無駄話

 暖かな春の光が差し込んでくるベランダでの出来事。東京都墨田区のアパートの三階。一人の主婦が布団を干していた。空を見ると青空が一面に広がっている。一枚ずつたたいてしわを伸ばしている。

 「隊長、目標発見しました。」

情報によると、とんでもないくしゃみパワーの持ち主だそうだ。私は未来から来た防衛隊。未来では、日本はおろか、地球ごと消滅し、人口は急激に減り、残った人火星へと移住をした。未来を守るために来たのがこの私である。本日のミッションは、主婦の確保。といっても、この主婦は、普通に布団を干しているようにしか見えない。こんなときに確保しても、不審に思われる。もう少し様子を見てからにしよう。今私は、アパートから30メートルくらい離れた上空にいる。なぜ空に入れるかくらい分かるだろう。あえて、説明はしない。だが、聞きたそうにしているので言う。今、私の背中には、ロケット型ネオジム磁石がついていて、周辺の電波塔からエネルギーをもらい、そのパワーを利用して……。「しまった。無駄話しているうちに、目標がくしゃみを…。」

「危ない!」

次の瞬間、爆風とともに布団が消えていった。

「ふ、ふとんが、ふっとんだ。」

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