Going ago/Coming ago 07

年末の宴、といっても盛大なものではない。


冬越しのために少ない食料を捻り出すのだ。

出される食事は残念ながら大した量はない。

高級品を用いた雑煮などが出されるため、高価な食事ではある。

現代と比較すれば雲泥の差があるものの。


「こんなもの食ったことねぇだ」

まあいいか。食事は楽しく。


この場で行われるのは和気藹々とした団欒ではない。

周辺の有力者を集める理由はそれだけではない。


今年起きた問題の共有。

次年度に向けての取り決め。

有事等非常事態に関わる対応の検討。


いわゆる政治劇の場であった。

自らの娘を端に追いやるのは男尊女卑な世の中では仕方のないことなのか。

参加しているだけでも凄いことなのか。


まあ、主がそれを示さないのならば臣下が示すわけにもいくまい。


あ、酒はうまい。

この時代では安全な水分であるが、いかんせんこの体では楽しめそうもない。

13歳か。

31と入れ替えて示した年だがそれもギリギリ。

体格の良くない時代だからこそここまで誤魔化せた。

現代では10にも満たぬ体だろう。

感覚が研がれた感覚はある。

しかしズレが大きすぎて動きに無駄が多い。


難儀なものだ。

せめて17程ならあまり積もっていない山の獣道など通る必要もなく。

堂々と雪の中を行軍できただろうに。


赤子でないだけましなのかもしれんが。

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