ワタシの目も、勝手に泣いている。手紙を右手に、白いシーツへ寝そべりながら、左腕で両目を真っ直ぐ覆う。


 ㅤなんで? ㅤどうして? ㅤそんな想いが頭を巡る。


 ㅤ手紙が届かなくなるってどういうことだろう。ワタシがわかる人って誰だろう。影響がない?ㅤ そんなことない。遠くだから見える?ㅤそれはそうかもしれないけど。


 ㅤ涙を止めて、カーテンを開けた。この夜空のどこかに、キミがいるの?ㅤ綺麗な冬の夜空に。

 ㅤ答えは辺り一面、暗闇に包まれてる。キラキラがどれだけあっても足りないほど。


 ㅤ気づいたら、眠りについていた。朝になっていた。ワタシはどうしたらいいかわからないまま、まるで宇宙で自由が利かなくなったように、漂うまま学校へ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る