第26話 報道機関による事件報道。

 ――十二月十五日付 地元新聞朝刊より


 十二日午前二時頃、遠柿とおかき市××町の住宅敷地内から煙が出ているのを住人が発見し通報。遠柿署によると、乗用車のボンネットの一部が焦げており、周囲に火の気がないことから、同署では不審火の可能性があるとみて捜査している。また、同市では五日前にも不審火と思われる小火が発生しており、同署では関連を調べている。



 ――十二月十七日付 地元新聞夕刊より


 十六日午前一時頃、遠柿市△△町の集合住宅駐車場のごみ捨て場から火が出ているのを通行人が発見し一一九通報。現場には火の気がなく、また、ごみなどが放置されていた様子もないことから、遠柿署は不審火の可能性もあるとみて捜査している。同市での不審火と思われる火災は、十二日に続き三件目。関連が疑われる。



 ――十二月十八日 インターネットニュースより


 遠柿市にて不審火が相次いでいる。一件目は、住宅街のゴミ捨て場。二件目は一軒家の乗用車、三件目はアパートの住人が使用するゴミ捨て場が狙われた。


 遠柿署は、連続不審火が同一犯による放火という可能性はあるのか、との記者からの問いに、「捜査中の案件の為明言は差し控える」とコメント。


 同市に住む主婦からは、「早く犯人を捕まえてほしい、不安で眠れない」と、一刻も早い解決を望む住民のリアルな声が聞かれた。


 二度あることは三度ある、などと言われるが、三度あることは四度あるのか。さすがにもうないだろうと否定しきれない状況に怯える住民に、安心して眠れる夜は来るのだろうか。

 恐怖に塗れた夜を数えながら、一早い事件解決を待つのみである。



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