第12話 歌の中にいつもいる

 1人旅をしたのはいつぶりだろう。…いや、初めてかもしれない。と翔也は思った。あちこちに旅はする。ライブツアーでメンバーと。バンに機材を積んでのいわゆる貧乏ツアーだ。これは、初めての一人旅だ。初めてのおつかいかよ…と翔也は心の中で苦笑した。


 新幹線を降り、在来線を乗り継ぎ、どんどん秘境に向かっている気がする。

 どうして香夜の叔母さんは、実家から遠く離れたそんな辺境の地に住んでいるんだろう。そんな事を思いながら香夜が恋しかった。

 単線の電車を降り、踏み出した足の下でじゃり…と音がする。砂利道…まだあるんだな、こんな道。

 スマホを取り出し、マップに住所を入力したけれど、表示された地図はひたすら空白の地。何の目印もない場所にポツンとタグ付けられている。

 う…ん。これは、なかなか…の冒険旅行だ…翔也は気合いを入れ直した。

 駅前に、タクシーなんて居ない。バス案内所が有るのが救いか…?

「すみません、この住所の家と市民病院に行きたいんですけど」

 プレハブの小さな小屋に顔を出して、退屈そうに座っているおばさんに声をかけると、目を丸くした後、珍しそうにジロジロ見て一応愛想笑いを浮かべた。

「右のバス停から出るのが市病院行きですけど、この時間は本数少ないから…次は40分後かしらね。その家はその途中のバス停ですよ。西川原前って停留所」

 マジか。40分…この何も無い寂れた駅前で…と言う心の声を読んだのか、

「前の道を50メートルくらい歩くと、左に石段があって、上がると、小さな滝があって、パワースポットとして人気ですよ」

 と教えてくれた。

 パワーを求めて居るように見えるか?俺。と翔也が憮然とすると、

「以前、同じ住所を訪ねてみえた女性は、行って楽しまれたみたいですよ」

 そう言って、下手なウインクをした。

 それって…と目を見張る。香夜…だよな…そう思った瞬間

「行ってみます」

 翔也はそう言っていた。


 お礼を言って、バスの時間を確認し歩き出す。50メートルくらいの道が既に結構な上り坂だ。コレは…靴が痛むな…

 左の石段はすぐ分かった。草木の壁が急に開かれ、幅1メートルもないような土を整えただけのような階段が現れた。傾斜も低い。体力には自信がある。余裕!と、いつか香夜が踏み込んだ秘境へと踏み込んだ。

「香夜も通った道だ!」

 歩き出して50メートルくらいで、翔也は何度もその言葉を呪文のように唱えていた。

 自分の体力を過信していた事を痛感した。

 そうだよ。確かに学生時代は体力に自信があった。…が何年前だ?

 兎に角!不健康極まりないバンドマンに体力があるとか笑わせる。

 運動なんて、ここの所詰め込んでいた引越し屋のバイトくらいだ。それが運動にカウントされるなら…

 だけど、ここを香夜も通ったんだ。そう思うと頑張れる気がした。

 初めて来た時の香夜の緊張と期待を思った。きっと、いつだってoZの曲と一緒だったはずだ。

 ここでは何をBGMにしていたかな…そう思うと翔也の心は和んだ。


 ♪倒れるまで走り続けろ♪倒れたら立ち上がれ♪それ以外何が出来る?何がしたい?お前を運ぶ誰かなんていない♪自分の足で大地踏みしめろ♪


 KEEP RUNNING のサビを繰り返し口ずさむ。

 案山子の声は抜群だと思って居る。そこに合わせて生まれる不調和音が結構気に入って居る。それは多分、香夜が気に入ってくれたからだ。

「案山子君の歌があってこそだけど、翔也のパート良いよね!案山子君の声を押し広げている感じ。で、控えめかというとそうじゃなくて、まとわり付きながら孤立して突き抜ける感じ。心に響いてくる」

 初めて聞いた時、香夜がそう言ってくれたから、翔也もこの歌がお気に入りになった。サブボーカルとしてどんどん歌うようになったのもこの曲からだ。

 香夜がくれる感想は、何というか、的を外しているような射ているような。何とも不思議な感想だったりする。抽象的でいてズバリと的確だったりする。


 躓いたんだ 何もないところで

 足を掴まれ 動けなくなったんだ

 誰かが足を引っ張ってる?何かが足を引っ張ってる?

 いつか見たホラー映画のように

 何かが恐怖に突き落とす

 やめとけ 俺はこんな所で倒れたりしない

 底のない絶望の地面に埋まったりしてる暇はない

 やめとけ 俺を止めようなんて馬鹿な考え

 前が見えない恐怖に倒れてる暇はない

 倒れるまで走り続けろ 倒れたら立ち上がれ それ以外何が出来る?何がしたい?

 お前を運ぶ誰かなんていない 自分の足で大地踏みしめろ

 闇なんて自分で吹き飛ばすんだ


 香夜と何度歌ったかな。香夜は何度笑ってくれたかな。

 息は辛いし、足は上がらなくなって来たけど、そう考えたら翔也は頑張れたし、笑みが浮かんで来た。


 いつからかサラサラと水の音が聞こえ始め、それが次第に濁音を含んだ力強さを増して行く。涼やかな風が吹き下ろして来る。

 ハッとして顔を上げると、木々の間からキラキラと舞う水しぶきとともに、音の元である滝の水の流れが視界に飛び込んで来た。


「よっしゃ!」

 やったぞ香夜!そう叫び出したい気持ちを抑え、残りの階段をラストスパートで登り切る。

「パワーチャージ!」

 滝のそばで両手を広げて瑞々しい空気を吸い込む。確かに気持ちが良い。

 ベンチがあるだけの場所だけど、きっと香夜も気に入っただろうな…そう思うと更に気分が良かった。


 翔也が駅前に戻ると、

「あら…」

 とさっきのバス案内所のおばさんに言われた。

「間に合いましたね」

 そう言って含み笑いをした。

「はぁ」

 翔也は意味が分からなかったが、何となく、嫌な感じはしなかった。


 バスは時間通りに現れ、数人の乗客の中に翔也を加えて走り出した。

 何人かの乗客が、ジロジロと見ている。

 そんなに奇抜な格好をしているつもりはないが…

 全身黒尽くめだからか?髑髏柄が珍しいか?今日は髪もそんなに立っていないし、柳みたいなロン毛じゃないし、普通だろ?と思い周囲を見渡したが、さっと目をそらされた。まぁ、慣れているけど。

 だけど、どこにでも好奇心の方が勝つ輩はいる。

「お兄さん、どこに行くの?見ない顔だけど、どこから来たの」

 そうおばさんに声をかけられた。

「あ〜市民病院っすかね…東京から来ましたけど…」

 翔也は人懐っこい性格では無い。むしろ、どちらかというと苦手だ。グイグイ来られるのも。ファンの間ではクールだと思われている。香夜の前の翔也を知っている連中には鼻で笑われるけど。なので、その後の

「東京…」「やっぱり…」「へぇ…」と言った遠巻きの注目は居心地が悪かった。

「しかし、病院に行くのにその骸骨はどうかねぇ」

 おばさんは遠慮なく翔也の肩を叩いて

「大嫌いな人でも死ぬのかい?」

 そう言って豪快に笑った。

「あ…マズいっすか?」

 考えてもみなかった。自分の着ているTシャツを見下ろすと、不敵に笑っている髑髏がいた。確かに不謹慎かもしれない…手持ちの中では控え目な柄の方なんだけど…

「俺、こういうのしか持ってなくて…」

 翔也が素直に言うと、周囲から笑いが漏れた。でもそれは嘲笑ではなく、翔也のそんな受け答えにほっとしたような暖かい笑いだった。

 そして

「こんな田舎じゃ、お兄さんに似合いそうな服売ってないしねぇ。ウチの息子の服で良かったら貸すわよ。病院のすぐ側だから寄って行って」

 そんなとんでもない申し入れをされた。

「ケンちゃんはオシャレさんだもんね。きっとお兄さんにも似合うわよ」

 周囲の乗客は驚くこともなく、そんなことを言うので、翔也は面食らった。

「は?や、でもそれは…だって、息子さんが嫌がるかも…」

「あぁ、あの子は市の方に出て行って家にはいないから、気にしなくて良いのよ。たま〜に帰って来る時用に置いて行ったんだから」

 それにしたって…と言う翔也の声は拾って貰えなかった。

「どこの子も一緒よ〜皆都会に出て行っちゃって…」

 と周囲で話が盛り上がったのだ。

「あの…」

 別の方から声を掛けられたと思ったら、学ラン姿の中学生?が控え目に翔也

 に寄って来て

「お兄さん、もしかしてバンドとか…ですか?」

「え。あ、はぁ。」

 中学生以上に翔也は緊張して妙な返事を返した。

「あ。やっぱり…雑誌で見たバンドの人たちと同じようなファッションだから」

 なぁ。と言うように頷きあう3人の少年たち。

「俺たち、軽音部で…バンドやっていて、東京でちゃんとバンドやっている大人の人って初めてで…」

 そりゃ、そうだよな。ちゃんとした大人はバンドなんかやってないもんな…と思いながら、その初々しさがなんだか嬉しかった。

「あの、お兄さんは、何を…」

「ギター」

 おおぅ〜と声が上がる。格好良い〜と声変わりが終わったばかりの少年に言われてもな…と思いながらも翔也は嬉しかった。

 バンドで食べていける人間なんか僅かで、続けていけるバンドも全体数からしたら多くはない。だけど、バンドを組む若者はいなくなりはしない。次々出て来る。そして消えて行く。だけど、何も生まれないわけでも、残さないわけでも無い。夢を見て、歌わずにいられない思いがあって、仲間とバンドという時間を共有する。いつか終わってしまうその時間は、絶対に無じゃない。翔也はそう思っている。頬が緩んだ。

「頑張れよ」

 自然とそんな言葉が出ていた。中学生たちの顔が綻び、なんだか彼らに夢を与えたスターになったような錯覚に陥った。

「はい!」

「ありがとうございます!」

「失礼します!」

 そう言って少年たちはバスを降りて行った。

 翔也を見る周囲の好奇の目はいつの間にか消えて、バスの中の一部として溶け込んだような安心感を感じていた。

 細い民家の中を抜ける道の途中で、西川原前と言う停留所の文字が飛び込んで来た。

 ここが、香夜の叔母さんの家のバス停…と心に刻みつける。

 後で何があるか分からない。何もないと良いけど…せめて香夜が来るまで…と思った。

「次は終点市民病院前…」

 とアナウンスがある前に

「ほら、着くわよ」

 とさっきのおばさんに急かされた。

 そう多くない荷物を肩に担ぎ直しておばさんに続く。逆らえる気がしなかったので、素直に従うことにした。郷に入っては郷に従えだな…と心の中で自分を慰めた。

 おばさんに着いて歩きながら、右手先に件の市民病院らしい建物を確認した。本当はすぐにでも行きたい翔也だが。流石に他人に指摘されるくらい場違いか…と自分のTシャツを呪った。髑髏だから呪われるのはこっちか?と余計なことを考えながら、病院を背に10メートル程歩いた。

「適当に持ってくるから、座って」

 と、家の鍵をガチャガチャ開けながら、意外に洒落た庭のヨーロッパ風のベンチを指差した。

 別に立っていても良かったが、翔也は大人しく従った。郷に入っては郷に従え…をさっきから心の中で繰り返し唱えている。

「サイズは合うと思うのよね〜どっちの色が良いかしらねぇ」

 そんなことを言いながら、ドタドタ音を立てて階段を駆け下りてくる。頼むから落ち着いて!落ちたらどうする…とハラハラしたが、いつものことなのか、慣れたもので両手に洋服を数枚抱えて現れた。

「お兄さん色が白いから。これなんかどう?」

 ラベンダー色…

「そっちので…」

 遠慮している場合じゃない…と、急いで指定した。白地にシルバーラメで文字が書いてあるが、妙な色付きの服を着せられるよりマシだ。

「そう?」

 おばさんが物足りなそうに両手に抱えた服を見比べていたが、さっと手に取ると、引っ掻いてできたような穴が髑髏の模様になっている、お気に入りの黒いシャツの上に重ねて着た。

「ありがとうございます。後で返しに来ます。洗濯して…」

「そのままで良いわよぉ。病院のランドリーは病人に使わせてあげて」

 そう言って豪快に笑った。

 確かに…と翔也も納得した。

「甘えさせて貰います」

 翔也が頭をひょこりと下げると、おばさんは良いから良いから…と手を振り、翔也を追い立てた。

 そうだ。病院に行くんだ…気を引き締めて、見知らぬおばさんの家を後にした。


「千客万来ねぇ」

 ヘルパーの川崎さんはそう言って翔也を眺めた。

「香夜ちゃんが現れるまで、誰一人お見舞いなんていなかったのよ?それがねぇ、立て続けに若い良い男が二人もお見舞いに来るなんて、泉さんラッキーだわ〜」

 その一人目の良い男って、崎田か…と思うと面白くなかったが、極力顔に出さないように気をつけた。

「連絡ありがとうございました。今香夜は家に居なくって、俺が変わりですみません」

「それは知っていたんだけどね、泉さん自身が帰郷させたんだもの。他に連絡先知らなくて、家にかけてみたのよ。ごめんなさいね〜来て貰っちゃって」

 いやいや…と首を振りながら

「で、様子は…?」

 と聞くと、 病室を顎で指し、

「まだ薬で眠っているのよ。ちょっと酷い発作だったから…今は落ち着いているけど」

「そうですか…」

 とりあえずホッとした。今すぐどうと言うことにはならなそうだ。

「向こうに自販機とかあるから、ちょっとそっちで休んだら?着いたばかりでしょ?」

「あ。はぁ…もう一度、香夜に連絡入れてみます」

 そう言って 病室を離れた。居心地は勿論良くない。

 知らない場所。知らない病人に知らないヘルパーさん。

 だけど、俺は香夜の代理だ…逃げる訳にはいかない。香夜から聞いている叔母さん像はちょっと面倒そうだけど…人付き合いが下手な俺に荷が重すぎるよな…と愚痴りそうな気持ちを抑えて外に出てスマホを取り出した。


「何?ストーカーな訳?」

 第一声がソレか…本気で殴りたい…と思いながら盛大にため息をついて応戦した。

「人の携帯を勝手に使うとか、悪質なヤツだな」

 その返しは鼻で笑われた。

「俺と香夜の仲だから」

 と、人を怒らせる才能だけは認める…と思うような嫌味な言い方を受け、

「香夜を出さないと、後悔するぞ」

 そう脅してみた。

「へぇ〜誰が?」

「香夜が」

 電話の向こうのニヤニヤ顔が一瞬で固まるのが、手に取るように分かった。

「香夜は大事な時だって言ったよな」

 小太郎の口調が不機嫌そうに変わる。

「こっちの台詞だ」

 残念ながら、香夜の為に信頼できる相手がいるとしたら、こいつだと言うことも翔也は認めている。勿論口には出さないが。

「一段落ついたら連絡を入れるように伝えてはみてやる」

 恩着せがましい口調は気に入らないが、それが最善だろう。

「忘れるなよ」

 翔也は念を押して電話を切った。


 病室の前で川崎さんが手招きをしていた。翔也が近付くと

「目、覚ましたのよ。会ってあげて」

 そう言った。素直に従いながら、今更ながら俺って場違いじゃね?と思い始める。怖い…というイメージから逃げの気持ちが出たのかもしれない。

 いやいやいや。違うだろ。と思い直す。

 大事な香夜の叔母さんだ。俺が行くんだ!と自分に言い聞かせた。


 歩き続けろ ここまで来たんだ 何も恐れるな お前の後ろにはいつもマイクを持った俺がいる♪


 頭の中には「後ろの正面の案山子」が繰り返している。頼むぜ案山子…と心の中で拝む。あいつをこんなに頼もしく感じたこと今まであったかな…と思うと、ちょっと落ち着いた。


「へぇ。あんたが私の遺産を必要としている、あの子の大事な仲間ってやつ」

 開口一番に清子はそう言った。冷ややかな目と声で。

 死の淵から舞い戻って来たばかりで、この威圧感。かなりのラスボス…と翔也は心の中で思った。

「確かに、香夜に結構頼ってますけど、遺産は狙ってないです。俺たちで乗り越えられます」

 翔也は言葉に棘が出ないように気をつけながら話したが、会って数分で、既に何度も中指を突き立てたい衝動と戦っていた。

「あの子は当てにしていないってこと?」

 邪悪な笑顔だな…という思いを横に置いて

「俺たち…って、香夜も入ってます。あいつは仲間です」

 翔也はそこは譲れない…と訴えた。

 ふうん…?と清子は鼻で笑った。

「で、何しに来たの。忙しいんでしょ」

「香夜は今缶詰状態で執筆中で。連絡付けられないんで、代わりに俺が来ました。忙しいのはそりゃあ、そうですけど、香夜の代わりは俺がしないと…」

 翔也は口が上手いわけじゃない。礼儀正しくもない。小太郎に比べれば何とも不器用に見えた。

 だけど、姉二人と妹一人に挟まれて育った事によって女を扱うツボが身に付いていた。本人も気づいていない。

 話しながら体を起こした清子に、側にあったガウンを自然な動作で羽織らせた。

 あまりに自然で、清子もされるがままに受け入れた。そしてハッとしたけれど、騒ぎ立てるタイミングを逸していた。

 恩着せがましくも、馴れ馴れしくもない。苦手と感じる暇もなかった。

「ずいぶん離れているみたいだけど?連絡もつかないくせに?」

「俺は一緒にいなくても、俺たちの歌はいつも香夜の中にいるんだ。歌の中の俺たちがいつも香夜と一緒に居る。俺の代わりに香夜を守ってる。だから香夜は絶対負けない」

 翔也は嫌味にへこたれない。もっと酷い偏見と戦ってる。

 …が、以前上の姉ちゃんの命令で買いに走った、上級者の手土産として人気の洋菓子屋さんで買った菓子折りの1つを川崎さんに渡した後、

「すみません、お見舞い…お菓子とかしか持って来てなくて、食べられないですよね…看護師さんたちに渡した方がいいですかね?」

 凹んだ顔でそう言った。清子がバンドマンと聞いてイメージしていた像とかけ離れて思えた。

「好きにしなさい」

 そう言われた翔也はホッとした顔をして、

「気が利かなくてすみません。食べられるようになったら、好きなもん持って来ます」

 そう笑顔で言うと、ちょこっと不器用に頭を下げて、お菓子を持って出て行った。小さく歌を口ずさみながら。

 清子はハッと顔をあげた。聞き覚えがあった。香夜が、ここにいる時に時々口ずさんでいた歌だった。夢中で執筆している時とかに、とても楽しそうに歌が漏れ出ていた。その姿がとても幸せそうで、なんとも言えない気持ちで見つめていたのだ。


「歌の中で一緒に居る…ね…」

 香夜は私に似ず、男運だけは良いみたいね…清子はそう思ったが、それは妬みとか、嫌味とかではなかった。ただ単に、嬉しかったのだ。

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