裁判

「いや、やっぱりそれは人それぞれだからな。うーん。どうなんだろ。」

「私は良いと思いますけどね。この法律。」

ここは、小阪府議会。今この場で議論が行われている。

「でも、適用されない年もあるんだろ。」

鼻を垂らしながらの発言。なんともだらしない。

「異議あり!そんなことを言ってばかりでしたら、議論の必要がなくなってします。ぜひ、採決すべきです。」

若女の言葉には不安もあった。もし、これで否決になったら、二度と可決されることはないと言っても過言ではないからだ。

「静粛にしてください。それでは、採決します。」

「2009年のバレンタインは、土曜日でチョコレートを貰えないということを悲しまなければいけない、という法案に賛成の人は挙手願います。」

しばらくの沈黙。その後、ちらほらと手が挙がる。

「過半数の挙手により、可決とします。」

実に2008年4月から2014年3月の六年間の長い議論であった。

「これにて、大阪市立小阪小学校討論会を終わりにします。」

二年に一回は、「クラス替え」と呼ばれる選挙が行われ、その都度、議員は変わっていった。そして、2014年4月。小阪中学校で新たな議論が始まっていた。

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