恐怖

小学校の時に学校の授業の一環で、近所にある障がい者施設に行ったことがあった。


そこでは成人を超えた大人の障がい者の方達が大勢いた。


あちこちであがる奇声。


施設に響き渡る大声。


地面に突っ伏しって泣く姿。


恐かった、、、、


障がいを持つ子供を見る機会はあったが、自分よりも大きい大人の障がい者を見る機会はあまり無かった。


周りの友達も恐がっていた。


一人の障がい者の方が、近くの友達の元に凄い勢いで走ってきた。


慌てて施設の職員が彼を取り押さえていた。


『僕の弟も大きくなるとあんな風に、、、』


そう思うとなんだか恐かった。


学校に帰ると感想文を書かされた。


皆んな「かわいそう」とか「驚いた」とかそんな内容ばかりを書いていたと思う。


それが子供の素直な感想だろう。


学校の教育として障がい者のことを学ぶことは必要なのかもしれないが、このやり方は正解なのだろうか。


まだ物事を理解する力が低い子供達を、いきなりあそこに連れて行って「差別はやめよう」と言ってもあまり意味がないように思う。


なら、何故いきなりあんな企画をしたのか。


障がい者がどんな人か理解するため?


施設で働く人を見せて職業見学のつもり?


少なくとも小学生には恐怖しか感じられなかっただろう。


障がい者教育は大事だけど、順序というものがあると思う。


まるでお化け屋敷に入ったみたいに驚き、怖がりながらも、どこかワクワクしながら施設を見て周る子供達の姿を思い出して、大人になった今、障がい者教育の難しさを改めて実感している。




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「障害者」ではなく「障がい者」 村川鯨 @kumo-ito

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