Ep.3 ヒトラー

 翌日。ニュンベルクへ向かう途中のホテル。

車へ乗り込むヒトラー。車の中には、ヒトラーの友人ハインリヒ・ホフマンがすでに乗り込んでいる。


「アドルフ、どうしたんだね?今日はなんだかそわそわしているようだが」

「ホフマン。すまないね、気になる事があるんだ」

「ゲリの事かな?」

「……そうだな。ああ、そうだ」


 そのとき、ホテルのボーイがヒトラーを呼び止める。


「ヒトラーさん、ヒューラ・ヒトラー、お待ちください」

「ふふ、きたか」

「なんだねアドルフ、心当たりがあるのかい?」

「いや……。ボーイ、なんの用だね?」

「ヒューラー、お電話でございます」

「どこから?」

「ミュンヘンでございます」

「やや、ゲリかな、アドルフ」

「そうかもしれないな。少し待っていてくれたまへ、ホフマン」

「ああ。ごゆっくり」


 ヒトラーは、車を後にし、ロビーの電話機へと進む。


「ふふ……ふふふ………」


 時々、笑みをこぼしながら……。

 数分後。


「大変だ、ホフマン」

「どうしたんだね、アドルフ」

「ゲリが、ゲリが死んだそうだ」

「なに?」

「すぐに事実を確かめたい。ミュンヘンへ引き返そう」

「そうだな。大丈夫かい?アドルフ」

「ああ……大丈夫さ」


 急ぎ戻る車内。車窓から街並みを眺めるアドルフ・ヒトラー。

 彼の顔に浮かぶ不適な笑みは何を意味するのであろうか……。

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