答え合わせ

高校生の時に弟の支援学校のイベントに参加したことがあった。


皆んなで一緒にプールに入って水遊びをするというものだった。


そこでは弟の友人達が愉快そうに皆んなで遊んでいた。


『弟はこの子達といつも一緒に過ごしているのか』


僕はそう思いながら弟の友人達を静かに眺めていた。


本当に個性豊かな面々だった。


弟みたいに一見普通に見える子、大声で騒いでいる子、ボーッとしていて動かない子。


一口に障がい者と言っても、まさに十人十色。


そんな彼らを見て感じたことは、どこまでも純粋無垢だということだ。


理性に縛られることなく、感情のままに生きている。


周りの人達はそこに苦労するのだろうが、彼らを見て『かわいそう』とは思わなかった。


不謹慎かもしれないが、少し羨ましいとさえ思った。


一日中彼らと遊んで帰路につく途中


『弟を支援学校に入れてよかった』


そう感じた。


人と会話ができない弟に普通の子と友達になるのは難しい。


でも、ここなら大丈夫。


友達と遊んでいる弟の姿と、遊び疲れて寝ている弟の顔を見て、


初めて僕たち家族の選択は間違いではなかったという答え合わせができたような気がした。


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