Epilogue…

 その後、ヒトラーとエヴァの遺体はナチ党幹部の生き残りや、SS(親衛隊)の手により、ガソリンをかけられ、燃やされた。これは、彼の遺体を敵に奪われたくないからではなく、発見を遅らせ、少しでも自身らの逃げる時間を稼ぐ為である。

 一方、SSの拘束を解かれたゲーリングは、米軍の捕虜となった。そして戦後、1945年から開かれたニュルンベルク裁判において、ヒトラーとナチ党を弁護。最後までその姿勢を貫き、死刑判決を受け、その後、服毒自殺をした。

 元突撃隊のビックスは、私、ヴォルフ・ブラウンと行動を共にし、イギリスの新聞社に入社。私がこの物語をかきあげる事に、大いに力を貸してくれた。亡き、我が総統、ヒトラーの意思を全うするために。


                     ーーーヴォルフ・ブラウン




「ヴォルフ様。ついに入手しました」

「ビックス……ありがとう」


 ビックスから箱を受け取ると、ヴォルフはすぐさま箱を開け、中身を確認する。


「ビックス……本当にありがとう」


 ヴォルフは、箱の中に納められていた、ヒトラーの遺骨へ涙をおとし、その場に崩れ落ちる。ビックスもまた、立ちつくし、こらえきれない涙が頬を伝うのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る