第34話 確かな変化でわかるばか
34...
たぶん微妙にサイズ合わなかったりするんだろうなあと思いながら、コウから紙袋を受け取る。
ちょっと鼻の下が伸びているから、夜にでもあたしが着る妄想をしているに違いない。まあしてやったりですし、そういうイベントがあってもいいよね、とも思うし。
なのでせっかくだし、とコウの下着を探してみたんだけど……残念。
「普通のしかないね」
「いや、他になにが?」
「象さんとか?」
「……見たいのか?」
「ちょっと面白いかなって」
本気でやられたり隠しネタでやられたら引くけど。
最初からお遊びで買って着てもらうのは面白そう。
「んー……」
いいのないなあ。強いて言えば普通のしかない。
だからよく履いているトランクスタイプのじゃなくて……そうだな。
「これかな」
「ボクサーブリーフ……なんで?」
「なんとなく?」
「白ブリーフじゃないから全然いいけど」
ツボがわかんねえと首を捻りながらコウがレジに向かっていく。
まあ……ちょっと言いにくいんだけどさ。
これまでしたとき、たまに履いたまましようとするの。
今日選んだのなら脱がなきゃってなるだろう。
……着替える前にしちゃったら元も子もないけどね。
あとは……柄がね。
コウは適当に選んでるみたいで、へんてこなのが多い。
その分、無地なら問題ないかなって思うわけです。
◆
テイくんたちと合流して、晩ご飯はどうしようってなって。
自然な流れでテイくんのおうちでいただくことになりまして。
たぶん今日までは遠ざけていたであろうテイくんのお許しが出たせいか、ユウちゃんは甘えまくりのベタベタです。
腰に乗っかってご飯を食べると言い出したユウちゃんに、テイくんは押されるばかり。押しの強い人に弱いんだね。絶対尻に敷かれるよ。
あんまりお邪魔しちゃなんだから、普通にご飯を食べてお別れして……ホテルへ移動した。
「あんまり色々食えなかったな」
「でもまあ、満足かも」
テイくんのお父さんが気を利かせて名物を色々作ってくれたから。
あたし的には大満足……なので、むしろしたいことは別にありまして。
「……よいしょ」
ベッドに仰向けになっているコウの腰の上にぺたんと座る。
「ど、どした?」
「……ぎゅってしてほしいなあ、と」
「あの二人に刺激された?」
身体を起こしながら笑って、それから背中に腕を回して抱き締めてもらう。
「わりい。足、ちょっといたいかも」
「ど、どうすればいい?」
「腰に回してみない?」
う。
恥ずかしいやつだ。
でも……コウが痛いならしょうがない。
足を一度開いて、コウの腰に回す。
必然的に向かい合って繋がっているような体勢。
自然とコウの両手がお尻に降りていく。
「あのう……ちょっと」
スカートの布地越しに撫でられても困る。
「もしもし?」
「や、こういう体勢なかなかないなあって……新鮮?」
「それとお尻になんの関係が」
「でも千愛(ちあ)の顔、ちょっとどきどきしてる」
「う、うるさい……ってこら」
下着をくいっと避けて……触らないで。
「ま、まだ着替えてないし。お風呂もまだだし」
「今したい」
「そ、んな……んっ」
慣れた手つき……遠慮のなさ。
鼻や耳元、ほっぺた……唇。
興奮した時ほどたくさんキスしてくる。
それは……嫌いじゃない。嫌いじゃないから……困る。
困らされて、流されて。
結局、いつもみたいに迎え入れちゃう。
「ばかあ」
コウをなじるような声は、自分とは思えないほどあまったるくて。
けど……自分をなじっている気もする。
わかんない。わかんないから――……
「ぎゅって、して」
強く。どこまでも、強く。
何度もおねだりするだけで、時間はあっという間に過ぎちゃう。
「千愛……ちあ……」
「おく……もっと……」
何を言っているんだろう。何を求めているんだろう。
夢中になって、お互いの熱を重ねる。
それもきっと……恥ずかしい話、いつものことになってきたのだろうと。
旅に出てするたびに思うようになった。
あの頃よりも気持ちいいのが、全部いけないんだと思っておこう。
ほんと、あたしってばか。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます