国際宇宙人会議 ②

 いよいよ、アメリカ中の公園に【 宇宙人の銅像 】を設置する運びとなった。

 ロズウェルの同胞たちの中で、主に技術面を担当しているジャパンのDr.ヤマダはロズウェルの宇宙人テクノロジーを駆使して〔物質変換機〕というものを開発した。

 これを簡単に説明すれば、ある物質Aを使って、他の物質Bに変換する装置なのだ。まあ、ドラえもんの道具にありそうだが……これぞ、まさに宇宙人のテクノロジーなのだ。(ここは突っ込まない!)

 その装置を使って公園の中にある噴水を【 宇宙人の銅像 】に変換する。

 よって、噴水 ⇒ 銅像 に変わるのです。

 ステルスUFOに乗って、アメリカの上空を飛行しながら、公園の噴水を見つけると、かたっぱしから〔物質変換機〕のビームを発射するのだ。


『これも我々宇宙人のため、誇りある任務だ!』


 Dr.ヤマダは黙々と任務を遂行していった。

 ボブも同乗する予定だったが、体重が重過ぎてUFOが傾くからと、代わりにコリアのキムが同乗することになった。

 自分の意見が通ったので(ゴリ押し)キムは得意満面でUFOに乗りこんできた。トンスル酒とキムチでひとりで盛り上がって、銅像ができる度に「マンセー! マンセー!!」と歓声を上げてはしゃいでいた。

 自分はなにもしないでいい気なもんだ、しかもUFOの中がキムチ臭くてかなわん……と内心、Dr.ヤマダはそう思っていたが、怒らせてファビョられると厄介なので黙っていた。

 今回設置される宇宙人像のデザインについては、ロズウェルの同胞たちから、ジャパンのDr.ヤマダに一任されていた――。


 いつものように特大ピザを食べながら、ボブがテレビでベースボールを観ていたら、ナンシーが部屋に駆け込んできた。

「ボブ! 全米中が大騒ぎになってるわよ!!」

 テレビのチャンネルを勝手に変えられた。そしてテレビの画面に大きく映し出されたものは……!?

 ウルトラマンの銅像だった!!

 全米の公園のあっちこっちにウルトラマンの銅像が建っている。子どもたちは大喜び、地球人の家族たちが銅像のそばで記念写真を撮っている。


〔犯人は不明ですが、一夜にして全米中の公園に日本のヒーローの銅像が建ちました。これは子供たちにとって嬉しいプレゼントです〕

 マイクを片手に楽しそうに、実況するアナウンサーの姿がそこにあった。


「ナンシー……よ、俺たちは祖先の宇宙人の顔を知らないが、本当に、こいつでいいのか?」

「みんな喜んでるみたいだし、フレンドリーな宇宙人ってことで高感度UPよ!」

 自分たちが建てた銅像が全米中の注目を浴びる、そのことがナンシーにとっては嬉しいようなのだ。


《――これが、果たして宇宙人による、“銅像テロ”だったということに地球人が気づいてくれたか、どうか、かなり疑問なんだが……》


 ウルトラマンの銅像で〔完全否定〕された宇宙人の存在を再確認して貰えただろうか? Dr.ヤマダに一任したことを、ちょっぴり後悔していたボブだったが……。


 さて、気を取り直して、ピザでも食べようとしたら……いつの間にか、ナンシーに食べられて、ひと切れも残っていなかった。

「Oh my God!!」

 憤怒ふんどにボブの腕がプルップルッと激しく震えた――。




   ※ キムが銅像の下に、〔 ウルトラマンの起源は我々宇宙人〕

     意味不明の張り紙を貼っていったことを追記して置こう。



                  ― おしまい ―

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くうそう脳 泡沫恋歌 @utakatarennka

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